スイス時計の総本山、ラ・ショー・ド・フォンに位置するタグ・ホイヤーの本社工房。ヒット作の増産に追われ、現在フル稼働中の貴重な工房内部をWNが取材しました。

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増産体制整備中の時計界を牽引する工房とは?

ここ数年ヒット作を連発し、今やCEOのジャン‐クロード・ビバーと共に時計界の寵児となったタグ・ホイヤー。コネクテッドウオッチ第2弾となる、モジュラー45や豊富なバリエを持つカレラ ホイヤー01など人気モデルを持つ故の悩みが〝生産体制〞でした。ラー・ショー・ド・フォン本社の工房では〝増産〞の命題に応えるべく、2つのセクションを強化しました。プロトタイプを作るデザインチームと50人のスタッフを抱えるT2ワークショップです。前者はとにかく生産ロスがなくなるよう設計をし、後者は先進の組立機械と人の手とで精密さと効率を兼備した生産ラインを構築しています。

20170914_hayashi_WN_02↑CAD上で文字盤の詳細な仕様をシミュレーション中

 

現代の多彩なラインナップをプロデュースするには従来のやり方では難しかったため、タグ・ホイヤーはCADと3Dプリンターを駆使し完璧なプロトタイプを作る体制を整えました。現在、同社が最も力を注いでいるというCADのセクションには2人のデザイナーがおり、彼らが生産効率を考慮した設計図を作るところから全てが始まるのです。

↑3Dプリンターで出力したプロトタイプは樹脂製で、ディテールまで確認できる↑3Dプリンターで出力したプロトタイプは樹脂製で、ディテールまで確認できる

 

PC上での作業を終えると、個々のパーツから削り出してプロトタイプの製作に移ります。専用ワークショップでピニオンの切削までを行う徹底ぶりで、出来上がったものは量産前にさらに入念なテストが課されます。①外装が美的に良いか②高品質な素材が理想の形状になっているか③ムーブメントの耐久性、の3大項目が主なテスト対象です。5000回の耐振動テストなど11もの検査を行い、保証期間である2年間の使用想定基準をクリアしてようやく時計は生産ラインへと乗ります。

↑高品質なSSケースはミリング切削で加工される。見事な光沢を放つ↑高品質なSSケースはミリング切削で加工される。見事な光沢を放つ

 

両側から強い力で引っ張るストラップの強度テストや、高温多湿状態での時計の経年変化を見るものなど、品質保持のため一本、一本丁寧にテストが行われます。目まぐるしいこれらの工程は、ビバー氏の「すぐ実践する」理念を表しているかのようでした。

 

後編は、タグ・ホイヤーの名作を生んだ2つのワークショップに迫ります。