「ジャンプ+」にて総閲覧数1.3億を突破した人気マンガ『阿波連さんははかれない』がアニメとなって現在放送中。人付き合いが苦手な高校生の阿波連れいなと、その隣の席に座るライドウとの不思議な距離感を描いた青春コメディ。第4話からはいよいよ原作でも人気の古文の教師・桃原先生が登場。そこで、桃原役を演じる花澤香菜さんにアフレコのエピソードや、ご自身の学生生活のお話などをたっぷりとうかがいました。

 

花澤香菜●はなざわ・かな…2月25日生まれ。東京都出身。子役として活躍後、ヒロインを務めた2006年のTVアニメ『ゼーガペイン』の出演を機に、本格的に声優として活動開始。現在、TVアニメ『恋は世界征服のあとで』(魔島忌々〈魔獣王女〉役)に出演中。5月20日(金)より、劇場アニメ『映画 五等分の花嫁』が公開。公式HP/Twitter

【花澤香菜さんの撮りおろし写真】

ミステリアスな見た目とは違い、妄想たくましい桃原先生のギャップにご注目を

──この作品の原作は読まれましたか?

 

花澤 はい! 今回はオーディションで、桃原先生の役を受けることが決まっていまして。それで事前に原作を読ませてもらったのですが……“なんて、あはれなんだろう!”と思いました(笑)。あ、今のは古文のほうの意味です(笑)。本当に素敵な作品だなぁと思って。阿波連さんとライドウ君って、ずっと平熱が低いテンション感と言いますか、周りがにぎやかでも2人が醸し出す空気感だけは変わらなくて。その穏やかさがクセになるし、マンガもアニメも見ていて疲れないところが魅力だなと感じました。

 

──オーディションではどんなところを意識されたのでしょう?

 

花澤 この作品には個性的な登場人物がたくさん出てきますが、なかでも桃原先生はわりと“ヘンな人”としてキャラが立っている印象がありましたので(笑)、阿波連さんやライドウ君のテンションとは違う何かを投入せねばと思ったのを覚えています。

 

──確かに、インパクトのあるキャラクターですよね。

 

花澤 はい。登場するたびに毎回吐血するキャラって、そうはいないと思います(笑)。

(C)水あさと/集英社・BILIBILI

 

──(笑)。桃原先生は見た目とのギャップも面白いです。

 

花澤 そうなんです。見た目の雰囲気では何を考えているのかつかみづらく、ちょっとミステリアスさもあって。もしかしたら、生徒たちに怖い先生と思われているかもしれない。でも、そうした外見的な印象とは違い、内面はものすごく妄想たくましいので(笑)、そのギャップを楽しんでもらえればと思っています。

 

──演じる上で具体的なディレクションなどはあったのでしょうか?

 

花澤 妄想するシーンは、「とにかく思いっきりやってください!」と言われただけでした。セリフの最後には大抵“あはれ〜!”って必殺技みたいに叫びながら鼻血を出すので、そこへピークを持っていくように逆算して演技をする感じで。

 

──なんだかアスリートみたいですね(笑)。

 

花澤 (笑)。それと、“あはれ”の読み方がシーンによって違う時がありまして。まだ正気を保っている時は“あわれ”と発音するんですが、それを超えると“あはれ(AHARE)”になっちゃうんです。

 

いつ“あはれ”が出てくるのかは、ぜひ放送をチェックしてみてください!

──“あはれ”が出る時は最大級の妄想なわけですね。

 

花澤 はい。ですから、その“あはれ”をどのタイミングで出すかを、スタッフさんたちと毎回相談しながら決めていました。その一方で、「花澤さんのテンションが上がっちゃったら、いつ“あはれ”を出してもいいです!」とも言われて。私の一存でそんなことを決めていいのかしらと思いつつ、シーンによっていろいろとテンションを変えて演じさせていただきました。いつ“あはれ”が出てくるのかは、ぜひ放送をチェックしてみてください!

 

──楽しみです! また、既に収録は終えているそうですが、印象的だったシーンはありますか?

 

花澤 桃原先生のシーンで言えば、阿波連さんとライドウ君のやり取りを見て動揺しないようにと、耐性を付けるために家で妄想のシミュレーションをするというエピソードがあるんですが、それが本当にくだらなくて、最高でした(笑)。一人で勝手に妄想して、一人で勝手に鼻血を出していて。“なんて想像力が豊かな人なんだろう!”と、演じていて楽しかったです。しかも、本人はいたってマジメなんです。先生なりに、“生徒の前であまり心を乱してはいけない”という思いからの行動ですし。とは言え、はたから見れば“いとをかし”なんですけどね(笑)。あとは、同じ教師仲間である宮平先生とのシーンも好きでした。宮平先生とはお友達ということもあって、一緒にいる時の桃原先生は普段と少し違う一面が出ていますので、そちらにも注目していただければと思います。

 

突然現れる阿波連さんの照れ顔やキュン顔にはいつもやられています

──では、阿波連さんとライドウ君の魅力はどんなところだと思いますか?

 

花澤 こうした高校生のラブコメ作品って、どちらかがモジモジしていたり、反対にツンツンしていたりと、タイプの異なるカップルが描かれることが多いと思うんです。でも、2人は見ていて安心するぐらい関係性がストレートだし、お互いを思い合っているのがほのぼのとした感じでこちらにも伝わってくる。ふとした瞬間に見せる2人の言動も、はたから見ている私たちはものすごくキュンキュンするのに、2人にとっては当たり前のことだったりして。あまりいないタイプの組み合わせだなって思いますね。

 

──恋愛要素がそれほど強いわけではないのに、それぞれに愛らしさがあります。

 

花澤 そうなんです。阿波連さんは一見すると素っ気ない感じだったり、何を考えているのか分からないところもありますが、彼女のことを知れば知るほど、ちゃんと周りの人のことを考えているいい子だと分かって、どんどん好きになっていきます。ライドウ君もそんな阿波連さんとちょっと似ていて、相手を思いやる気持ちがすごく強い男性なんですよね。

 

──実は結構大人だなと感じます。

 

花澤 私は個人的に、なんだかゴーレムみたいだなと思っています(笑)。守り人感がすごいと言いますか。授業中にいきなり阿波連さんを肩に乗せていたりしますし(笑)。そうした突拍子もない行動に出るところも素敵ですし、ホントに大好きです。

 

──これまでの放送を振り返って、好きだった2人のエピソードはありますか?

 

花澤 たくさんあるのですが、お祭りのエピソードの時の阿波連さんがかわいかったですね。阿波連さんって、あまり照れることがないんですけど、あの時は最後にちょっと照れ顔が見られて。授業中のシーンでも、たまに突然現れる阿波連さんの照れ顔やキュン顔にはいつもやられています。

 

──学校の教師って、この作品の桃原先生みたいにいろんな想像をしながら学生を見ているのかなと考えると、ちょっと面白いですよね。

 

花澤 どうでしょう〜、私はできればもっと授業に集中したほうがいいと思います(笑)。あれだけいろんな妄想をしていたら、きっと授業どころじゃないですから。ただ、桃原先生みたいに生徒のことが気になるという気持ちには共感するところがありまして。私もイベントなどで人前に立つことがあるのですが、“あ、あの席の人、私の今の発言で引いたな”っていうのが分かるんです(笑)。そういうのって、結構目に入ってくるんですよね。

 

小・中・高・大と、その時々まるで性格の違う学校生活を送っていました

──花澤さん自身はどんな学生でしたか?

 

花澤 その時々によって全然違っていて、小学生の頃は男子に交じってサッカーをするような女子でした。でも、そこからどんどんと人見知りになっていって、中学生の時は地味〜な学校生活を送っていました(苦笑)。人と話すのがあんまり得意じゃなくなって、それで部活も、部員があまりいない上に、会話が少なくてすみそうなパソコン研究部に入っていたりして(笑)。ただ、高校生になってからは生徒会活動をしたりと、ちょっとずつ自分を出せるようになっていきました。

 

──そうだったんですね。ということは阿波連さんのように教室の隅っこが好きな人の気持ちもちょっと分かったりしますか?

 

花澤 めちゃめちゃ分かります!(笑) この場を借りて、“隅っこでじっとしているからといって、何も考えていないわけじゃないし、別につまらないと思っているわけでもないんだぞ!”と言いたいです(笑)。端っこのほうで静かにしているのが、ただただ好きだったりするんです。

 

──なるほど。では、大学時代ではどんな学生生活を?

 

花澤 一番生き生きとしていました(笑)。大学って、いろんな所から人が集まってきて、高校生の頃ならもしかするといじられていたかもしれないようなキャラの人でも、大学ではむしろそれが普通だったりして。なので、“ここにカーストなどない!”と、伸び伸びしていました(笑)。

 

──ちなみに学生時代、古文の授業は好きでしたか?

 

花澤 ものすごく好きでした。それもあって、今回、古文の先生を演じられることになって、ものすごくテンションが上がりました。古文だけじゃなく、国語も大好きだったんです。私は小さい頃からお仕事をさせてもらっていて、台本を読んだりと文字に触れる機会が多かったので、もし声優になっていなかったら日本語に関わるお仕事をしていたかもしれないなと思うこともあります。

 

──古文のどういったところに興味を持っていたのでしょう?

 

花澤 ひとつに、物語にきれいなお話が多いところ。それに、いろんな言葉を使って登場人物たちの心情を表現しているところも素敵で、改めて日本語の奥深さを感じます。また、これは古文本来の魅力とは違うのですが、中学時代の古文の先生の書く字がものすごくきれいだったんです。その頃、私は字が汚かったので、“そうだ、先生の字を真似すればうまくなるかもしれない!”と思って、習得するために黒板の字をずっと真似していたんです。そうしたら本当にうまくなって。先生には感謝です。

 

──それはすごい。努力の賜物ですね。では、字のつながりということで、普段使っているペンや文房具にこだわりなどはありますか?

 

花澤 仕事ではフリクションのペンを使うことが多いです。台本にいろんなことをよく書き込むんですが、修正や変更になる場合も多いので。それと、文房具ではないのですが、スケジュールはスマホで管理するのではなく、実際に文字で書きたいので手帳を使っています。愛用しているものも決まっていて、羽海野チカ先生が出されているデザインの手帳を毎年買って使っています。

 

──手書きにこだわる理由は?

 

花澤 自分で書き込むことで気合が入る感じがして。“この日のお仕事は気が抜けないぞ!”とか、“この日まで頑張ろう!”とか。そうやって、自分自身の気持ちを盛り上げています。それに、本を読んだり映画を見たりして心に残った言葉や、ふとした時に頭に浮かんだ歌詞も書き留めて、後で読み返すので、そういう場合もアナログな手帳のほうが私には合っていますね。

 

──ちなみに、最近見たり読んだりした作品で印象に残っているものはありますか?

 

花澤 『Tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!』という映画が素晴らしかったです。ミュージカルの『RENT』を作ったジョナサン・ラーソンの人生を描いた作品で、ミュージカル仕立てになっているんです。輝かしい業績を残された方ですが、波瀾万丈な人生を送られていて。しかも、『RENT』の公演初日の未明に亡くなられたんですよね。彼が苦境に立たされた時は一緒になって苦しくなり、波に乗り始めた時はこちらの気持ちも高揚してくる、そんな心動かされる素敵な映画でした。

 

──では最後に、GetNavi Webということで普段、愛用している家電があれば教えていただけますか?

 

花澤 パンが大好きということもあって、トースターの「ヘルシオ グリエ」を使っているのですが、これホントにイチオシです! 水蒸気でスチームして焼くので、どんなものでも倍以上美味しくなる感じがします(笑)。焼き加減の操作もすごく簡単ですし、前日に買ったパンでも、外はカリカリ、中はフワフワの美味しいパンに復活するので、パン好きの方にはぜひおすすめしたいですね!

 

 

(C)水あさと/集英社・BILIBILI

 

TVアニメ『阿波連さんははかれない』

TBS 毎週金曜 深夜2・25〜ほか
MBS/TBS/BS-TBS“アニメイズム” 枠にて放送中

(STAFF&CAST)
原作 :水あさと(集英社「少年ジャンプ+」連載)
総監督 :山本靖貴
監督 :牧野友映
シリーズ構成 :吉岡たかを
出演:水瀬いのり、寺島拓篤、M・A・O、柿原徹也、楠木ともり、花澤香菜、長江里加、小坂井祐莉絵、指出毬亜、藤原夏海 ほか

(STORY)
高校1年のライドウは持ち前の仏頂面のせいでうまく同級生と馴染めなかった中学時代の自分とおさらばするため、高校入学と同時に隣の席の阿波連さんと仲良くなろうとトライする。しかし、何をしてもリアクションがもらえず、どんどんと気持ちは沈むいっぽう。ところが、阿波連さんの消しゴムを拾ってあげたことをきっかけに、2人の距離は一気に近づいていく……のだが。

(C)水あさと/集英社・BILIBILI

【『阿波連さんははかれない』よりシーン写真】

撮影/干川 修 取材・文/倉田モトキ