2021年11月にバングラデシュのノートルダム・カレッジ(NDC)の学生が市営ゴミ収集車の誤運転による衝突事故で死亡しました。これをきっかけに現在同国では、多くの学生を中心とした抗議活動が展開されています。バングラデシュ、特に首都のダッカは深刻な交通渋滞が発生する都市として知られており、多くの危険が隣り合わせです。さらに今回の事故は、実際の運転手とは異なる代理の運転手が引き起こした事故であり、法と秩序の遵守を求めて数千人の学生がダッカの主要交差点を封鎖しました。

大規模な抗議運動を展開するバングラデシュの学生たち

 

バングラデシュでは、日本のように交通ルールやマナーが国民の間に浸透しておらず、交通インフラが未整備の地域も多くあります。今回のような交通事故が引き起こす大規模な学生運動は2018年にも発生しており、頻繁に発生する交通事故の多さは尋常ではありません。例えば、今回の抗議活動の最中にも別の市営ゴミ収集車による衝突事故でオートバイの運転手が死亡しています。

 

今回のデモ参加者による市長や政府への要求は、負傷者への補償や加害者への迅速な裁定、交通安全の意識向上などに加えて、交通管理システムの再設計やバス停留所、駐車場の適切な配置などインフラ部分にまで及んでいます。

 

社会規範を熟成させるには非常に長い年月を要し、通常は幼少時からの教育が必要であるため、この問題をすぐに解決することは難しいでしょう。しかし交通インフラにおいては、他国の状況を検証し、同様のシステムを導入していくことで改善に向かった歩みを進められる可能性があります。

 

日本に問題解決のヒント

日本はクルマ社会の形成において他国より一歩進んでいます。社会規範や補償、責任の概念に加えて、全国に張り巡らされている交通管制システムなどは他国から模範とされるような部分も多いでしょう。また、ドライバーの安全意識を向上させるようなサービスや、AIを活用して交通事故を防ぐ自動運転のような製品を提供している民間企業もあり、このような仕組みを輸出できる可能性も十分にあります。

 

渋谷のスクランブル交差点で通行者がぶつからないことは、海外の旅行者から賞賛される日本の名物の一つですが、それは普段あまり意識することがない高い社会規範と高度な交通システムから成り立っているのです。