昨今の花火大会では、カメラと三脚で撮影している人よりも、スマートフォンで撮っている人のほうが圧倒的に多くなった。しかし、きれいな写真が撮れなくてガッカリしている人も多いはず。特にiPhoneのカメラ機能は、暗闇で急に光り輝く花火に対して露出やピントの調整がほぼできないので、下写真のようにピンボケになったり露出オーバーになったりしてしまう。ピントをしっかり合わせつつ、適正露出で撮るにはどうしたらよいのか。ここでは、純正カメラアプリを使って花火を撮る際のコツを花火写真家・金武 武さんに教わった。加えて、カメラアプリに詳しい写真家・永山昌克さんに、花火撮影におすすめのカメラアプリを紹介してもらう。

↑スマホで打ち上げ花火を撮影。ピンボケで露出オーバーなうえ、画面も傾いてしまっている↑スマホで打ち上げ花火を撮影。ピンボケで露出オーバーなうえ、画面も傾いてしまっている

 

スマホで花火をキレイに撮るコツ

【1】いつでも撮影できるように、自動ロックを解除しておく

【2】三脚を使う/ぶらさない構え方で撮る

【3】ズームアップして花火を画面いっぱいに捉える

【4】スマホに適した花火を狙う

【5】花火撮影に適したカメラアプリを使う

 

スマホはカメラアプリを起動していても、数分経つと画面が消えてスタンバイ状態になってしまう。スタンバイ状態ではすぐに撮影ができないので、前もって設定画面から自動ロック(スタンバイ機能)を解除しておこう。

↑iPhone (OS10.3.2)の場合、自動ロックを解除するには、「設定」→「画面表示と明るさ」→「自動ロック」から「なし」を選ぶ↑iPhone (iOS10.3.2)の場合、自動ロックを解除するには、「設定」→「画面表示と明るさ」→「自動ロック」から「なし」を選ぶ

 

また、一眼カメラでの撮影と同様にぶらさないことも需要だ。手ブレを防ぐには、スマホ用の三脚を使って固定したうえで、ケーブルレリーズや無線リモコンを使ってシャッターを切るといいだろう。三脚を使えるとベストだが、手持ちで撮る場合は両手でしっかりスマホを持って脇を締める。片手持ちではぶれやすいので注意。

↑スマホ用のホルダーと小型三脚。どちらも100円ショップで購入できる↑スマホ用のホルダーと小型三脚。どちらも100円ショップで購入できる

 

↑iPhoneでは、付属する純正イヤフォンのボリュームボタンを押すことでシャッターを切ることができる。手ブレ防止に最適だ(左)。市販のBluetoothリモコンを使ってスマホのシャッターを切ることも可能。こちらはAmazonで100円程度で購入できる(右)↑iPhoneでは、付属する純正イヤフォンのボリュームボタンを押すことでシャッターを切ることができる。手ブレ防止に最適だ(左)。市販のBluetoothリモコンを使ってスマホのシャッターを切ることも可能。こちらはAmazonで100円程度で購入できる(右)

 

↑地面に座って撮る場合は、体育座りで膝の上に肘を置いて両手でスマホを構えるとブレを軽減できる↑地面に座って撮る場合は、体育座りで膝の上に肘を置いて両手でスマホを構えるとブレを軽減できる

 

そして、画面内において花火が小さいとピントも露出もオートで合いにくいので、画面いっぱいに花火が収まるようにズームアップすることも大切。さらに、スマホ撮影に合った花火を選んで撮ることもコツのひとつだ。菊花火や冠菊花火などの光跡が夜空に残る花火ならば、スマホでもピントや露出が合いやすい。なかでも、冠菊のスターマインは光跡が幾重にも重なるので、もっともスマホでの撮影に適した花火といえる。反対に牡丹花火や点滅菊などの光跡が残らない花火は、スマホの純正カメラアプリでは撮影しにくい。

↑2発の菊花火をiPhoneの純正カメラアプリで撮影。菊花火は中心から放射状に「引き火」といわれる光跡が残る花火なので、ピントも露出もオートで容易に合って撮りやすい↑2発の菊花火をiPhoneの純正カメラアプリで撮影。菊花火は中心から放射状に「引き火」といわれる光跡が残る花火なので、ピントも露出もオートで容易に合って撮りやすい

 

スマホ花火撮影におすすめのカメラアプリ

■マニュアル撮影対応アプリ「ProCam 4」を活用する

↑「ProCam 4 - マニュアルカメラ+RAW」。iOS用。600円↑「ProCam 4 – マニュアルカメラ+RAW」。iOS用。600円

 

花火をスマホで撮る場合、iPhone純正のカメラアプリでは、基本的には露出やピントがカメラ任せとなるため、狙いとは違った写りになることがある。また、ISO感度が自動的にアップし、高感度ノイズが目立ってしまうこともある。そんな失敗を避け、より確実にスマホで花火を撮るためには、マニュアル撮影ができるカメラアプリを利用したい。

 

そのひとつが「ProCam 4」だ。ProCam 4は、シャッター速度のほか、ISO感度、フォーカス、ホワイトバランスの各マニュアル設定に対応。自動感度アップによる画質低下を抑えつつ、最長1/4秒の低速シャッターが利用できる。ホワイトバランス調整によって花火の色合いを変更したり、意図的にピントをぼかしたりすることも可能だ。さらにスローシャッターモードに切り替えた場合には、4、8、15、30秒の長時間露光、およびバルブでの撮影が行える。

↑通常の撮影モードでは、最長1/4秒の低速シャッターや、ISO感度、ホワイトバランス、ピントのマニュアル設定ができる↑通常の撮影モードでは、最長1/4秒の低速シャッターや、ISO感度、ホワイトバランス、ピントのマニュアル設定ができる

 

↑スローシャッターモードの「ローライト」では、最長30秒の長秒露光やバルブ撮影が行える↑スローシャッターモードの「ローライト」では、最長30秒の長秒露光やバルブ撮影が行える

 

■花火アプリや夜景アプリを使ってみよう

花火や夜景の撮影に最適化されたカメラアプリもある。そのひとつ「大仙花火カメラ」は、大曲の花火で知られる秋田県大仙市が提供しているカメラアプリだ。操作画面は非常にシンプルで、使い方は花火に向けてシャッターボタンをタップするだけ。すると、花火が打ち上がったタイミングで連続して自動撮影が行われ、その撮影カットを合成して、華やかな1枚の花火写真として保存できる。

↑「大仙花火カメラ」。iOS用/Android用。無料↑「大仙花火カメラ」。iOS用/Android用。無料

 

↑赤い撮影ボタンを押すだけのシンプルな操作画面(右)。赤強調や青強調などのエフェクトを加えたり、最大5枚の合成処理を行ったりすることも可能↑赤い撮影ボタンを押すだけのシンプルな操作画面。赤強調や青強調などのエフェクトを加えたり、最大5枚の合成処理を行ったりすることも可能

 

夜景撮影アプリとして人気の高い「夜撮カメラ」を使って花火を撮ることも可能だ。こちらは機能が比較的豊富で、露出やシャッター速度、フォーカスのマニュアル調整のほか、グリッド表示やアスペクト比の選択、セルフタイマー撮影などに対応する。さらに、分単位や時間単位でのバルブ撮影や、複数のカットを重ね合わせて記録するコンポジット合成なども行える。高機能ながら無償である点もありがたい。

↑「夜撮カメラ」。iOS用/Android用。無料(一部の機能は有料)↑「夜撮カメラ」。iOS用/Android用。無料(一部の機能は有料)

 

↑画面の左右と下段にある目盛りの上をドラッグして、シャッター速度や露出補正、フォーカスの調整ができる↑画面の左右と下段にある目盛りの上をドラッグして、シャッター速度や露出補正、フォーカスの調整ができる

 

こうしたスマホ+カメラアプリによる花火撮影は、画質では一眼レフカメラやミラーレスカメラに及ばないが、撮影後すぐにSNSなどでシェアできることと、大きな機材を持たなくて済むことがメリットといえる。