◇海外メジャー◇全米プロゴルフ選手権 2日目(11日)◇クエイルホロークラブ(ノースカロライナ州)◇7600yd(パー71)

その瞬間がまた近づいた。1アンダーの15位タイから出た松山英樹は7バーディ、ノーボギーで回り、2日間のベストスコア「64」でホールアウト。日没サスペンデッドによる第2ラウンド完了前にケビン・キスナーと並んで暫定首位に躍り出た。日本人史上初のメジャー優勝に向け、絶好の位置で決勝ラウンドを迎える。

圧巻のラウンドの始まりは、必ずしも望ましいものではなかった。出だしの1番でグリーン手前からのアプローチを強いられ、2mを沈めてパーセーブ。2番も2打目をグリーン左のラフに外し“寄せワン”でボギーを回避した。

最初のバーディはフェアウェイから9Iで右端に切られたピンを攻め、狭いサイドから2.5mを沈めた5番。さらに7番(パー5)でグリーン左ラフからアプローチで2mにつけ、2つ目を決めた。最大のピンチは9番。フェアウェイからの2打目をグリーン右のラフに大きく外し、3打目でピンを5mオーバーさせながら、これをねじ込んで悠然と歓声に応えた。

「ティショットでフェアウェイをとらえてはいたけれど、感触が悪くて疲れていた」。例によってインパクト直後にクラブから手を放す場面もあったが、大きなトラブルにはつながらない。時折フィニッシュがピタリと決まれば、チャンスになるに決まっている。後半12番から次々とアイアンでピンにからめ、3連続バーディ。13番(パー3)では、ティショットで使った6Iをクルリと回すと、ボールはピンそば2mについた。

勢いに乗った怪物を止めるのは、雷雲では力不足。15番(パー5)で第1打を左ラフに打ち込んだ後、午後4時43分から1時間42分の中断を挟んだ。「天気は良かったので中断はビックリしましたけど、疲れていたので良い休憩だなと思った」と動じない。再開直後、UTで大きく右に曲げた後の第3打。ウェッジでいったんフワリと浮かせ、上って下るラインを転がす柔らかなタッチで1mにつけて、バーディ。17番(パー3)の8Iで2mのチャンスを作ったティショットに「きょうのベストショット」と、不満顔がわずかに晴れた。

松山はプレー中に通算8アンダーで終えたキスナーの名前を確認。「すごいなあと思いながら、予選を通れればいいなと思っていた。自分も並べてビックリです」というのは、必ずしも調子の完全復調を実感したわけではないから。「きのうよりも(スタート前の)練習場の状態は良かったが、1番からとんでもないショットがいっぱい出た。よくノーボギーで回れたなあという印象」。ボギーなしのラウンドが、このまま続くとは本人は思わない。「きょうはたまたま、なかった。あしたからも打ちたくはないが、避けては通れない」という。一方で「その分、バーディを獲れればいい」と積極性は失わない。

パット数は初日の31から23まで減少。全米プロ王者の証しである“ワナメーカートロフィ”は手の届くところにある。来るべき勝者の雰囲気を存分に漂わせ、72ホールをハーフターンした。(ノースカロライナ州シャーロット/桂川洋一)