東京電力エナジーパートナー(TEPCO)とソニーモバイルコミュニケーションズの両社は、昨年8月からスマートホーム分野でIoTの技術を生かした新サービスを共同で開発してきました。そして今回、一般家庭向けのIoTサービス「TEPCOスマートホーム」を発表。その第1弾として、スマホを使って離れた場所にいる家族の暮らしを見守るサービスなどの受付を8月7日より開始しました。

 

留守中の様子をモニタリングできる「おうちの安心プラン」

今回発表されたサービスは2つ。その1つである「おうちの安心プラン」は、ソニーの通信・センシングデバイスとハードウェア・ソフトウェアの開発技術を生かした、家族の帰宅や留守宅の状況を外出先からスマホアプリでモニタリングできるサービスです。

20170809_y-koba7 (2)↑TEPCOとソニーが共同開発した「おうちの安心プラン」。家族や留守宅の見守りサービスから利用できるようになります

 

本サービスでは、ソニーモバイルが開発した宅内設置用のセンサーと、ユーザーの持ち物に付けるスマートタグ、これらのIoTデバイスをホームネットワーク内で制御するためのスマートホームハブとブリッジを利用します。月額利用料金は3280円(税別)、スマートタグは1個につき4320円(税別)。これに加えて、機器設置作業料1万8000円(税別)と事務手数料3000円(税別)が別途必要ですが、設置作業料は2年間の利用で無料になるほか、事務手数料が不要かつスマートタグ2個が無料になるスタートキャンペーンも11月30日まで実施されます。

20170809_y-koba7 (5)↑ソニーモバイルが開発したセンサー(左)、ブリッジ(中央)とスマートタグ(右)

 

20170809_y-koba7 (4)↑センサー機器のコントロールを取りまとめるスマートホームハブ

 

具体的な活用シーンとしては、センサーがドアの開閉状態を検知し、留守中に変化が起きるとスマホアプリへ通知が飛んできます。さらに、子どものランドセルやバッグにスマートタグを結んでおくと、センサーが子どもの外出や帰宅のタイミングを検知して、同じくスマホアプリに知らせてくれます。IoTデバイスの正確なコントロールと、通信の安定性を高める技術にソニーモバイルの知見が生かされています。

20170809_y-koba7 (3)↑センサーが家族の帰宅を検知。スマホアプリに通知を飛ばす仕組み

 

宅内に設置するセンサーには室温を検知する機能も搭載。ただし、執筆時点では室温の昇降を通知してくれるだけなので、例えば自宅の温度が上がってきた場合に、子どもに「エアコンの温度設定に気をつけてね」とメールを送ることは可能ですが、直接エアコンの温度調整をすることはできません。将来的にはエアコンのコントロールもスマホからダイレクトに行える対応機器の登場にも期待したいところです。

20170809_y-koba7 (6)↑センサーには室温を検知できる機能も搭載。今後、エアコンの温度管理も連動できるようになればより便利になりそうです

 

電流の波形から家電の使用状況を把握できる「遠くても安心プラン」

発表された「TEPCOスマートホーム」にはもうひとつ、離れて暮らす家族がいつどのようなかたちで家電を利用したのかをスマホアプリでチェックできる「遠くても安心プラン」が用意されています。

20170809_y-koba7 (9)↑離れて暮らす家族の生活を見守るための「遠くても安心プラン」

 

仕組みとしては、約8cmのコンパクトな「エネルギーセンサー」を家庭の分電盤に設置すると、内蔵センサーが電流の波形を検知。独自技術でその波形を解析して、家電の使用状況をスマホアプリに通知するというものです。

20170809_y-koba7 (10)↑手のひらサイズのエネルギーセンサーを分電盤に設置

 

これは主に遠方に暮らす高齢の家族を見守ることを想定したサービスで、普段とは異なる家電の使い方をしていたり、猛暑の日にエアコンを付けていなかったりということがわかれば、電話などで家族の様子を確認できると謳っています。万が一の場合に備え、専任のスタッフによる訪問サービスを申し込むこともできます。

20170809_y-koba7 (11)↑家電の利用状況をスマホアプリからチェック。離れて暮らす家族の様子を見守ることができます

 

「遠くても安心プラン」は月額利用料金が2980円(税別)、機器設置作業料が1万8000円(税別)、事務手数料が3000円(税別)。「おうちの安心プラン」と同じく設置作業料は2年間の利用で無料になるほか、2018年1月14日まで実施されるスタートキャンペーンを利用すれば事務手数料が不要になり、月額料金も3か月無料となります。

 

どちらのサービスも東京電力との契約がなくても日本全国から申込み・利用ができるのも特徴です。

 

「スマートホーム」ブレイクのきっかけに

東京電力エナジーパートナーでは、「家が、家族になる」サービスというテーマを掲げています。8月7日に開催された記者発表会では、東京電力エナジーパートナーの代表取締役社長 川崎敏寛氏が壇上にあがり、「総合エネルギーサービスを提供する東京電力が、ソニーモバイルの協力を得て、人と人、人とモノをつなぐ“安心”で“便利”なサービスを提供できることをうれしく思う」とコメントしました。

 

また、スマートホームやIoTをよく知らない人からサービスに興味を持ってもらうためには、さらに「快適さ」と「楽しさ」をアピールすることも大切だと川崎氏は語ります。そのためにも、今回のソニーモバイルと連携したことが非常に重要な意味を持っていると川崎氏は強調します。

 

発表会にはソニーモバイルコミュニケーションズの代表取締役社長兼CEOである十時裕樹氏も登壇。十時氏は「ソニーモバイルではハードウェアを中心に事業を展開してきたが、これからはハードウェアだけでなく、お客様が本当に求めているサービスをより広く探求していくことが大事になる」と語りました。加えて、「東京電力エナジーパートナーが提供してきた“安全”“安心”という価値に、ソニーの資産である技術と製品を組み合わせることで、革新的で快適・楽しいと感じられる価値が生まれるだろう」とした十時氏は、「TEPCOスマートホーム」が日本でスマートホームがブレイクするきかっけの1つになるのではと期待を寄せました。

20170809_y-koba7 (1)↑記者会見で登壇した東京電力エナジーパートナーの川崎氏(写真左)とソニーモバイルコミュニケーションズの十時氏(写真右)

 

将来的には他製品との連携なども視野に

ドアの開閉チェックや、家族の見守りサービスとったサービスイン当初から利用できるサービスの内容だけを見ると、毎月3000円近くの出費は、正直なところ荷重だと感じる人も多いでしょう。TEPCOスマートホームの発展は今後のサービス拡充にかかっているといえそうですが、これからサービスが充実していく期待は持てるのでしょうか?

 

その点に関して、東京電力エナジーパートナーでサービスの企画開発に携わる常務取締役の田村 正氏は、「サービスの内容は早い段階から充実させていくつもり。月額使用料金も上げることなく使ってもらえるようにしたい」と語っています。また、いま注目されている音声認識によるユーザーインターフェースを取り込んだり、他社のサービスや製品にも接続できるよう枠組みを広げていくことにも意欲を示していました。

 

今回ソニーモバイルが開発したスマートホームハブはWi-Fiのほか、BluetoothやZigbeeなどさまざまな無線通信規格に対応しています。これを応用し、例えばソニーがすでに発売しているLED電球スピーカーやマルチファンクションライト、Wi-FiやBluetoothによる無線接続機能を搭載する短焦点プロジェクター「Xperia Touch」などの製品と連携した便利な使い方も、近い将来にできるよう準備が進められているようです。そうなれば最先端の豊かな暮らしがもっと具体的に見えてくるかもしれません。

20170809_y-koba7 (7)↑スマートホームハブとソニーのスピーカー、照明機器が連動するイメージ。こちらは遠くない将来に実現しそうです

 

20170809_y-koba7 (8)↑スマートプロジェクターやスマートロックとの連携も計画されています