2017年の夏における土用の丑の日は、7月25日と8月6日の二日間。このシーズンといえばウナギを食べる文化が定着してきましたが、実は「万葉集」で詠まれているほど古い伝承というのをご存知でしょうか。そしてほかにも、ウナギにはトリビアがたくさんあるとか。ということで、面白うんちくを聞きにウナギの人気店を訪問。会話が弾むこと必至の”ウナ”る話をお届けしましょう!

 

その1)関東は蒸して焼くが関西は焼きのみ

今回訪れたのは、美食の街・銀座にあって開店前から行列ができる人気の一軒「ひつまぶし備長 銀座店」。ひつまぶしといえば名古屋めしを代表するウナギ料理で、同店は都内の一等地でハイクオリティなひつまぶしが堪能できるということで人気を博しています。今回話を聞いたのは同社の統括店長である月井隆行さん。まずは東西での調理法の違いを教えてくれました。

 

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「ウナギの蒲焼に関して、関東では白焼きにしてから蒸し、タレに絡めて焼くという調理が定番。一方の関西では、白焼きと蒸しの工程はなく、焼きのみで仕上げていくのが一般的です。この理由には諸説あるものの、昔の関東のウナギは身が固く脂が多かったため蒸してやわらかく、余分な脂をより落としたと考えられるでしょう。ちなみに、ウナギの東西の境界線は豊橋ですね」(月井さん)

 

ほかにも、せっかちな人が多かったといわれる江戸では、スピーディに提供するために蒸したなどの説も。いずれにせよ、関西は関東に比べてパリっとした食感と香ばしさが魅力です。なお、調理するまでの裂き方にも違いが。江戸では侍が多く「切腹」を連想させるので背開き(スピード重視で背から裂いたという説も)とし、関西は商人文化の町なので「腹を割って話す」ことから腹開きになったという説があるそうです。

 

その2)名古屋のひつまぶしのタレは関東よりまろやかで甘め

味付けにも違いがありました。特にひつまぶしにはその地域ならではの特徴があるそうです。

 

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「蒲焼は醤油文化との関係があり、江戸の醤油といえば濃口ですよね。よって、東京は濃口醤油がメインのタレになります。一方、名古屋は白醤油やたまり醤油の文化なので、これらを使ったタレになるんですよ。当店の場合はたまり醤油と甘みミリンと砂糖をブレンドして、まろやかさと甘さを調和させています」(月井さん)

 

その3)「おひつでまぶす」からひつまぶし?

ところで、「ひつまぶし」の語源ってご存知でしょうか? 有力な説としては、おひつのご飯のうえにウナギをまぶすことが由来とされていますが、ほかにも説があるようです。

 

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「関西にはウナギの蒲焼を『まむし』と呼ぶ地域もあり、これが転じてひつまぶしになったという説もあるんですよ」(月井さん)

 

この「まむし」の由来にも、「真蒸す」、ご飯で蒸す「まんまむし」が転じた、などの諸説があるとか。いずれにせよ、食文化って奥が深いですね。

 

その4)ひつまぶしは名古屋発祥ではない?

ひつまぶしの歴史についても調べてみました。すると、名古屋生まれというのが定説であるものの、実は三重県津市が発祥という説もあるようです。

 

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「津市は、ウナギの専門店が人口比で全国一だという話に加え、ウナギの消費量が全国1位になったことがあるなど、実はウナギの街なんです」(月井さん)

 

知られざる津市のウナギ人気! 街中にはひつまぶしスタイルのウナギ専門店も多く、ご当地の名物料理のひとつにもなっているようです。ただ一方では、名古屋で発祥を名乗るとともに、ひつまぶしを商標登録しているのは「あつた蓬莱軒」。ひつまぶしのルーツに関してはナゾが多いですが、一般的な認知を鑑みてもやはり名古屋発祥という説が有力と考えられるでしょう。

 

その5)おいしい蒲焼に山椒はいらない?

ウナギの蒲焼には山椒をかけるというのが定番のスタイルですが、これも100%正しいとは言えないようです。店によっては山椒を置かないところもあり、「ひつまぶし備長」では置いてはあるものの推奨はしていません。

 

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「ひつまぶしの場合、薬味やワサビを一緒に提供しますから、山椒はうな丼やうな重でのわき役ですね。なお、ひつまぶしの薬味にアサツキを添えるお店もありますが、当店はさらしネギ。さわやかなアクセントが加わり、2膳目の食べ方としてオススメしております」(月井さん)

 

ちなみに、山椒を置かないウナギ専門店の主張としては、「うなぎ本来の風味を邪魔するから」「新鮮なウナギが手に入るいまは、臭み消し用の山椒は不要」などの声があるようです。輸送技術が発達していなかった昔は、いまよりウナギの臭みが強かったので山椒が必要だったという説ことですが、その節も十分納得できますね。

 

行列必至の「ひつまぶし備長」はお盆過ぎが夏場の狙い目!

筆者も「ひつまぶし備長 銀座店」で、ひつまぶしをはじめウナギのさまざまな料理を楽しめるコース「雅」を試食しました。こちらは7560円となかなかの価格ですが、ひつまぶし単品なら3402円から。また、うな丼は2570円からとリーズナブルなので、ぜひお試しを!

↑骨せんべい。雅コースはここからスタートします。カリっと香ばしくて美味↑骨せんべい。雅コースはここからスタートします。カリっと香ばしくて美味

↑肝焼。甘味と苦味がほどよく調和して、日本酒との相性も抜群です↑肝焼。甘味と苦味がほどよく調和して、日本酒との相性も抜群です

↑肝わさ。上記の肝焼とのチョイスです。とろけるような肝と、コリっとした食感の腸の部位でどちらも絶品!↑肝わさ。上記の肝焼とのチョイスです。とろけるような肝と、コリっとした食感の腸の部位でどちらも絶品!

↑うざく。ウナギの下にザクザクした塩もみキュウリがあり、濃淡、冷温すたつのコントラストが楽しめます↑うざく。ウナギの下にザクザクした塩もみキュウリがあり、濃淡、冷温すたつのコントラストが楽しめます

↑白焼。皮はパリっと、なかは適度にふっくらしていて、白醤油で食べるとウナギの上品なおいしさがよくわかります↑白焼。皮はパリっと、なかは適度にふっくらしていて、白醤油で食べるとウナギの上品なおいしさがよくわかります

↑ひつまぶし。しゃもじで4等分にして、1膳目はそのまま、2膳目は薬味とワサビで、3膳目は海苔とダシもかけてうな茶漬けを↑ひつまぶし。しゃもじで4等分にして、1膳目はそのまま、2膳目は薬味とワサビで、3膳目は海苔とダシもかけてうな茶漬けを

↑上うな重(4298円)。うなぎは1尾分で、吸物と香の物付き。ひつまぶしは食べやすいようにウナギがあらかじめ細かくカットされています。よりパキっとした香ばしさを楽しみたいなら、うな丼やうな重もオススメ!↑上うな重(4298円)。うなぎは1尾分で、吸物と香の物付き。ひつまぶしは食べやすいようにウナギがあらかじめ細かくカットされています。よりパキっとした香ばしさを楽しみたいなら、うな丼やうな重もオススメ!

 

「ひつまぶし備長」は冒頭で述べたように銀座以外の店舗も大人気。特に夏季はものすごい行列ができるようですが、お盆を過ぎると比較的落ち着いてくるそう。本稿を読んだ人は、ぜひ楽しいウナギの食シーンをお試しください!

 

【SHOP DATA】

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ひつまぶし備長 銀座店

住所:東京都中央区銀座2-2-14 マロニエゲート12階

アクセス:JR山手線ほか「有楽町駅」銀座口徒歩3分

営業時間:11:00〜15:30(LO15:00)、17:00〜23:00(日〜木、祝L.O.21:30/金土祝前L.O.22:00)

定休日:マロニエゲートに準ずる