〜〜2021年 鉄道のさまざまな話題を網羅〜〜

 

新しい年の訪れで期待が高まる2021年の鉄道。新特急や新型車両が登場する一方で、今年もコロナ禍は鉄道に大きな影響を与え続けそうだ。気になる新特急、新車情報、そして注目される鉄道の話題を追ってみよう。

 

【前編はコチラ】

 

【注目! 2021年⑥】長く走り続けてきた国鉄形車両もいよいよ

この春、東日本の鉄道ファンにとっては、ちょっと寂しいシーズンとなるかも知れない。最近はファンが殺到することを恐れて、さよなら運転をせずに静かに消えていく例が増えてきている。さよなら運転どころか鉄道会社からは運転終了日が発表されなくなってきつつある。予想するしかないが、2021年に消えていきそうな車両をここで取り上げておこう。

 

◆JR東日本185系

2020年の特急「スーパ―ビュー踊り子」251系に続き、東海道線から長年親しまれてきた特急形電車が消えていきそうな気配だ。185系である。すでに特急「踊り子」は185系からE257系への置き換えが発表されている。ダイヤ改正の前にはまだ首都圏から伊豆急下田駅への列車の一部と、伊豆箱根鉄道の修善寺駅へ向かう全列車が185系で運行されている。この列車がすべて撤退となる。さらに「湘南ライナー」などのライナーすべてが特急「湘南」になることで、こちらもE257系への切り替えが行われる。

↑相模灘を間近に眺め走る特急「踊り子」185系。東京駅〜熱海駅間では最大15両という長い編成がこの春まで見ることができる

 

185系は1981(昭和56)年に走り始めた。国鉄の最晩年に登場した特急形電車で、東海道線の特急として、また高崎線・上越線を走る「あかぎ」「草津」などの特急として長年、走り続けてきた。万能タイプの電車ということもあり、他線の臨時特急や快速列車としても利用されてきた。

 

2021年でちょうど登場から40年間を迎える。ダイヤ改正後にどのぐらいの車両数が減るか、気になるところ。185系特有の甲高いモーター音が、日常に聞けなくなると思うとちょっと寂しい。ちなみに国鉄形特急電車は、185系がこのまま消えることになれば、JR西日本の特急「やくも」381系を残すのみとなる。

 

◆JR東日本215系

215系はJRが発足して早々の1992(平成4)年に誕生した電車で10両×4編成が造られた。東海道線を走る「湘南ライナー」など着席サービス用の電車として開発、より多くの人が座れるようにと両先頭車を除く8両が2階建て仕様という珍しい構造となっている。

 

「湘南ライナー」などの「ライナー」のほか、一時期は東海道線の快速「アクティー」にも利用されたが、乗降用扉が各車両の前後に2つしかなく、乗り降りに時間がかかり遅延が発生しやすいことから2000年代にはいって、すぐに「アクティー」での運用を取りやめている。「ライナー」以外には中央線を走る「ホリデー快速ビューやまなし」などの運用に使われたが、稼働率が低いちょっと“残念”な電車となりつつあった。

↑「ホリデー快速ビューやまなし」として中央線を走る215系。211系の2階建てグリーン車を元に設計された

 

春のダイヤ改正で「湘南ライナー」が消滅してしまう。215系の定期運用の場がなくなるわけだ。あとは臨時列車としての活路を見いだすかどうかだが、すでに車歴が30年になることもあり、このまま引退となる公算が強そうだ。

 

◆JR東日本E4系

JR東日本の新幹線網では、E1系(2012年10月28日に引退)、そしてE4系と、2階建て新幹線が造られ活かされてきた。2階建てにしたのは定員数を増やすための工夫で、E4系8両×2編成が連結して走る列車は、高速列車では世界一の定員数1634人が乗車できる列車として話題にもなった。

 

定員数を増やせた利点はあったものの、最高時速が240kmと、他の新幹線車両に比べ劣ることから、路線全体のスピードアップができないことが課題となっていた。現在、走る上越新幹線のスピードアップを図るためE4系は2020年度末までに引退予定だった。しかし。

↑東北新幹線も走ったE4系だが、スピードアップ化の流れの中でつらい立場に。やや延命したが秋には最後の運転ということになりそうだ

 

令和元年東日本台風による千曲川の氾濫で長野新幹線車両センターに留置されていたE7系、W7系の10本(計120両)が水没、廃車せざるをえなくなる。このことにより、E4系はやや延命することになった。とはいえ、この春には上越新幹線用にE7系を追加で投入される。この投入でE4系が使われていた列車の計12本が置き換えられる。また秋にはE7系のさらなる増備が予定されている。

 

残ったE4系の中には延命のため新たに全般検査を受けた車両もあるが、秋に行われるE7系の増備で、延びたE4系の寿命も2021年いっぱいということになりそうだ。

 

◆JR東日本キハ40系

JR東日本では非電化区間用にGV-E400系電気式気動車、もしくはEV-E801系蓄電池電車を開発し、積極的に増備を続けている。そんな流れを受けて、国鉄時代に生まれた気動車が次々に消えていっている。

↑五能線を走るキハ40系。すでに2020年12月から五能線をGV-E400系が走り始めている。春には全列車が置き換えられる予定だ

 

キハ40系はJR東日本の非電化区間用に最後まで残った国鉄形気動車である。この数年、JR東日本のキハ40系の淘汰が著しい。2020年のダイヤ改正からその後にかけて、磐越西線、只見線、羽越本線のキハ40系がGV-E400系や、キハ110系、キハE120系に置き換わった。

 

そして2021年の春は、五能線、男鹿線のキハ40系が消えていく。残りは奥羽本線内と、津軽線の一部のみとなりそうだ。この両線も運用は少なく、長年親しまれたキハ40系は、近いうちに消えていきそうな気配だ。

 

JR東日本で残るキハ40系は、「びゅうコースター風っこ」や「越乃Shu*Kura」といった観光列車用に改造された編成のみとなる。

 

【注目! 2021年⑦】阿佐海岸鉄道にDMVが走り始める

さて2021年、これからの地方の公共交通機関が生き残るための一つの方策となりそうな新たな“鉄道”が走り始める。四国の東南、徳島県と高知県の間を走る阿佐海岸鉄道に、DMV(デュアル・モード・ビークル)が投入される。

↑2019年秋に公開された阿佐海岸鉄道のDMV。地方の鉄道の生き残り策として注目されている。左上は鉄輪を出したところ

 

DMVは元々、JR北海道が閑散路線用に開発を進めていた車両で、マイクロバスをベースに収納式の鉄輪をつける。線路を走る時は鉄輪を出して走行、道路に降りる時は鉄輪を収納して、バスとして走る。車両費用も鉄道に比べて割安で済み、乗車率が低い鉄道路線には最適な運行スタイルだ。また駅から道路に降りれば、目的地までバスとして運行ができる。

 

阿佐海岸鉄道では2019年秋に車両を導入すると共に、DMVに対応できるように路線の変更工事も進めていた。2020年8月にはJR牟岐線の阿波海南駅〜海部駅間を阿佐海岸鉄道の路線に編入する認可申請を四国運輸局に提出。2020年12月初頭からは阿佐海岸鉄道の列車の運行を休止、バスの代行輸送を開始し、導入のための最後の工事を進めている。

 

DMVの運行開始は当初、2021年3月の予定だったが、やや予定が延び、夏ごろには阿波海南駅〜甲浦駅(かんのうらえき)のDMVの運転を開始する。DMVは、北は阿波海南文化村(徳島県海陽町)を起点に、鉄道路線を通って、南は海の駅東洋町(高知県東洋町)、さらにすぐ近くの県境を越えて道の駅宍喰温泉(徳島県海陽町)までバスとして走るとされている。

 

新しい可能性を秘めた鉄道輸送システム。どのように羽ばたいていくのか注目したい。

 

【関連記事】
世界初の線路を走るバス・DMV導入へ!「阿佐海岸鉄道」の新車両と取り巻く現状に迫った

 

【注目! 2021年⑧】自然災害を乗り越え復旧される鉄道路線

前回の2020年「ゆく年」の原稿では、自然災害に脅かされる鉄道路線の現状を追った。もはや全国の鉄道路線が、自然災害の影響から逃れることが容易でないことは、ここ数年の結果を見ても良く分かる。そうした中、2021年中に復旧される路線を見ておこう。

 

◆上田電鉄別所線(上田駅〜城下駅間が3月28日に復旧予定)

2019年10月13日、その後に令和元年東日本台風と名付けられた自然災害により、千曲川が増水。上田電鉄の千曲川橋りょうの一部が崩落してしまった。翌月の16日に城下駅(しろしたえき)〜別所温泉駅間の運転が再開したものの、上田駅と城下駅の間は、1年以上にわたり代行バスによる輸送が続いている。

↑千曲川の氾濫により橋の一部が壊されてしまった(2019年11月23日撮影)、左下は護岸工事が進む2020年9月27日の状況

 

国と県の復旧費に加えて地元上田市が全面復旧をサポート、さらに寄付金、ふるさと納税などの支援が集まり、復旧工事が進められている。そして目標としていた2021年3月28日に全線の運行再開が適いそうになっている。予定通り進めば1年5カ月ぶりに全線の運転が再開されることになる。

 

◆JR東日本水郡線(袋田駅〜常陸大子駅間が3月27日に復旧予定)

茨城県の水戸駅と福島県の安積永盛駅(あさかながもりえき)を結ぶJR東日本の水郡線(すいぐんせん)。風光明媚な山あいを走る。茨城県内は久慈川に沿って走る。この久慈川が令和元年東日本台風で氾濫し、沿線に大きな被害をもたらした。水郡線も第六久慈川橋りょうが落橋するなどで、10月13日から列車が不通となった。一部区間は11月までに運行再開したものの、西金駅(さいがねえき)〜常陸大子駅間が不通区間として残っていた。

 

不通していた区間の西金駅〜袋田駅間がまず2020年の7月4日に運転再開。残るは袋田駅〜常陸大子駅間のみとなっている。駅間3.8kmの一駅区間なのだが橋りょうの修復に時間がかかり同区間のみ不通が続いている。この区間の復旧は当初には2021年の夏ごろとしていたが、工事完了の予定が早まり3月27日に運転再開されることが発表された。筆者も運転再開されたら、ぜひ乗りに行きたいと考えている。

 

【注目! 2021年⑨】日高本線の一部区間がいよいよ路線廃止に

災害の痛手を乗り越え、復旧を果たす路線がある一方で、復旧できずに廃止が正式に決まった路線も現れている。残念ながら2021年に正式に廃止となる路線を取り上げておきたい。

 

◆JR北海道日高本線(鵡川駅〜様似駅間2021年4月1日廃止)

北海道の苫小牧駅と様似駅間の146.5kmを走った日高本線。本線と名が付くものの、ローカル色が強い路線だった。2015年1月8日、猛烈に発達した低気圧による高波で厚賀駅〜大狩部駅間の土砂が流失してしまう。この被害により鵡川駅(むかわえき)〜様似駅間116kmが不通となってしまった。悪いことは重なり、2015年9月、2016年に発生した台風により、2年続きで徐々に被害箇所が広まってしまうことになった。

↑厚真川を日高本線塗装のキハ40系優駿浪漫が渡る。同橋りょうも北海道胆振東部地震の被害を受けたが、廃止区間には含まれていない

 

その後、JR北海道と地元沿線7町の協議会の場がたびたび設けられ、復旧費用とその負担の割合などが話しあわれてきた。鵡川駅から先の被害が無い区間の運転再開を求める声があがったものの、折り返し運行のための設備費用の負担などの課題が残り、話し合いは長年にわたりまとまることがなかった。

 

その間にもJR北海道は経営状況が年々、悪化の一途をたどっていった。BRT(バス・ラピッド・トランジット)やDMVといった方式による代換案も出されたが、結局こちらの導入も断念された。そして2020年10月6日に沿線7町の臨時会議が開かれ、その場でJR北海道と沿線7町の間で、2021年4月1日に廃止し、同日から代替バスが運行開始することが正式に決まったのだった。

 

1度の被害ならば、まだ再開の見込みもあったろう。しかし、その後にもたびたび自然災害に襲われ、被害はそのつど広まっていった。何とも残念な結果となってしまったわけである。

 

【注目! 2021年⑩】秋田臨海鉄道がこの春に事業終了に

一般の人たちにはあまり知られていないものの、全国各地の臨海部などには臨海鉄道、または貨物専用鉄道が敷かれている。臨海鉄道や貨物専用線は貨物輸送量が確保されている時には、手堅い輸送業ということが言えるだろう。ところが、大口の荷主が荷物輸送を止めてしまったら、たちまち苦境に陥る。

 

秋田港の臨海部に路線を持つ秋田臨海鉄道。1970(昭和45)年4月21日に会社が設立された。奥羽本線の土崎駅からはJR貨物秋田港線が秋田港駅へ延びている。この秋田港駅から先、秋田臨海鉄道の北線と南線が設けられていた(北線はその後に休線に)。また秋田港駅の構内入換え作業、さらにJR貨物のコンテナ検修業務の委託を受けるなど、順調な経営を続けてきた。ところが。

↑旧雄物川を渡る光景が名物となっていた秋田臨海鉄道。残念ながら今後はこうした光景も見ることができなくなりそうだ

 

2020年6月に残念な発表があった。2021年3月いっぱいで事業を終了させるというのである。理由は南線で続けられてきた日本製紙秋田工場の紙製品の貨物輸送が終了となるためだった。同線の輸送の大半は、同工場の紙製品の輸送に頼っていたのである。

 

全国で紙の輸送は鉄道貨物輸送の中では大きな割合を占めている。ところが、時代はペーパーレス社会となってきた。紙製品の輸送は今後も減っていくことは間違い無い。こうした輸送に頼ってきた秋田臨海鉄道は、つらい状況に陥ることになった。秋田臨海鉄道の事業終了で、日本海側の臨海鉄道線は、すべて消えることとなった。残りは太平洋側の臨海鉄道線のみとなる。

 

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