日本でのLPGAツアー「TOTOジャパンクラシック」を前に、女子ゴルフの新しい世界ランクナンバーワンが誕生しました。歴戦のプロたちを抑えてトップに立ったのはなんとルーキーの19歳。将来が楽しみなアタヤ・ティティクル(タイ)選手です。

■病気しがちだった少女時代

アタヤ・ティティクル Atthaya Thitikul

◆生年月日 2003年2月20日

◆出身 タイ・ラチャブリー

◆ルーキーイヤー 2022年

タイ中西部、ラチャブリーで生まれたティティクル選手は幼い頃、病気しがちで、すぐに風邪をひくような子どもだったそうです。かかりつけの医師に「スポーツをして体を鍛えたほうが良い。テニスかゴルフを」と勧められ、走らなくていいゴルフを選びました。

洗車会社のオーナーである父と美容師の母に支えられ、ナショナルチームに入ったのは13歳。欧州やアジア、米国でも競技に参加し、当時フィリピンで腕を磨いていた笹生優花選手らとも顔なじみになりました。タイではバイリンガルスクールに入り、早いうちに英語の習得にも励みました。

ナショナルチームで男性コーチのクリス・アサワピモンポルン氏と出会い、飛躍のきっかけを得ます。ストロンググリップだった当時、「トップで戦うためにはウイークグリップに変えて色々な球筋を打てるように」と助言を受けて現在のスイングの基礎にしました。

■14歳で欧州ツアー優勝

13歳にして「タイ女子アマチュア」で準優勝し、LPGAデビューはなんと14歳の誕生日から3日後のこと。母国での「ホンダLPGAタイランド」に出場して37位の成績を収めました。

2017年には「欧州女子タイ選手権」を14歳4カ月19日で制し、欧州女子ツアー(LET)の史上最年少優勝記録を樹立。翌18年にスタートした「アジアパシフィック女子アマチュア選手権」の初代女王となり、メジャー「ANAインスピレーション」、「全英リコー女子オープン」ではローアマチュアに輝くなどトップレベルでも頭角を現すようになります。

2020年1月、16歳の若さでプロ入りしますが、その約1年前には父から転向を勧められても、「準備ができていない」と先延ばしにしていたのです。

プロ初年度はちょうどコロナ禍の入り口で、試合数が限定されながら2020年はタイツアーで5勝し賞金女王になりました。21年は主戦場にした欧州ツアーで史上最年少の賞金女王、そしてルーキー・オブ・ザ・イヤーの座にも就きました。

■古江彩佳、渋野日向子と同期

古江彩佳選手、渋野日向子選手と同じく2021年末の最終予選会を突破してLPGAに臨んだ今シーズン。米国でプレーする前にミニツアーにも出場し、世界各国で様々なタイプの芝や天候を経験してきたことが活躍につながっているようです。

5試合目の3月「JTBCクラシック」で初優勝し、「ウォルマート NW アーカンソー選手権」で2勝目を挙げました。ルーキーポイントレースでも1位を快走しています。飛距離も出て、アイアンショットの精度も高く、パッティングでは特に大きく曲がるラインをしっかり決められる強さがあります。

2勝した試合も、緊張している雰囲気が全くなく、ラウンド中の歩くリズムやルーティンも一定していてルーキーとは思えないほど冷静でした。「すごく落ち着いて見えたけど、実際は?」と聞いたところ、「すごく緊張していました」と満面の笑みで返してくれましたが、コースでは本当にいつもニコニコ。よく練習ラウンドをともにする、仲良しの笹生選手と同じように「とにかく楽しんでプレーすることを心がけている」と言います。

連戦は疲れがたまるもの。オンとオフの切り替えをしっかり心がけていて、それぞれの地域でローカルのアイスクリームを食べに行ったり、タイレストランを探したりしてリフレッシュ。LPGAではルーキーとはいえ、経験の豊富さがうかがえます。