◇海外メジャー◇全英オープン 最終日(23日)◇ロイヤルバークデールGC(イングランド)◇7156yd(パー70)

今回の全英オープンは対照的な2人の英雄が大いに盛り上げてくれました。“対照的”というのは、ジョーダン・スピースが若くして才能を開花させた「早熟プレーヤー」と称されるのに対し、2010年 32歳で賞金王に輝くまで伸び悩んだマット・クーチャーが“晩熟プレーヤー”であるという点です。

マット・クーチャーのデビューは、まさに鮮烈。1997年の全米アマを制し、翌98年にマスターズでローアマを獲得。同年の全米オープンで一時首位に2打差と迫るなど大健闘を見せ、早くから「天才」という称号を得ていました。

しかし、奇しくも今年と同じロイヤルバークデールGCでの全英オープンでは、予選落ち。メジャーの舞台で初めて叩きのめされました。その後の全英は予選落ちが続き、メジャー通算47回の出場になりますが、いまだビッグタイトルに手が届いていません。

そんな彼に、千載一遇のチャンスが訪れたのが今回の全英オープンでした。その舞台が、最初にメジャーの洗礼を味わったロイヤルバークデールというのも面白いめぐり合わせです。

サンデーバックナインは、まさにスピースとのデッドヒートを展開。難しいパットを沈めても入れ返される。私は昨年のヘンリック・ステンソンとフィル・ミケルソンのそれと重ね合わせて見ていましたが、同じように感じた人も多かったのではないでしょうか。

昨年、ミケルソンは試合後「最善を尽くして負けたことが悔しい…」といった内容の言葉を残しましたが、今年のクーチャーも同じように痛切な思いをめぐらせたことは想像できます。

“Good Loser”、負け惜しみを言わず、潔い言動が賞賛されていますが、以前「天才」と呼ばれ、その後長い低迷期を味わった彼だからこそ、この敗北の大きさを痛感していることと思いました。(解説・佐藤信人)