◇国内男子◇ANAオープンゴルフトーナメント 最終日(18日)◇札幌GC輪厚コース(北海道)◇7063yd(パー72)

“2位の壁”は派手にぶち破った。通算19アンダーの首位で並び、突入したプレーオフ。先に石川遼に3mのバーディチャンスを作られた直後、大槻智春は驚がくの一打を見せた。残り130yd、PWでの第2打はピン奥の段から、バックスピンで4m戻りカップに沈んだ。

打ち上げの18番ではカップインの瞬間が見えず、ロープサイドの歓声でイーグルによる勝利を知った。「僕の中で、優勝は“ベタピン”について決まるようなイメージ。ホントにビックリしました」。表情はほとんど変えずにグリーンに上がり、仲間からの祝福に身を寄せた。

石川は小学生時代から知る仲でもある。「遼は悔しくないわけがない。悔しいはずだけど、素直に『本当におめでとう』と言ってくれた。自分だったらできるかな…と今、考えています」と、思わぬ幕切れには多くの感情が入り混じった。

スタート時に同じ最終組の池田勇太との差は5ストロークあった。得意の1Wショットが不調でも、2打目から粘り後半14番までに6バーディを決めボギーなしで「66」。17番(パー5)で3打目が乗らず、グリーンエッジから20mをなんとか寄せてパーセーブした場面が「一番緊張した」という。「(4打目は)普段ならSWで打つ(状況だ)が、一番ミスが少ないパターを使った」と安全策も実り、プレーオフに持ちこんだ。

初勝利を挙げた2019年5月「関西オープン」以来となるツアー通算2勝目。3年の間、優勝のチャンスは何度もあった。今季は前週までに2位が3回。5月の「ゴルフパートナー PRO-AM」は近藤智弘を交えた三つ巴のプレーオフで今平周吾に敗れた。本大会も昨年、単独首位で迎えた最終日にスコット・ビンセント(ジンバブエ)に逆転負けした試合だった。

「優勝してから、今年も勝てそうで勝てなかった試合が多く、ずっと悩んでいました。毎週毎週、悩んでいました」と心境を吐露した。勝てなかった理由は「いまだにわからない」という。確信めいたものはなくても、「とりあえず毎週試合がある、やるしかない。その中でつかめるものがあればいい」とガムシャラにシーズンに没頭し、大会の歴史に残る劇的な勝利を飾った。(北海道北広島市/桂川洋一)