海外旅行で役に立つ翻訳ツールを検証する本企画。前回はオフラインで利用できる「ili(イリー)」についてご紹介しましたが、今回は「POCKETALK(ポケトーク)」を取り上げます。実際に英語・中国語・韓国語を母国語とする立場から、使用感について聞いてきました。

 

「ili」編はこちら

 

↑左から順に、検証に協力してくれた、リンさん(中国語)、コリンさん(英語)、イムさん(韓国語)の3名

 

POCKETALKは、63言語で使える手のひらサイズの通訳デバイスです(※2018年1月時点)。見た目は小型のモバイルWi-Fiルーターくらいといった印象。英語だけでなく、中国語、韓国語、フランス語、タイ語、ベトナム語などを用いて双方向のコミュニケーションができます。

 

翻訳機能を使うには、言語を指定してからボタンを押したあとに、デバイスに向かって喋りかけます。すると翻訳されたテキストが発話されます(※一部言語を除く)。搭載されているディスプレイには、文字でも表示される仕様。なお、画面には履歴が20件まで表示されるので、それを選択して再生することも可能です。連続使用は公称値で約6時間となっています。

 

↑「POCKETALK」のカラーは白と黒の2種類。価格はPOCKETALK単体で2万6784円、本体+専用グローバルSIM(2年有効)のセットで3万2184円、専用グローバルSIM(2年有効)のみで1万800円

 

さて、POCKETALKを目にするのは、皆さん初めてだったようで、早速質問が出てきました。

 

「ディスプレイを触って操作するのですか?」(リンさん)

 

――いいえ。下のボタンを使って操作します。

 

↑矢印の部分で操作する。表面を軽くタップして操作する

 

「左に表示されているのが入力する言語で、右に表示されるのが翻訳される言葉ですか?」(イムさん)

 

――いいえ、入力も翻訳も双方向です。入力したい言語側のボタンをタップします。言語を変更するときにはダブルタップします。

 

↑日本語から韓国語に翻訳したい場合には、左の矢印(<)をタップ。翻訳語の言語を変更したいときには、変更したい言語の側の矢印をダブルタップする

 

↑同機の「操作方法」

 

筆者もそうでしたが、初めて見た人は「これどうやって使うんだろう?」と感じますね。デザインそのものは、シンプルだとは思いますが、誰もが初見で操作を理解できるほどではありません。つまり、海外旅行先で初めて使う相手に渡すと、その度に操作説明が必要になるわけですね。これはちょっと面倒な部分かも。

 

また、ネットワークに関しての質問もでました。

 

「使うときはWi-Fiが必要なの?」(コリンさん)

 

――Wi-Fiでも使えます。SIMカードもセットできます。

 

入力した音声はクラウド上で翻訳するため、使用時にはネットワークに接続している必要があります。Wi-Fiに接続するか、あるいはSIMカードをセットした状態で利用しましょう。専用グローバルSIMを挿入すれば79の国と地域で通信できます。

 

「そっかぁ。それじゃ僕は、その点はiliの方が好きだな。場所によって使えなくなる心配もなさそうだし」(コリンさん)

 

言語数にこだわらなければ、ネットワーク接続が不要で、翻訳スピードが速い「ili」に好印象を抱く人もいました。

 

さて、実際に日本語をそれぞれの言語で訳してみて、意思疎通が取れるか確認してもらいました。検証したテキストは前回と同じく、[料金はいくらですか?][禁煙席はありますか?][試着してもよいですか?][日本語を話せるひとはいますか?]など。

 

――英語の翻訳はどうでしたか?

 

「問題ないと思う。語彙の数はiliよりも多いね。双方向だからお互いに意思疎通できる点も良い。会話したいならこっちですね」(コリンさん)

 

――道や駅で突然知らない人に渡されても抵抗感ない?

 

「うん、大丈夫。ボタン押して話すだけだからね」(コリンさん)

 

↑リンさんがPOCKETALKを検証

 

――中国語の翻訳はどうですか?

 

「うん“中国語”は大丈夫。発音はiliもPOCKETALKも明瞭でしたけど、こっちの方が人間的ですね。iliはロボットっぽかった」(リンさん)

 

――ちょっとお二人で会話してみてもらえますか?

 

コリンさん&リンさん
「ゴニョゴニョ……」
「ゴニョゴニョ……」

 

「……大丈夫でした」(リンさん)

 

――ちょっ、完全に置いてかれた(笑)。どんな流れだったのか教えてください!

 

「えっと、一部抜粋すると(コリン「日本が好きですか?」)→(私「好きですよ、あなたは?」)→(コリン「ええ、日本人の人柄が好きです」)みたいな感じでした」

 

ちょっと何回か通じない場面もあったようでしたが、言い方を選択することで、最終的には意思疎通が取れたようです。ただし、これはお二人とも国際的な理解を持った人物だからこそかもしれません。

 

使う際には、なるべくシンプルなフレーズで、短文で分かりやすく。これはどの翻訳ツールを使うときも共通する基本のようです。

 

――韓国語の翻訳はどうでしたか?

 

「んー……韓国語の声、めちゃめちゃ声低いですね(笑)。モソモソ喋るのであまり聞き取りやすくないです」(イムさん)

 

↑イムさん曰く、韓国語の音声が低すぎるとのこと

 

「特に語尾を伸ばすような印象を受けました。日本語だと“喫煙席ありますかぁ〜”みたいな。この人疲れてんのかなぁ?って思いますね(笑)。意味は合ってましたよ」(イムさん)

 

「iliの方はロボット的でテンション高過ぎましたけど、POCKETALKは低すぎますね(笑)。あと、やはり発音的には、POCKETALKの方が人間に近いです」(イムさん)

 

――翻訳の質はどうでしたか?

 

「“試着してみて良いですか?”は、iliだと“試着”の変換が上手くいきませんでした。でも、こちらは自然にできていました」(イムさん)

 

言語によっては、こうした差があるようです。試してみると色々と分かるもんですね。

 

深くコミュニケーションするのに適している

POCKETALKのメリットはやはり、双方向のコミュニケーションができること。注意点は通信環境が必要となることでしょう。検証した人の認識も、ある程度共通していました。

 

↑リンさんはPOCKETALKに好印象を抱いたようだった

 

「人とコミュニケーションするなら、POCKETALK選びますね。前回のiliは片方向のツールなので、最低限の意志を伝えるには良いけど、“コミュニケーション”はとれないですもん。使われる側だとしたら、相手の言う事だけわかって、こちらの意思が伝えられないのはちょっと困る。ちなみに、Google翻訳は“辞書”と認識しているから、私はこういう場面だと使わないかも」(リンさん)

 

前回紹介した「ili」は「海外旅行先で自分の要望を最低限伝える」ためのツールでした。だからこそ、片方向の翻訳のみに対応し、オフラインで使えるという仕様だったわけです。

 

一方のPOCKETALKは、通信が必要になる代わりに、多くの言語に対応し、双方向の翻訳ができます。じっくりと腰を据えて意思疎通をするには、利用価値が高い製品です。文字での表示がある点もポイント。公式サイトで「観光、ビジネス、語学学習などで使える」と謳っているように、観光以外でも使えることに注目したいですね。

 

同企画の3回目は、Google翻訳について。後日改めて紹介します。

 

あらためてili編を読みたい方はこちら