富士フイルムのミラーレス一眼は、長年フィルムを製造し続けてきたメーカーだけに、そのノウハウを生かした「フィルムシミュレーション」や、独自のカラーフィルター配列を用いた「X-Trans CMOSセンサー」を採用するなど、独自性が高い。また、光学性能や鏡筒の材質感、操作性にこだわったXマウント交換レンズに魅了されるファンも多い。近年は中判ミラーレスの発売でも注目を集めている。ここでは、そうした富士フイルムのミラーレス一眼の代表機種を、上級・中級・初級にわけて紹介。それらの特徴について解説する。

 

【上級機】像面位相差AFや高精細なEVF採用で快適・確実な撮影を実現

Xシリーズミラーレス一眼の旗艦モデルとなるのが「FUJIFILM X-T2」。2430万画素のAPS-Cサイズセンサー「X-Trans CMOS Ⅲ」を搭載し、卓越した高画質を誇る。高速・高精度な像面位相差AFや高精細なEVFなども採用され、快適で確実な撮影を実現。4K動画撮影にも対応する。

↑●撮像素子:23.6 × 15.6㎜、有効約2430 万画素X-Trans CMOS Ⅲセンサー ●背面モニター:3 型約104 万ドット、3方向チルト式 ●シャッター速度:1/8000 〜 30秒、バルブ ●サイズ:132.5×91.8×49.2㎜ ●質量:約507g ●参考価格/16万4100円(ボディ)●撮像素子:23.6×15.6㎜、有効約2430万画素X-Trans CMOS Ⅲセンサー ●背面モニター:3 型約104万ドット、3方向チルト式 ●シャッター速度:1/8000〜30秒、バルブ ●サイズ:132.5×91.8×49.2㎜ ●質量:約507g ●参考価格(2017年1月現在)/17万8780円(ボディ)

 

↑X-T2のボディ素材には、軽量ながら堅牢性や耐久性に優れるマグネシウム合金が採用されている。防塵・防滴構造も実現している↑X-T2のボディ素材には、軽量ながら堅牢性や耐久性に優れるマグネシウム合金が採用されている。防塵・防滴構造も、上位モデルならではの魅力

 

↑3方向チルト式プレミアムクリア液晶を採用。横位置時は上下チルト、縦位置時は上にチルト。縦横で光軸がズレないのが特徴↑3方向チルト式プレミアムクリア液晶を採用。横位置時は上下チルト、縦位置時は上にチルト。縦横で光軸がズレないのが特徴だ。タッチパネルは非搭載

 

【こちらもおすすめ!】EVFとOVFを切り替えられる「X-Pro2」

↑同社の旗艦モデルの1つ、X-Pro2。EVFとOVFを切り替えて使用できる、エレクトロニックレンジファインダー機。クリアで広いファインダー像が特徴だ

同社のもう1つの旗艦ミラーレス一眼が、X-Pro2。EVFとOVFを切り替えて使用できる、エレクトロニックレンジファインダー機。クリアで広いファインダー像が特徴だ。2018年1月現在の参考価格は21万1550円(ボディ)。

 

【中級機】小型軽量ボディでも写りは上位モデル譲り

同社の中級機「FUJIFILM X-T20」は、小型軽量のボディに、直感的に操作できる各種の専用ダイヤルを配置。上位モデル譲りの2430万画素APS-Cセンサー「X-Trans CMOS Ⅲ」と「X-Processor Pro」を搭載しており、画質的にも遜色はない。4K動画撮影機能にも対応する。

↑●撮像素子:23.6×15.6㎜、有効約2430万画素X-Trans CMOSⅢセンサー●背面モニター:3型約104万ドット、チルト式タッチパネル●シャッター速度:1/8000〜30秒、バルブ●サイズ:118.4×82.8×41.4㎜●質量:約383g●参考価格/10万1050円(ボディ)●撮像素子:23.6×15.6㎜、有効約2430万画素X-Trans CMOS Ⅲセンサー ●背面モニター:3型約104万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/8000〜30秒、バルブ ●サイズ:118.4×82.8×41.4㎜ ●質量:約383g ●参考価格(2018年1月現在)/10万6350円(ボディ)

 

↑静電式タッチパネルの採用により、撮影時に「タッチフォーカス」や「フォーカスエリア選択」、「タッチショット」が可能になった↑X-T2では非搭載の静電式タッチパネルの採用により、撮影時に「タッチフォーカス」や「フォーカスエリア選択」、「タッチショット」が可能になった

 

↑従来の約4倍の処理速度が可能な画像処理エンジン「X-Processor Pro」により、静止画や動画のレスポンス、品質などが大幅に向上↑従来の約4倍の処理速度が可能な画像処理エンジン「X-Processor Pro」により、静止画や動画のレスポンス、品質などが大幅に向上

 

【初級機】初心者でもアクティブに撮影が楽しめる軽量モデル

同社の初級機「FUJIFILM X-A3」は、EVF非採用の小型軽量モデルで、レトロなデザインが大きなウリ。1/32000秒まで対応した電子シャッターを搭載するなど機能が充実しており、自撮りに便利な180度回転チルト液晶モニターも装備する。中・上位モデルと違ってX-Trans CMOSセンサーは非搭載ではあるが、タッチ操作に対応するなど必要十分な機能をもつ。初心者でもアクティブに撮影が楽しめる軽量モデルといえる。

↑X-Trans CMOSセンサー非搭載モデルだが、タッチ操作に対応するなど必要十分な機能を持つ。初心者でもアクティブに撮影が楽しめる軽量モデルだ。●撮像素子:23.5×15.7㎜、有効約2420万画素CMOSセンサー●背面モニター:3型約104万ドット、チルト式タッチパネル●シャッター速度:1/4000 〜 30秒、バルブ●サイズ:116.9×66.9×40.4㎜●質量:約339g●参考価格/6万8300円(レンズキット)●撮像素子:23.5×15.7㎜、有効約2420万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3型約104万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/4000 〜 30秒、バルブ ●サイズ:116.9×66.9×40.4㎜ ●質量:約339g ●参考価格(2018年1月現在)/8万460円(レンズキット)

 

【富士フイルム一眼・5つの特徴】独自センサーにより精細で色再現に優れる

富士フイルムのデジタルカメラは、以前から独自センサーを用いることで、同社ならではの写りや高感度性能を実現してきた。Xシリーズのミラーレスカメラも同様で、最近のカメラでは「X-Trans CMOS Ⅲ」が用いられている。また、写真用フィルムの特徴をデジタル写真の仕上がりにフィードバックした「フィルムシミュレーション」なども魅力となっている。

 

■特徴1/独自センサー

中・上級モデルには、独自の「X-Trans CMOS Ⅲ」を採用する。このタイプのセンサーの特徴は、非周期性の高い(周期パターンを複雑化した)カラーフィルター配列を採用している点。通常のセンサーはローパスフィルターでモアレや偽色を低減するが、若干解像力が低下してしまう。その点、このセンサーなら光学フィルターなしでもモアレや偽色を抑制でき、センサーの解像度を限界まで引き出すことができる。

↑X-Trans CMOS Ⅲの断面。上から、マイクロレンズ、X-Transカラーフィルター、遮光層、位相差画素、フォトダイオードという構造↑X-Trans CMOS Ⅲの断面。上から、マイクロレンズ、X-Transカラーフィルター、遮光層、位相差画素、フォトダイオードという構造

 

↑実際の画素数を上回る高い解像力が得られる「X-Trans CMOSⅢ」センサー。従来比約2倍の高速読み出しで、AFや連写性能に貢献↑実際の画素数を上回る高い解像力が得られる「X-Trans CMOS Ⅲ」センサー。従来比約2倍の高速読み出しで、AFや連写性能に貢献

 

↑X-T20で撮影。F16まで絞ったため、小絞りボケによる画像劣化が懸念されるが、「点像復元」機能の搭載もあり、高精細に写せた。29ミリ相当 絞り優先オート(F16 1/85秒)+0.3補正 WB:オート↑全体をシャープに写すために絞り値を大きくしていくと、逆に解像力の低下したねむい画質になってしまう場合がある。X-T20は、こうした画質劣化をデジタル画像処理によって改善する「点像復元機能」を搭載。この作例でもF16まで絞ったが、高精細に写せた。29mm相当 絞り優先オート(F16 1/85秒)+0.3補正 WB:オート

 

■特徴2/フィルムシミュレーション

富士フイルムは、PROVIA、Velvia、ASTIA、といったカラーリバーサルフィルムを作り続けてきた。それらの色や階調を再現した描写が得られる仕上がり設定が「フィルムシミュレーション」。カラーネガやモノクロのフィルムなどを想定した設定も用意されている。

↑具体的なフィルム名で仕上がりが選べる。フィルムの特徴を生かした描写は同社ならでは↑具体的なフィルム名で仕上がりが選べる。フィルムの特徴を生かした描写は同社ならではだ

 

20180123_kohno_012

20180123_kohno_013

↑写真上から、自然な仕上がりのプロビア、、色鮮やかに仕上がるベルビア、モノクロフィルムのアクロスで撮影。フィルムカメラでは、被写体や撮影シーン、また自分の好みや作画意図でフィルム銘柄を使い分けていたが、「フィルムシミュレーション」はそんな感覚で使える↑写真上から、自然な仕上がりのプロビア、色鮮やかに仕上がるベルビア、モノクロフィルム風のアクロスで撮影。フィルムカメラでは、被写体や撮影シーン、また自分の好みや作画意図でフィルム銘柄を使い分けていたが、「フィルムシミュレーション」もそのような感覚で使える

 

■特徴3/専用操作ダイヤル

機能ごとの専用操作ダイヤルを装備している点も、Xシリーズの特徴だ(X-A3は除く)。右手側にはシャッタースピードと露出補正、機種によっては、左手側にドライブや感度ダイヤルも備える。これらのダイヤルで各機能が直感的に設定できるほか、電源オフ時でも設定状態が確認できるというメリットもある。

↑ダイヤルを採用したことで、視認性が高まりカメラの状態も分かりやすい。フィルム時代のカメラを使用していたユーザーにも好評↑ダイヤルを採用したことで、視認性が高まりカメラの状態もわかりやすい。フィルム時代のカメラを使用していたユーザーにも好評

 

■特徴4/高感度

「X-Trans CMOS Ⅲ」と画像処理エンジン「X-Processor Pro」の組み合わせは、高感度性能にも寄与する。この点に関しては、実はカタログなどではあまり強調されていない。だが、実際に使用すると、ほかのAPS-Cサイズ機よりも高感度域での解像感に優れ、低ノイズで撮影できる。

↑常用感度上限のISO12800でもノイズが少なく、解像感も高め。拡張感度ならISO51200まで撮影できる↑常用感度上限のISO12800でもノイズが少なく、解像感も高め。拡張感度ならISO51200まで撮影できる

 

↑X-T20の常用感度上限ISO12800で撮影。ノイズやノイズ処理による不鮮明さが目立ちがちな感度だが、本機はノイズも少なく解像感も高い。27ミリ相当 絞り優先オート(F4 1/42秒)+0.3補正 WB:白色蛍光灯↑X-T20の常用感度上限ISO12800で撮影。一般的にノイズやノイズ処理による不鮮明さが目立ちがちな感度だが、本機はノイズも少なく解像感も高い。27mm相当 絞り優先オート(F4 1/42秒)+0.3補正 WB:白色蛍光灯

 

特徴5/4K動画

フルHD動画に加えて、X-T2とX-T20は4K動画(3840×2160)撮影機能を搭載。動画でもセンサーの特徴が生き、高精細でモアレやジャギーの少ない動画撮影が堪能できる。また、撮影中に絞りや露出補正などの設定変更も可能で、本格的な撮影が行える。

↑4K動画撮影の設定は、メニューの「動画設定」の「動画モード」内で行う。ちなみに、動画撮影時はHDMIモニター出力が可能で、外部マイク入力も行える本格仕様↑4K動画撮影の設定は、メニューの「動画設定」の「動画モード」内で行う。ちなみに、動画撮影時はHDMIモニター出力が可能で、外部マイク入力も行える本格仕様

 

↑すでに「フィルムシミュレーション」の特徴は述べたが、同機能を4K動画撮影時にも反映させられる。その独特な描写を楽しみたい↑すでに「フィルムシミュレーション」の特徴は述べたが、同機能を4K動画撮影時にも反映させられる。その独特な描写を楽しみたい