今年1月9日、芸能界デビューと同時にフジテレビ系お昼の帯番組『ぽかぽか』(毎週月〜金/11:50〜13:50)の月曜レギュラーに抜擢された白河れい。父・貴乃花、母・河野景子、そして兄・花田優一というバックボーンを持つ一方で、4月10日の生放送終了直後にインタビューをすると、なんと「放送中に泣いた」というが、一体なにがあったのだろうか。

 

(構成・撮影:丸山剛史/執筆:有山千春)

白河れい(しらかわ・れい)2002.4.18生 東京都出身。 人の光になりたいという理由から、白い河に光(英語で光を意味するRay)の芸名をつけた。今年1月に芸能界デビュー。フジテレビお昼のバラエティ番組「ぽかぽか」に月曜レギュラーとして出演中

 

専用ノートで準備万端

ーーさきほどの『ぽかぽか』放送中(※インタビュー日は4月10日放送回の直後)、泣いていらっしゃったそうですが、なにがあったんですか!?

 

白河れい(以下、白河)『ぽかぽか』は、会場内の観覧席のほかにも、外にいる方が窓から生放送の様子を眺められるようになっていて、出演者にメッセージを掲げてくださっていたりするんです。そんななかで今日、神田愛花さんが「外に、れいちゃんのうちわを持っている人がいるよ」と教えてくださって。見ると、「れいちゃん」と私の名前が書かれたうちわを持って、手を振ってくださっていたんです。

 

ーーそれで泣いてしまうほど感動したんですね。

 

白河 すごくうれしくて、グッときました。私のためにうちわを作るという、貴重な時間を割いてくださったんだと思うと。うちわを作るのって結構大変ですし。ファンレターをいただいたこともありますが、「わざわざ便箋を選んで文章を考えて、直筆で書いてくださったのか」と思うと、人のために、しかも会ったことのない私のためにやってくださることの重みを感じて、とてもうれしいです。

 

ーーすごく謙虚ですね。

 

白河 ただただ、本気でうれしいんです。

 

ーー『ぽかぽか』には放送1回目の1月9日から出演されて約3か月が経ちましたが、初々しさがすごく伝わります。緊張などはいかがですか?

 

白河 いまもオープニングは少し緊張しますが、共演者のみなさんの顔を見るとすぐに緊張が引いていき、楽しんでいます。

 

ーー緊張するとどうなりますか?

 

白河 唇や手が震えてしまうので、催眠術のように「緊張してない緊張してない」と心の中で唱えています。逆に緊張していないときは「緊張しています」と言うという、謎の自分ルールがあります(笑)。

 

ーー初回は緊張もマックスだったと思います。前日はどんな心境でしたか?

 

白河 初回は芸能界デビューの日でもあったので、「朝起きたら、全部が変わっているんだな」と思いあまり眠れず、出演前にメイクをしていただいているときも、すごくドキドキしていました。その数日前には、出演させていただくにあたって専用のノートを作ろうと思い、ノートを買いに行きました。そのときも、「これから始まるんだ……」という気持ちになりすごくどきどきしました。

 

ーー専用のノート、とは?

 

白河 テレビに出演する際、いつも予習と復習をノートに書いているんです(※ノートを見せてくれる)。

 

ーーすごい……びっしり書いてありますね!

 

白河 このノートは表紙に『ぽかぽか』のキャラクター・まんぷく昼太郎くんのシールを貼って、『ぽかぽか』専用ノートにしています。ほかのお仕事は、全部まとめて1冊にしています。

↑『ぽかぽか』専用ノート

 

ーーほかの番組も書いているんですね!

 

白河 はい。『ぽかぽか』だけは毎週出演させていただくので、専用ノートを作らないと追いつかないなと思いまして。

 

ーーどんなことを書いているんですか?

 

白河 台本を確認して、「このコーナーで、こういうことが言えそうだな」と思い浮かんだことを書いています。以前まで、ローカル番組を紹介する『日本中に知って欲しい! FNSおすすめジモTV』というコーナーがありまして、その番組の出演者の方がスタジオに来るときは、その人のことを調べて書いていたりとか。

 

ーー丁寧な仕事ぶりですね〜……!

 

白河 私がその人と話すという場面はあまりないんですが、一応、どこかのタイミングで話を振られたときになにも言えないとよくないので。生放送ですしね。「私がいちばんしそうなミスってなんだろう」と考えたときに、沈黙になることだろうな、と。それだけは絶対に避けなければと意識して、そのために、事前に話せることをたくさん用意しておこうと思っているんです。たとえばカレー屋さん特集の日は、自分が最近行ったカレー屋さんの名前を書いたり、そういうすごく小さいことなんですけどね。

 

ーーそれを初回からいままでずっと続けているんですね。

 

白河 このノートを書かないと緊張しちゃうんです。小学生のときに毎日日記を書かなければいけない学校に通っていて、もともと昔から日記をつけているし、お手紙を書くことも多いので、書くことが習慣になっていて抵抗がないんですよね。

 

ーー直筆に慣れ親しんでいるんですね。

 

白河 当時はイヤだったんですが、16歳のときに留学先で、小学生以来、日記を再開したんです。そして大学生になったときに当時の日記を読み返すと「すごくがんばっていたな」ということが伝わり、過去の自分から勇気をもらうことがありました。この『ぽかぽかノート』も10年後に読み返したとき、「いまの私、マンネリ化してるな、がんばろう」みたいに、初心に返ることができるのかなと思っています。

 

ーーじゃあ、ここに書かれていることがテレビで言えなくてもいいというか。

 

白河 はい、むしろ言えないことだらけです。ほぼ言えていないですが、頭の中を整理するためのものでもあります。

 

落ち込んだら部屋で体育座り

ーーさきほど、初回登場時がデビュー日だとおっしゃっていましたが、どんな経緯でご出演が決まったんでしょうか。

 

白河 デビュー前、いろいろなところに顔見せに行ったなかのひとつに、フジテレビさんがありました。大勢のプロデューサーさんがいらっしゃる会議のような場所でご挨拶と自己PRをさせていただき、後日マネージャーさんから、「『ぽかぽか』が決まりました」と連絡をいただきました。会議の中に「白河さんのキャラクターが新番組に合うのでは」と言ってくださった方がいらしゃったそうなんです。それを聞いたとき、すごくうれしかったです。

 

ーーどんな自己PRをしたんでしょうか。

 

白河 もらえたのは数分間だけでしたが、英語で喋ったりとか。その1週間前も緊張して自信がなくなる時期があったんですが、直前になって「やってやる!」という気持ちになりました。

 

ーー自信がなくなって気持ちが塞ぐときもあるんですね。

 

白河 「絶対にその日が来る」と思うと、どんどん萎縮しちゃうんです。けど、いまはノートを書いているから、直前に「これだけ準備したんだ! やれることはやったぞ!」という気持ちになることができるんです。心の支えですよね。

 

ーーこれまでの放送で「やっちゃった〜」ということはありましたか?

 

白河 ふたつあって、ひとつは、コーナーの合間にお手洗いに行っていたんです。当初台本に書いてある「会場に戻らなければいけない時間」の読み方がわからず、知らずにギリギリに行ってしまったんですよね。すると、みんなが「れいちゃんどこー!?」と呼んでいるのが聞こえて。「うわー! こわい! どうしよう!」と走って戻ったのが、放送1秒前でした。ヒヤヒヤしましたね。でもみなさんからは「遅れたほうがおもしろかったよ」と言われたんですけどね。

 

ーー新人さんならでは!

 

白河 もうひとつは、先週の『明日使えるかもしれない!? 主婦のお悩み解決! ベストアドバイザー』という、視聴者からのお悩みにパネラーがフリップにアドバイスを書いて回答するコーナーで、2回答1セットの答えを言いたかったのに、なかなか手を挙げることができなかったこと。結局ひとつしか言えないまま、次のお題にいってしまったんです。「やらないで後悔する、というのはこういうことか……」と思い、今日はいっぱい手を挙げました。

 

ーーたしかに、さきほどの放送を見学させてもらいましたが、すごくまっすぐ、天に掲げるように何度も手を挙げていましたね。

 

白河 先週は「ほかにもたくさんパネラーがいるしなあ」とゆっくり書いちゃっていたら、次のお題にいってしまって。「はあ〜〜……」と。

 

ーー『ベストアドバイザー』のコーナーは、芸人さんたちも多いですもんね。そういった仕事の悔しさで落ち込むとき、家で体育座りしたりしますか?

 

白河 ありますね〜〜。普通にめちゃくちゃ落ち込みます。部屋を暗くして、テレビも音楽もつけずにソファに座って体育座りして泣いたり。悲しい曲や映画を流して号泣することもあります。

 

ーーデトックス効果がありそうですね。

 

白河 どうしようもできない悲しいときは、そうしますね。でも、自分で改善ができそうな仕事のことは、やっぱりノートに書きます。自分がダメだった点と、どうしたら改善できるかを書きます。

 

デビューのきっかけと兄・花田優一からのアドバイス

ーーテレビの仕事といえば、お母様の河野景子さんはプロフェッショナルな方ですし、アドバイスをもらうこともありますか?

 

白河 仕事の具体的なアドバイスはあまりなくて、もっと人間性的なところでしょうか。「全員に挨拶をする」とか、そういうことです。「ママはそうしていたよ」とか。

 

ーーお兄さんの花田優一さんからはアドバイスをもらいますか?

 

白河 そういう話はお兄ちゃんのほうがしますね。お兄ちゃんはたくさん教えてくれます。

 

ーーお兄さんは爪痕の残し方がうまいですからね。

 

白河 そうですね、お兄ちゃんは話がすごく上手なんです。私は喋るときに小論文みたいになってしまうことがあるんですが、お兄ちゃんを見て、「そうじゃなくて、一言で言ったほうがテレビは伝わりやすいんだな」と気づきました。そういうことを、お兄ちゃんは意識してやっているのかなと思いました。あとは、「自分目線を優先して話をしたらいいと思うよ」と教えてくれたこともあります。

 

ーー共演者の方とは交流しますか?

 

白河 いまは火曜レギュラーで、以前は月曜レギュラーだった岸本理沙アナとはお食事に行かせていただいていました。ほかの方々とは、以前より話せるようになってきました。みなさん大先輩なので、「自分がその輪の中にはいっていいのかな……」と思っていたんですが、「若者からいったほうがいいよ」というのを教えていただいたことがあって以降、たとえば神田さんに「靴が可愛いですね」と話しかけたりしています。イイと思ったら、少しずつ話しかけています。そうすると、共演者の方からも声をかけていただけるようになりました。

 

ーー神田さんはすごくおもしろい方だと思いますが、白河さんにとってどんな存在ですか?

 

白河 神田さんはいつも私に「今日の『ベストアドバイザー』、すごくおもしろかったですよ!」などと言ってくださる優しい方です。そして、すごく素敵です。すべてに全力で、「あれ、全然だめだったなぁ……」と本当に落ち込んでいらっしゃる姿も見たことがあります。この番組にも、進行のアナウンサーではなくタレントさんとして呼ばれていらっしゃる一方で、アナウンサーさんとしても力もあり、全方位に全力で取り組んでいらっしゃる、とてもかっこいい女性です。

 

ーー一方で白河さんは、ご自身をどんなキャラクターだと思いますか?

 

白河 まだまだ神田さんのように「これだ!」という軸は定まっていません。以前、『ベストアドバイザー』で、おもしろく大喜利のように答えようとしちゃったことがあったんです。それで、全然ダメだったんです。ちょっとボケみたいに言っちゃって、「あれ? これ、違うぞ……!?」と瞬時に察知しました。そのときはそれをみなさんがおもしろくしてくださりつつ、「れいちゃんらしくないよ」と突っ込んでくださって。背伸びしすぎたなと気づきました。だから、キャラクターがあるとしたら、「等身大の自分のまま、めちゃくちゃがんばる20歳」かもしれません。

 

ーーその素直さが、今日の涙に繋がったんですね。あらためて、芸能界入りしたきっかけをうかがっていいでしょうか。大学入学時に事務所オーディションを受けたんですよね。

 

白河 芸能界に入りたいということを家族の誰にも相談せず、オーディションサイトに登録したのが18歳のときです。お姉ちゃんに写真を撮ってもらって、「もうっわかるでしょ! なんでもいいから撮って!」みたいにお願いして(笑)。

 

ーー暗黙の了解だったんですね。

 

白河 小さいころは家族の前で「芸能人になりたい」と言っていたので。とはいえ親は「いいよ、なりなさい」と言うわけでもないので、じゃあ一人で進めよう! と思いまして。

 

ーーオーディションサイトに登録するときは、「父・貴乃花、母・河野景子」というバックボーンは明かさず?

 

白河 はい。伏せていました。

 

ーーいつ明かしましたか?

 

白河 所属が決まり、社長にお会いしたときに話しましたが、そのときの社長の反応が、よりいっそう私が「この事務所で挑戦しよう!」と思えるものでした。私自身も、自分のバックボーンを話したときに相手がどんな反応をして、どんなふうに事が進んでいくのか……が、一番怖かったんです。でも社長は「そうなんだ」というあっさりとした感じで。「あ、ここに決めた!」と思いました。

 

ーーバックボーンを明かし、人の反応が変わる瞬間に直面することが、これまで結構あったんでしょうか。

 

白河 ありました。これは誇るべきものですし親には感謝しかないことは前提として、いま思うと私が考えすぎていた節もありました。まわりはそんなことは思っていなくても「”私”ではなく”娘”だと見られてるんじゃないか」と勘ぐってしまったというか。だから事務所を探しているときは、結構ナーバスになっていました。「”私”を見てほしい」という主張がすごく強かったと思います。

 

人の光になりたい

ーーもともとは女優志望だとうかがいましたが、影響を受けた作品はありますか?

 

白河 たくさんありますが、いままでで一番心が動いたのは映画『湯を沸かすほどの熱い愛』です。あとは是枝裕和監督が好きで、映画『海街diary』は何回も見ています。日常でのあたたかなひとコマで、ほんの普通のできごとなのに、それによって心が動かされるって……すごく素敵だなと思います。

 

ーー憧れの女優さんはいらっしゃいますか?

 

白河 『ぽかぽか』の初回ゲストでも出演された、北川景子さんが好きです。美しさが存分に発揮される作品もあれば、”きれいな女性”というだけではない役柄も演じていらっしゃって、これまでいろいろな作品で当たり前のように見てきた方だったので、『ぽかぽか』でお見かけしたときは、すごく引き込まれました。

 

ーー今後、やってみたい役柄はありますか?

 

白河 どんなものでもやってみたいです! いつも根本に「人の光になりたい」というテーマがあります。作品を見てくださった方の感情を動かすことができて、それによって人に光を与えられるような存在になれるなら、どんな役でもやってみたいです。日本舞踊をやっているので時代劇にも出てみたいですし、体を動かすのも好きなのでアクションもやってみたい、いろんなところに興味が向いています。

 

ーー未知数ですね! こうしてお話していると、品の良さがにじみ出て、ほんとうにこう……大切に育てられたんだなと実感します。プライベートでも、だらっとする瞬間とかないんじゃないですか?

 

白河 めっちゃします(笑)。家に帰ったらスウェットに着替えてだらんっとしています。休日は大学の友達と映画を観たりドライブに行ったり、聞き役になることもあれば真面目に話したり、すべてをさらけ出しています。

 

ーープライベートでハマっていることはありますか?

 

白河 いまはカメラが好きです! Instagramに載せる写真を「写ルンです」で撮るのが好きで。現像に出してあがってくるまでのわくわく感を味わいたいんですよね。今日ちょうど現像に行く日で、そこでまた新しい「写ルンです」をひとつ買ってくる予定です。

 

ーーたしかに、Instagramの質感、「写ルンです」ですね!

 

白河 もうひとつ、サラダボウルにハマっています。野菜のほかにチキンや雑穀米とか、全部入れて自作するんです。もともとはお店で食べていたんですが、素材に拘るとどうしても高くなってしまうので、「自分で作ったほうがいいや」と思って。ゆで卵とお芋を同じ鍋で茹でていかに時短するかとか、そういう主婦的な目線でも楽しんで作っています。

 

ーーそういったことも含めて、今後、白河さんのいろいろな顔を『ぽかぽか』で観られたらうれしいです。そういえば、1月の芸能界デビューに際した会見で、デビューについて「父はまだ知らない状態」と話されてましたよね。あれからお父様は『ぽかぽか』をご覧になっているんでしょうか。

 

白河 わからないですねえ。どうなんでしょう。『ぽかぽか』だけではなくほかの番組にも出させていただいていて、SNSもやっているので、どこかで観てくれているとは信じています。

 

ーー最後に、今後の展望を教えてください。

 

白河 『ぽかぽか』では、観ている人がお昼からにこにこ笑顔になれるように、フレッシュさや明るい自分をお届けできたらいいなと思っています。そして今後は自分をさらけ出していって、いつかコーナーを持たせてもらえたら……という大きな目標を持ちつつ、自分らしく笑顔でいきたいです。