Vol.78-1

 

「遅延」という弱点を実況動画がカバーする!?

3月20日、Googleは、新ゲームプラットホーム「STADIA」を発表した。サービス開始は2019年中。まず欧米で展開し、日本でのビジネスはその後になる。

↑Google「STADIA」

 

ゲームプラットホームといえば「家庭用ゲーム機」という印象が強いが、STADIAは、いわゆるゲーム機ではない。ハードウェアはクラウドの向こうに用意され、インターネットを介して動作する。クラウドの向こうにある本体は、プレイステーション4を超える性能で、4Kでのゲームプレイが可能。その能力を使う「端末」の側は、スマートフォンでもPCでもテレビでもなんでもいい。サービス利用料金さえ支払っていれば、高価なゲーム専用機やゲーミングPCを買う必要はないのだ。「ゲーム機を買わなくても最新のゲームができる!」これは魅力的な惹句であるが、実際にはそんなに世の中は甘くはない。

 

クラウドを介してゲームを提供する「クラウドゲーミング」というビジネスは、STADIAが初めてではなく、10年以上前から複数の企業が展開している。例えばソニーは、「PlayStaion Now」というクラウドゲーミングサービスを展開中で、歴代プレイステーションのゲームが遊べる。

 

しかし、これら既存のクラウドゲーミングサービスは、大きな成功を収めることができていない。理由は複数あるが、結局「ゲーマーの支持を得られていない」ことに尽きる。

 

クラウドゲーミングには「遅延」がつきものだ。ネットの向こうで動くゲーム機から映像・音声だけを伝え、操作する側からはコントローラーの操作情報だけを伝える。だから手元にはゲーム機がいらないのだが、ネットを介するがゆえに、ボタンを押してからそれが操作として表示に反映されるまでには時間がかかる。これが、現状のサービスでは100ミリ秒から200ミリ秒かかる。一般的なゲームは1秒60コマで描かれているため、最大で6コマ分から12コマ分、遅れて動き出すのだ。

 

STADIAは、Googleが世界中に専用のサーバーを置き、技術的にも様々な工夫をすることで、遅延を大幅に抑えた、とされている。それでも数十から100ミリ秒は遅延があると見られ、皆無ではない。

 

もちろん、この不利はGoogleもわかっている。わかっていても、そこにビジネスの可能性があるから、「それでもやる」のだ。ポイントは「ゲームを始めるまでのプロセス」にある。

 

現在、面白そうなゲームを知る手がかりとして、「ゲーム実況動画」が果たす役割は大きい。だが、実況動画を見て、実際にそのゲームをプレイし始める人の数は意外なほど少ない。「そのゲームを買う」、「ゲーム機やPCにインストールする」という手間が大きいからだ。

 

だが、STADIAはゲームがクラウド側で動くので、インストールの手間が不要。ゲーム実況を見て面白そうと思ったら、5秒でプレイに移れる。自分がプレイするゲームの実況配信も簡単だ。ゲーム実況とプレイヤーの距離を縮め、ゲームの販売機会を増やそうというのがGoogleの狙いである。

 

なぜそういう発想に至ったのか? 遅延以外に懸念点はないのか? そうした疑問は次回Vol.78-2で解説していく。

 

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