宇宙事業ベンチャーの「インターステラテクノロジズ」は、国内の民間企業で初めて高度100kmの宇宙空間に観測ロケットを打ち上げることを発表。同社は自社製のロケットを開発し、各種打ち上げ実験などを行うベンチャー企業で、ホリエモンこと堀江貴文氏が取締役として名を連ねている企業でもあります。

 

「MOMO」と名付けられた宇宙観測ロケットは、クラウドファンディングにより出資を募り、同社の観測ロケット「初号機」として開発が進められていました。そして今回、開発拠点がある北海道の大樹町で、7月29日に打ち上げを行うことが決定。打ち上げられたロケットは、弾道軌道を描くように高度120kmの宇宙空間へと突入したあと、重力により自然落下して海面へ着水します。そこから積載した観測機材を回収するというミッションが予定されています。

20170718_y-koba5 (1)↑宇宙観測ロケット「MOMO」の等身大モック。全長9.9メートル、機体重量約1トンの小型ロケットで、自社開発したエンジンを搭載。約20kgの機材を積んで高度100kmの宇宙空間を目指します

 

打ち上げコストはH2Aロケットよりも1桁安い“庶民派”

今回の発表会には、インターステラテクノロジズの稲川貴大代表取締役が登壇し、宇宙事業にかける熱い想いを語りました。

20170718_y-koba5 (2)↑インターステラテクノロジズの稲川代表取締役

 

同社が開発・製造するロケットで特筆すべきは、なんといってもその打ち上げコスト。シンプルな構造と汎用的な部品を多用し、自社開発を徹底することにより、従来のロケットに比べて低コストで打ち上げが可能としています。ちなみに、JAXAが打ち上げに成功しているH2Aロケットの打ち上げコストは、1機につき数億円といわれています。それでも海外の大型ロケットに比べると格安の部類ですが、インターステラテクノロジズ社のロケットはそれよりも1桁安い数千万円規模で済むそうです。

20170718_y-koba5 (4)↑発表会の場ではMOMOの具体的な打ち上げ費用は名言されませんでしたが、「5000万円以下」とのこと

 

20170718_y-koba5 (5)↑MOMOが採用しているエンジンは、燃料噴射装置(インジェクター)にピントル型を採用。この装置はアポロ計画の月面着陸機と同じ方式です

 

ホリエモンが語る「なぜいま、宇宙事業なのか?」

発表会では、同社の創業メンバーでもあり取締役でもある堀江貴文氏も登壇。宇宙事業のビジネス的な側面を語りました。特に、時代の寵児とも呼ばれた堀江氏が「なぜいまになって宇宙事業なのか?」という問いに対しては、「20年以上前にインターネットと出会った時と同じ可能性を感じた」そうで、ビジネスとして大きな市場になることに自信を見せました。

 

この先の事業展開としては、宇宙観測からエンターテインメントまで幅広い可能性を秘めているとのこと。将来的には衛星打ち上げや平和利用にも関わっていくと、展望を語りました。

20170718_y-koba5 (7)↑ロケット事業の可能性を語る堀江貴文氏

 

クラウドファンディングで1000万を出資――そのリターンとは?

今回打ち上げられる「MOMO」は、クラウドファンディングで2700万円の資金を集めました。そのなかで、たった一口だけ1000万円という出資枠が用意されており、それに応じた出資者も会見で登壇。1000万円を出資した際のリターンは、なんと「ロケットの発射ボタンを押せる権利」。出資者にとっては、1000万円の価値があったということになります。

20170718_y-koba5 (6)↑2700万円の資金が集まり、そのうち1/3以上は1人の男によるもの!

 

その出資者とは、不動産コンサルティング会社のCEOである芹澤氏。「1000万円をポチった男です」と話し、会見を盛り上げました。

20170718_y-koba5 (8)↑発射ボタンを押す権利を得た芹澤氏。「打ち上げが失敗したらボタンの押し方が悪いと堀江さんに怒られる」と笑いを誘っていました

 

打ち上げの模様はパブリックビューイングで

7月29日の打ち上げは、各地の会場でパブリックビューイングが予定されており、ネット配信については会見時点では調整中とのこと。また、打ち上げはあくまでも予定であり、機材や天候のコンディションによっては予備日である7月30日、またはそれ以降に延期される可能性もあるそうです。

 

国産の民間ロケット初の宇宙空間到達となるか、堀江貴文氏が関わる宇宙事業ベンチャーの今後はどうなるのか――。打ち上げの模様は、ロケットファンだけではなく、スタートアップやベンチャー界隈からも注目を集めそうです。

20170718_y-koba5 (9)↑モックの前でフォトセッションに応じる稲川代表取締役(左)と堀江貴文氏