◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 3日目(12日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)

御殿場で初めて予選ラウンドを通過した2日目の午後、河本力は“師匠”に発破をかけられた。「最終日は俺が(テレビ)解説だからな。解説できるところにいてくれよ」。今季2勝のルーキーにとって、中嶋常幸はジュニア時代からお世話になっているレジェンド。裏街道でプレーしたムービングデーは、その言葉に背中を押されて爆発した。

4アンダーの38位からティオフし、スタートの10番で4Iでの第1打を左の林に打ち込んだ。悔しいボギー発進もなんのその、続く11番をバーディとして一気に加速。16番から2連続バーディ、折り返しの18番(パー5)ではツアーナンバーワンの飛距離を見せつけた。向かい風を350ydドライブで切り裂き、2打目の残りはピンまでわずか145yd。「9Iで抑えめに」打ってグリーン上の段にぶつけて戻し、2mにつけてイーグルを奪った。

1時間35分後に出た最終組の背中を追う形となった後半アウトは、3つ伸ばして「63」をマーク。「全然意識していなかった」というコースレコードに並んでみせた。初日終了時の6オーバー82位からジャンプアップし通算5アンダーの8位。首位と5打差に接近した。

中高生時代に中嶋が主宰するアカデミーに参加した河本は、成長過程で何度も助言を授かってきた。「“師匠”として、ずっと尊敬させていただいている。優勝した時も連絡をくださる。気持ちの面、経験、技術面はもちろん、あの人にしか教えられないことがある。教わって強くなれたのは間違いない」

それだけではない。「中嶋さんの行きつけのお店で、“ツケ”で」ご馳走になることも…。「今年は北海道でも、奈良でも」。68歳は公私にわたって頼もしすぎる。前夜は夕食に一緒にウナギをいただいた。「(中嶋は今)ジュニア育成が生き甲斐らしくて。僕みたいなのが活躍するのをうれしく思ってくれている。僕も、良い刺激を与えられたらうれしい」。育ててもらった恩を、少しずつでも返していきたい。

単独首位の蝉川泰果とともに、年間3勝目が見えてきた。ツアー参戦初年度の選手(蝉川はアマチュアで2勝)としては2013年に4勝した松山英樹以来となるが、「もちろん優勝が見える位置なので食らいついていきたい。でも、できることだけをする。無理をせずにいつも通り」と冷静だ。「目標は1日2アンダー。きょうもそうだったので」。猛然と前に進むだけの姿はもうない。(静岡県御殿場市/桂川洋一)