2020年8月にテレビ朝日の「土曜ナイトドラマ」枠でスタートするや、個人視聴率歴代最高タイ(2.4%)、世帯視聴率歴代最高タイ(4.7%)を記録し、「ギャラクシー賞」同年9月度月間賞を受賞するなど、視聴者のみならず業界内でも高い支持を見せつけたドラマ『妖怪シェアハウス』。同時に、民放連続ドラマ初主演の小芝風花さんのコミカルかつ愛らしい存在感も話題となり、いまでは“コメディエンヌ”として多くの作品で才覚を発揮中です。

 

4月9日から続編『妖怪シェアハウスー帰ってきたん怪ー』が放送中なうえ、6月17日には『映画 妖怪シェアハウスー白馬の王子様じゃないん怪ー』の公開も発表されるなどさらに人気拡張中の同作について、主人公・目黒澪役の小芝さんにお話をうかがいました。

 

(構成・撮影:丸山剛史/執筆:有山千春)

小柴風花(こしば・ふうか)/1997年4月16日生まれ、大阪府出身。11年、「ガールズオーディション2011」でグランプリを獲得し、12年にドラマ「息もできない夏」(CX)で女優デビュー。14年3月には映画『魔女の宅急便』で主演を務め、同作で『第57回ブルーリボン賞』の新人賞を受賞。NHK連続テレビ小説「あさが来た」(16)には、主人公の娘・白岡千代として出演した。近年の主演作にドラマ「トクサツガガガ」(19・NHK)、「モコミ〜彼女ちょっとヘンだけど〜」(21・EX)、「彼女はキレイだった」(21・CX)などがある。待機作に『貞子DX』(22)、『Lady Kaga レディ・カガ』(23)を控える。

 

アドリブ満載の楽しい現場

ーー第1シリーズ撮影前、台本を読んだときにどう思いましたか?

 

小芝 最初に「妖怪とシェアハウスをする」聞いて、「どういうことですか……?」となったんですけど(笑)、もともとファンタジー要素のある作品がすごく好きなので、「楽しそう!」と思いました。配役も個性的なメンバーだったので、撮影がすごく楽しみでしたね。

豊島圭介監督とは2度目ですし、すごく好きな監督で、より楽しみな気持ちが強かったです。実際の現場もめちゃくちゃ楽しくて。現場から生まれることもすごく多いんです。ベテランの先輩方がすごくて、台本以上のことが毎回現場で繰り広げられているんですよ。

 

ーー主演を務めることで、心がけていたことはありますか?

 

小芝 私の性格的に「引っ張っていくぞ!」というタイプでは全然ないですし、特にこの作品は先輩方ばかりで、ドラマ内でも澪ちゃんが妖怪さんたちに助けてもらいながら成長していくので、私もみなさんに助けていただきながら成長できたらいいなと思い臨みました。だからそんなに気負うことはありませんでしたね。「現場が楽しくなればいいな」と、どの現場でも思っています。

 

ーー現場ではアドリブが多いと聞きましたが、思わず笑ってしまった、印象的なアドリブはありますか?

 

小芝 いっぱいあります。たとえば映画でいうと、予告編にもある、池谷のぶえさん演じる座敷童子が闇落ちして「わらべ唄」のメタルバージョンを歌うシーンですね。そのとき、ぬらりひょん役の大倉孝二さんが手をこんなふうに(人差し指と小指を立てるメロイック・サイン)やっていますが、あれはアドリブで。さらにそれを見た私もマネをする、というのもアドリブで、実際に使われていたという感じでした。

今までは、そういったふとした遊びやアドリブが苦手でしたが、先輩のマネをしてみたり、アドリブでちょっとした会話をするのってすごく楽しいな! ということを、『シェアハウス』で初めて思いました。

大倉さんのアドリブは、ドーンとしたカマシみたいなものではなく、日常に溶け込む会話やボヤキみたいな感じなんですよね。たとえばごはん中、童子さんに「お味噌変えた?」と言ってみたりとか。その言葉があることによって、より生活感が増したり、キャラが適っていくようなアドリブをしてくださるんです。

 

実は周りに振り回される役が多い?

ーー近頃は“コメディエンヌ”と呼ばれることが多いと思いますが、そう呼ばれることについてどう思われますか?

 

小芝 照れくさかったり申し訳ない気持ちがありつつも、「自分には個性がないな」と悩んでいた時期があったからこそ、そういった肩書きをつけてくださるのはすごくうれしいです。ただ、私自身が面白いことをしているというより、周りに個性的な人がたくさんいて、面白いお芝居をしてくださり、その人たちに振り回されてリアクションをするという感じなので、周りのキャストのみなさんが素晴らしいおかげなんです。個性的なみなさんのおかげでリアクションができるので、ありがたいです。

実は、私自身が突拍子もないキャラを演じたことはあまりなくて。リアクションは大きいけれど、周りに振り回される役が多いんです(笑)。

 

ーー小芝さんの表情がころころと変わるのが印象的ですよね。表現力をつけるために、努力していることや工夫していることはありますか?

 

小芝 お芝居をする上で気をつけているのは、相手のお芝居をよく聞くこと・見ること、です。大きなリアクションを取るときは特に意識しています。台本を読んだだけでは、どのセリフに驚いたり怒ったり笑ったりするのかわからない部分がたくさんあり、だからこそ、自分のセリフを喋ることも大事な一方で、相手のセリフのどの言葉で自分の感情が変わるのか、ということを意識しながらお芝居をしています。

 

ーーなかでも特に、驚きのリアクションが印象的です。第1シリーズ撮影時に、監督から演出がついたのでしょうか。

 

小芝 驚きの演技は、自らやってみたものを監督が笑ってくれた感じです。現場は、カメラマンさんをはじめスタッフさんが明るくて楽しい方が多くて、最初にああいう驚き方をしたときに、「いいねえ!」と笑ってくださり、どんどん定着していった感じです。

だから指示があったわけでもなく、「こんなふうにやろう」と決め込んだわけでもないけれど、「たぶん澪ちゃんは、かわいく『きゃー!』じゃなくて、ああいう感じなんだろうなあ」というキャラクター像があったので(笑)。

 

ーー4月9日に行われた第2シリーズ開始に際する生配信イベントでは、豊島監督から、現場では「小芝さんの笑い声がずっと響いていた」と明かされていましたが、どんなことで笑っていたのでしょうか。

 

小芝 大倉さんやのぶえさんが足袋靴下を履いているんですが、親指と人差し指の間にスッと指を入れるのにハマっていまして(笑)、やられたらゾワッとするらしく、「うわあああ!」といい反応をしてくれるんです(笑)。「お、いま気を抜いているな」と思ったら、さっとやるといういたずらをやって笑っていました(笑)。

 

ーーみなさんとの仲の良さが伝わります(笑)。映画化が決定したとき、共演者の妖怪さんたちと盛り上がったりしましたか?

 

小芝 映画化と続編の話を聞いたときにすぐにグループLINEで「ほんとうに続編になりましたね! 映画化も決まりましたねー!」「すごーい!」「やったねー!」と、やりとりし合いました。その後、1年半ぶりに本読みでお会いした瞬間から、びっくりするほどすぐに当時の感覚に戻っていって。和気あいあいとして、ゆるくて、マイペースな感じに。

 

ーーグループLINEがあるんですね! そこでは小芝さんはどんな発信をしますか?

 

小芝 そんなに多くではありませんが、たまに「ここのごはん屋さんが美味しいよ」「ここのマッサージ屋さんがいいらしいよ」などの情報交換をします。

 

 

撮影中に一番緊張したシーンとは?

ーー映画の話を詳しく聞かせてください。映画とドラマでは、演じる上で意識の違いはありましたか?

 

小芝 第2シーズンと映画の撮影が同時期だったこともあり、根本的にはわけて考えたことはなくて。妖怪シェアハウスのドタバタ感をはじめとする世界観を、そのまま映画に持っていきたいというのがありました。

ただ、ドラマと違い2時間あるので、ストーリー性などはドラマとは違うなあと思いましたね。

 

ーーもっとも思い出深いのはどのシーンですか?

 

小芝 シェアハウスメンバーの闇落ちシーンで、酒呑童子役の毎熊克哉さんがよくわからない幽霊ギャルたちと踊りまくったり、さきほども少し触れた童子さんのメタルシーンとか、「なんじゃこりゃ!」というシーンも楽しかったと同時に、松本まりかさんが演じるお岩さんの伊和の四谷怪談ループは、この作品のなかで一番ホラーなんじゃないかなと。まりかさんの伊和さんがすごくこわかったり、伊和さんがそうなってしまった理由が澪を思ってのことだったり、愛情も感じて、このシーンはすごく好きです。

 

ーードラマでは見られない見応えのあるシーンがかなりありますよね。また、『妖怪シェアハウス』ならではの社会派な側面も見どころかと思います。

 

小芝 そうですね。9割ふざけているなかで(笑)、1割は討論しても答えがでないようなテーマを本気で取り組んでいます。そのバランスが、『妖怪シェアハウス』の魅力だなと思っています。

 

ーー9割の面白さは、演じているなかで自然と盛り上がるんでしょうか?

 

小芝 そうですね。周りの妖怪さんたちが面白すぎるので、私は素直に驚いたり感動したりを心がけています。そのリアクションは澪にとっては普通ですが、お客様がそんなリアクションを面白く見てくれたらいいなと思っています。

 

ーーリアクションといえば、安井順平さん演じる澪が働く出版社編集長の逆鱗にたびたび触れている姿が印象的ですが、澪が驚いた拍子に安井さんに粉をぶっかけるシーンがありますよね。タイミングがドンピシャすぎて観ていて気持ちが良かったです。

 

小芝 あれは何度もテストして、実は本番で一発OKだったんです。安井さんに粉がかかった上で失敗してしまったらもうやり直しはできないので、失敗したらカットをうまく繋げる予定でしたが、カットを割らずにOKをもらえて。めっっっっちゃ緊張しましたね! 緊張度合いでいうと、今回の撮影のなかで一番かもしれません(笑)。失敗したらどうしようという不安がすごくあって(笑)。

 

ーー個人的には、ドラマ版に引き続き食事シーンが好きです。みんなで「食卓を囲む」ことは、シェアハウスならではの魅力だと思います。みなさんとても美味しそうに食べているのですが、美味しそうに食べるコツなどがあるのでしょうか。

 

小芝 「美味しそうに見えるように」というより、和気あいあいと、食事を楽しんでいるように見えたらいいなと思っています。喋りつつも「いただきます!」のタイミングだけはぴったり反りったり、卵かけご飯を混ぜるタイミングや、殻を捨てるタイミングが揃ったり、妙なシンクロ感が楽しいですね。

 

ーーみんなでご飯を食べることの意義どんなことだと思いますか?

 

小芝 会話をしながら食べると、ご飯がより美味しく感じますよね。ひとりで食べることもありますが、味気なく感じたり、お店もすぐに出てしまったり。「ご飯を楽しむ」ではなく「摂取する」という感じになる気がして。だからみんなで食べると、「ご飯を楽しむ」という感覚になれると思います。

 

座長としての自覚

ーー今回、第1シリーズで初主演を努め、いろいろな作品への出演を経てさらにパワーアップして、映画主演となりましたが、ご自身で女優としのて変化を感じますか?

 

小芝 根本的には全然変わっていません。「とにかく現場を楽しくしたい」「このメンバーで楽しい作品を作りたい」という気持ちはずっと変わらずです。ただ、以前は周りが先輩ばかりで甘えさせていただいている部分が多かったのですが、今回シェアハウスに参加した望月歩くんは、出来上がっているチームに途中から入ってきた状況なんですよね。私もそういった経験が何度かあり、緊張したり居づらい感覚になったことがあったので、そういう空間にはしたくないな、とはすごく思っていました。

だから望月くんとは積極的にコミュニケーションを取るようにしていて、「すごく楽しい!」と言ってくださったので、それはよかったな! と思いました。

 

ーー先輩と後輩の架け橋になられたのですね。

 

小芝 なれたかはわかりませんが、昔は自分のことだけでいっぱいいっぱいだったけれど、昔から自分で「こんな主演になりたいな」と思っていた行動ができたんじゃないかなと思います。望月くんはすごく人見知りらしくて、望月さんのマネージャーさんが「彼がこんなに現場で楽しそうにしているのは初めてみました」と言ってくださり、すごくうれしかったですね。

 

ーー小芝さん流の、相手の心を開くテクニックを教えてください!

 

小芝 えーーー! ……何も考えていなくて。ただ、ちょっとおばかになる。空気を読みすぎると踏み込めなくなるので。「話しかけていいのかな? 人見知りだから話しかけないほうがいいのかな?」と気にしすぎると緊張してしまうので、気づかないふりをして話しかけています。

 

ーー実は以前、望月さんには弊サイトでインタビューをさせてもらっています。そこでシェアハウスの現場について「普通だと撮影終了後にみんな『お疲れ様でした!』と挨拶して帰るんですが、この現場ではなぜかみんな『うま!』って言うんですね(笑)」と話されていました。

 

小芝 (笑)カットをすべて撮り終えることを「シーンが埋まる」というのですが、それにちなんで「うまっ!」と叫ぶんです。カメラマンさんがすごく明るい方で、第1シーズンのときからカメラマンさんと私で「うまっ!」と大声で叫んでいたら、定着しました。挨拶というか、「シーンが終わった! 次!」という合図のような感覚です(笑)。

 

ーーそんな望月さんは、澪と親密な関係になる王子様風の天才数学者のAITO役です。これまでダメ男に引っかかってきた澪ですが、ずぶずぶハマってしまうようなダメ男と、今回のようなサラッとした王子様、どちらがいいですか?

 

小芝 それはサラッとした王子様じゃないですか!(笑)

 

ーーただAITOは、詳しくは言えませんがなかなか触れられない一面もあります。ぬくもりのあるクズ男と触れられない王子様なら、どちらがいいですか?

 

小芝 うわーー質問が難しくなった!(笑)クズ男はいやですけどね、うーん……でもやっぱりぬくもりを感じたくなるかもしれないなあと思うと、クズかなあ……。私は家族間でも、お互いに触れたりしたくなるときがあるんです。寂しいときに30秒ハグをするだけで、ストレスが軽減するという話もあるそうで、たまに家族にハグをしてもらったりしているんですよね。だからやっぱり、触れられるほうがいいかな。

 

やりたいことがはっきりしているのがふたりの共通点

ーー第1シリーズから長く演じている「目黒澪」というキャラクターについて、改めてどう思われますか?

 

小芝 まっすぐで純粋だなと思います。あんなに騙されたり振り回されたりしていたら、性格が歪んでしまってもおかしくないのに、それでも「友達を守りたい」などの信じる心を持つことができるまっすぐさと純粋さです。だからこそ、妖怪さんたちが「私たちが澪を守らなきゃ」と思いお世話をしたくなるんだと思います。

あと、どうしようもない不幸体質ですよね。よくないものを呼び寄せる体質も澪らしいです。笑顔よりも困り顔が似合ってしまうところが、澪らしさかなと思います。

 

ーーご自身との共通点はありますか?

 

小芝 性格はまったく違いますが、澪は「小説家になりたい!」、私は「お芝居をしたい!」という、やりたいことがはっきりしているのが共通点ですね。

 

ーーではシンパシーを覚える妖怪はいますか?

 

小芝 うーーーん……感じないです(笑)みんな大好きですが、個性が際立ちすぎているので、「私は人間だな。妖怪的な資質は持っていないな」と思います(笑)。

 

ーー妖怪たちはファッションも個性的で魅力的ですが、外見から入るとどの妖怪がいいですか?

 

小芝 お岩さんが妖怪化したときのメイクをやってみたいですね。普段のまりかさんはかわいらしいキュートな方ですが、あの姿になるとすごく色っぽいお姉さんの顔になられるんです。そのときのまりかさんが、メイクを含めてすごく好きなので、やってみたいです。

 

ーー最後に、弊サイトではガジェットを紹介する記事が多いのですが、小芝さんが撮影時に欠かさず持ち歩いているガジェットや小物はありますか?

 

小芝 すごくドライアイなので、いつも複数の目薬を持ち歩いています。ただ、使い分けているというより、『鬼滅の刃』とのコラボ目薬を全種類欲しくて買っただけなんですけど(笑)、それを毎日持っています。

 

ーー鬼滅がお好きなんですね! 好きなキャラは?

 

小芝 すごく浮気性なんですよね。ずっと善逸が好きだったんですが、最近は伊之助も好きで。映画やシリーズごとに活躍するひとがそれぞれ変わるじゃないですか。そのたびにころころと変わっちゃうんです。善逸も好きだけど、伊之助もかわいいし……! こんなふうに、推しが変わりつつある日々です(笑)。

 

【INFORMATION】

『映画 妖怪シェアハウスー白馬の王子様じゃないん怪ー』

2022年6月17日(金)公開

脚本:西荻弓絵
監督:豊島圭介
出演:小芝風花、松本まりか、毎熊克哉、豊田裕大、池谷のぶえ、佐津川愛美、長井短、井頭愛海、尾碕真花、小久保寿人、片桐仁、安井順平、望月歩、池田成志、大倉孝二
配給:東映

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