ファッション誌「ViVi」の専属モデルとして活躍する嵐莉菜さんが、5月6日(金)に公開された映画「マイスモールランド」で映画初挑戦にして初主演! 彼女が演じるサーリャは17歳のクルド人。家族とともに埼玉で平和に暮らしていたが、あるきっかけで在留資格を失い、当たり前の生活を奪われてしまう。そんな難しい役どころをみずみずしく演じ切った嵐さんに、初主演の感想はもちろん、自身の家族や将来の目標について聞きました。

 

◆映画では4人家族でしたが、実際の嵐さんはどのような家族構成ですか?

両親と妹と弟がいます。実は父と妹と弟はそれぞれ父役、妹役、弟役としてこの映画に一緒に出演しているんです。父はよくギャグを言う面白い人で、母はちょっと天然(笑)。妹は映画に出てくる妹と似ていて、ちょっと気が強い感じで、弟は思ったことを何でもズバズバ言っちゃうタイプ。みんな仲が良くて、いつも会話が絶えない明るい家族です。

 

◆お父さんは日本国籍を取得されていますが、もともとはイランの方だそうですね。

実際はイランとイラクとロシアのクオーターで、出身がイランなんです。母は日本とドイツのミックスで、ドイツ出身。母親が日本人なので、自然と日本に興味を持つようになって日本に来たみたいです。

 

◆ということは、お父さんとお母さんは日本で出会った?

日本で出会ったと聞いています。私は完全に日本で生まれて日本で育っているので、ちゃんと話せるのは日本語だけで、家でも基本的にみんな日本語で話しています。父と母はたまに英語で話すこともあって、それを聞いていたので英語も何を言ってるかは分かるんですけど、話すのはちょっと苦手ですね(笑)。

 

◆映画の中では、流ちょうに外国語を話されていますが。

あれはトルコ語なんです。でも、実はまったく話せないので、この映画のために猛練習しました(笑)。父が高校時代をトルコで過ごしてトルコ語がペラペラなので、私の練習に付き合ってくれて。そのおかげで本番の撮影ではNGなしでした(笑)。

 

◆現在は高校に通われているそうですが、学校生活はいかがですか?

中学のほうが楽しかったですね。というのも、高校はコロナの影響で行事がほとんど中止になってしまって…。授業も1年生の最初のほうはずっとリモートだったんです。入学式もなかったですし、高校1年の最初の3か月はずっとリモートだったので、なかなか友達もできず…。ただ、今年は修学旅行があるので、それは楽しみにしてます(笑)。

 

◆中学時代はどんなことが楽しかったですか?

体育祭と合唱祭! 合唱祭はクラス単位で歌うんですけど、1年生と2年生の時に銀賞を取って、3年生の時には金賞を取ったんです! 私、歌うことも好きで、3年連続で賞を取れたこともあって、合唱祭はすごく思い出に残っています。

 

◆そんな嵐さんは、どういうきっかけで芸能界に?

もともとは、0歳の時から小学校1年生ぐらいまでキッズモデルをしていて、中学2年生の夏ごろに友達に勧められてTik Tokを始めたら、爆発的にバズった動画があって(笑)。で、その動画を見た今のマネージャーさんに声をかけてもらって、本格的に活動するようになりました。

 

◆モデルの仕事は、どういうところが好きなんですか?

私、もともとかわいいお洋服が大好きで。モデルをしているとかわいいお洋服にたくさん出会えるところが好きです。「ViVi」の専属モデルになってからは、先輩方を見て洋服の見せ方や表情の変え方などを勉強させてもらう機会も増えて、今はそういうところも面白いなと思っています。

 

◆モデルとして活躍しながら今回、映画「マイスモールランド」で女優デビューを果たしました。ご自身の中では役者の仕事にも興味があったんですか?

事務所の先輩方がお芝居しているのを見ていて、すごく興味はありました。自分もいつかそういう機会があったらいいなと思っていたんですが、まさかこんなに早くチャンスが来るとは。でも、今回のオーディションのお話をいただいた時に、サーリャという役はすごく自分と共通する部分があったので、“まだ早いかな”と思いつつも何か縁を感じて。“絶対に自分が演じたい!”という思いでオーディションに臨みました。

 

◆女優としてのオーディションはいかがでしたか?

すごく緊張していたんですけど、オーディションの会場で川和田(恵真)監督が海外にルーツをもつの方だと知って、一気に緊張が解けたというか、通じるものを感じて。しかも監督がその場で温かい雰囲気を作ってくださったので、リラックスして話すことができたかなと思います。

 

◆川和田監督とは、どういったお話を?

監督が「自分は日本人だと思う?」という質問をされたんです。私は日本で生まれて日本で育って、自分では日本人のつもりで生きてはいるんですけど、やっぱり外見から英語で話しかけられたり、子供のころは「外国人」と言われることもあって。“まわりからは日本人として見られていないのかな?”という思いは、常にどこかにあったので、その話をしたら、監督も同じような経験をしていたみたいで。お互いにすごく共感し合うものがありましたね。

 

◆やはり、どこかにそういう思いがあるんですね。

ありますね。ただ、5か国のルーツを持っていることは自分だけの個性ですし、それでお仕事をいただけることもあるので、今は自分のルーツを誇りに思っています。

 

◆初めての映画の撮影は、やはり緊張しましたか?

最初からずっと緊張しっ放しでした。本当に初心者だったので業界用語も分からなかったですし、すごくプレッシャーもあったんですが、監督やスタッフの方々、そして共演者の皆さんが優しくてしてくださって。いつも明るい雰囲気を作ってくださっていたので、楽しみながら最後までやり切ることができました。今思い返しても、本当に濃い撮影期間だったなと思います。

 

◆そんな中、嵐さんはとても初めてとは思えない素晴らしい演技を見せています。

本当の家族がいたので、自分も家でのシーンは自然にできたかなと思います。ただ、奥平(大兼)さんと2人のシーンもかなりあって、その時は撮影前すごく緊張したんですけど、監督が、例えばお花見とか、私たちが仲良くなれる機会を撮影前にたくさん作ってくれて。そうした中で共通の趣味があることが分かったり、いろいろなお話をさせてもらえたので、映画の中のサーリャと聡太のように打ち解けることができたかなと思います。

 

◆嵐さんは誰とでもすぐ打ち解けられるタイプですか?

それは自分の特技だと思っています(笑)。実際、年齢や性別に関係なく、いろんな友達がいますし、性格的にフレンドリーなところがあるので、逆に撮影中はそういう部分が出ないように意識しました。サーリャが「聡太、やっほ〜!」とか言ったら、みんなビックリしちゃいますからね(笑)。

 

◆でも、あまりにも演技が自然なので、嵐さんもサーリャのように内省的な人なのかなと思っていました。

映画を見た方からは「別人みたい」ってよく言われます(笑)。

 

◆ご自身で、自分はどんな性格だと思いますか?

フレンドリーで、優柔不断。私、お菓子が好きなんですけど、スーパーでお菓子を選ぶ時は、誰かに急かされないと1時間ぐらい悩んじゃうんです(笑)。何かを決める時は絶対に周囲の人たちの意見を聞かないと決められないですし、優柔不断というより、“後悔しないかな?”という不安が強いのかもしれないですね。

 

◆この映画で女優としてもスタートを切ったわけですが、これからの目標を教えてください。

今まではモデル一本という感じだったんですが、この作品を通して演技やお芝居の魅力を知ることができたので、機会をいただけるのであればお芝居も頑張っていきたいと思っています。もちろんモデルとしても進化していきたいですし、将来的にはモデルのお仕事と女優のお仕事のどちらも任せてもらえるような人になりたいです。自分の多様なルーツを武器にして、いつか日本と海外のかけ橋的な存在になれたらいいですね!

 

◆そのためには英語も必要かと思いますが、実際に英会話を習ったりはしていない?

心のどこかで“英語は独学でできるかも!?”と思ってる自分がいて…(笑)。両親は英語を話しますし、私も文法的には何となく分かるんですけど、単語量が圧倒的に足りてないんですよね。なので、まずは英単語を覚えることから始めたいと思います!

 

PROFILE

嵐莉菜
●あらし・りな…2004年5月3日生まれ。埼玉県出身。2019年、『ミスiD2020』でグランプリを受賞。2020年よりファッション誌「ViVi」の専属モデルを務める。

 

作品情報

©︎ 2022「マイスモールランド」製作委員会

 

「マイスモールランド」
全国公開中

(STAFF&CAST)
監督・脚本:川和田恵真
主題歌:「NewMorning」ROTH BART BARON
出演:
嵐莉菜 奥平大兼
アラシ・カーフィザデー リリ・カーフィザデー リオン・カーフィザデー
韓英恵 吉田ウーロン太 板橋駿谷 田村健太郎 池田良 サヘル・ローズ 小倉一郎
藤井隆 池脇千鶴/平泉成

 

(STORY)
17歳のサーリャは、生活していた地を逃れて来日した家族とともに、幼いころから日本で育ったクルド人。現在は、埼玉の高校に通い、親友と呼べる友達もいる。夢は学校の先生になること。
父・マズルム、妹のアーリン、弟のロビンと4人で暮らし、家ではクルド料理を食べ、食事前には必ずクルド語の祈りを捧げる。 「クルド人としての誇りを失わないように」そんな父の願いに反して、サーリャたちは、日本の同世代の少年少女と同様に“日本人らしく”育っていた。
進学のため家族に内緒ではじめたバイト先で、サーリャは東京の高校に通う聡太と出会う。聡太は、サーリャが初めて自分の生い立ちを話すことができる少年だった。ある日、サーリャたち家族に難民申請が不認定となった知らせが入る。
在留資格を失うと、居住区である埼玉から出られず、働くこともできなくなる。そんな折、父・マズルムが、入管の施設に収容されたと知らせが入る…。

 

オフィシャルサイト:https://mysmallland.jp/

公式Twitter:@mysmallland

©︎ 2022「マイスモールランド」製作委員会

 

photo/松下茜(エントランス) text/水上じろう(ファッシネイション)