◇海外メジャー◇全米プロゴルフ選手権 3日目(12日)◇クエイルホロークラブ(ノースカロライナ州)◇7600yd(パー71)

8アンダーの首位から出た松山英樹は1バーディ、3ボギーの「73」とスコアを落としたが、通算6アンダーとしてトップのケビン・キズナーに1打差の2位タイで3日目を終えた。ショット、パットに精彩を欠き、上位争いのプレッシャー下で我慢のプレー。日本人初のメジャー制覇へ好位置をキープして、最終日を迎える。

パーを拾った最終ホールは、まるで優勝を決めたかのような歓声に包まれた。この日の18番(パー4)がどれほど難しかったか、目の肥えたギャラリーはみな知っていた。松山はフェアウェイから9Iでの2打目で左のクリークに近いピンを攻め、奥6mへ。強烈な下り傾斜を繊細に転がし、バーディは逃したもののタップインでフィニッシュ。3日目の同ホール平均スコアは「4.60」。3つあるパー5はそれぞれ「4.56」(7番)、「4.61」(10番)、「4.49」(15番)だったのだから、その価値は大きかった。

熱波を集めたムービングデーは、誰もが忍耐強さを求められた。松山は出だし1番で1.5mのパーパットを外してボギー発進。7番(パー5)で残り219ydを5Iで2オンさせ、バーディを決めた前半アウトは4回の1パットパーがあった。

ノーボギーで「64」をマークした前日5バーディを決めたバックナインも停滞が続く。フィニッシュが崩れるだけでなく、ボールも制御が効かなかった。フェアウェイからグリーンを左に外した12番から2連続ボギー。15番(パー5)も2mのバーディパットを外した。

「少しずつ優勝争いをしているプレッシャーもありますし、自分の中であった(スイングへの)違和感が、きょう思い切り出てしまった感じ」と自身の調子を嘆く松山。それでいて、首位に1打差のポジションにいるのは“グリーンマイル”の異名を持つ米国屈指の難関3ホールをすべてパーでまとめる技術があったからだ。

同組で回ったキズナーは3ホールで3つ、ジェイソン・デイ(オーストラリア)は4つ落とした。一方、松山は16番で20mのバーディパットを寄せきり、17番(パー3)で手前バンカーから1.5mにつけ、18番は2オン2パット。「(上がり3ホールの難度を)思い知らされました。一緒の組の人を見て」と安堵した。

ショットの状態にも「まったく納得していない」。インタビュー直後から、日没前の練習グリーンでボールを転がした。「スコアが良いので、みんな信じてくれないし…。『どうせお前のいつものことだろう』と言われてしまう。あしたは少なからず(勝利欲も)入ってくると思う。自分の状態が良ければ、何も考えずに打って、勝てちゃうかもしれないけれど…」

それでもだ。自分が求める内容と、勝負ごとの行方が違うことも、また米ツアーで学んできた。前週の「WGCブリヂストン招待」で通算5勝。「絶好調だと思えて勝ったのは、先週の(61をマークした)最終日くらい」と回想した。

トップから4打差以内に6人。5打差となると11人だ。「最後の3ホールくらいで、面白い位置にいられたらいい。チャンスもあると思うし、ピンチもきょうみたいにたくさんある。ひとつひとつ、無駄のないように、ミスをすればそれは仕方ない。ミスはするものだと思う。その分、良いショット、良いパットが打てれば良い」。運命の18ホールへ向かう心境は泰然自若。待ちに待ったメジャータイトルをかけて。さあ、勝負だ。(ノースカロライナ州シャーロット/桂川洋一)