ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、軽自動車「アルト」の新型モデルを取り上げる。大人気のハイトワゴンとは一線を画すアルトの魅力とは?

※こちらは「GetNavi」 2022年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】スズキ/アルト

SPEC【HYBRID X・2WD】●全長×全幅×全高:3395×1475×1525mm●車両重量:710kg●パワーユニット:657cc直列4気筒●最高出力:49PS(36kW)/6500rpm●最大トルク:58Nm/5000rpm●WLTCモード燃費:27.7km/L

94万3800円〜137万9400円(税込)

 

控え目の車両重量に申し分ないエンジンを備え軽やかな走り

安ド「殿! 今回は殿の希望で、新型アルトを借りてきました!」

 

永福「アルトは軽自動車の原点。軽くて走りっぷりが良いな」

 

安ド「本当に走りが軽やかでビックリしました!」

 

永福「先代モデルはもっと軽かったが、新型はマイルドハイブリッドが搭載されたので、出足の良さは先代モデルをしのいでいる」

 

安ド「価格も安いですね!」

 

永福「今回の試乗車は上級モデルのハイブリッドX。アルトとしては価格が高い部類だが、それでも126万円くらいなので、最近のクルマとしてはかなり安い」

 

安ド「軽でも総額200万円は当たり前になっていますから、126万円は安いです!」

 

永福「オプションを含めても138万円。その値段でこれだけ走行性能が高くて、装備もほとんど何でも付いている」

 

安ド「全方位モニターが付いていたのには感動しました。こういうクルマって、女性が乗ることが多いでしょうから、すごく便利だと思います!」

 

永福「軽は女性ユーザーが7割と言われるが、アルトの場合、男性の割合が高い気がするぞ」

 

安ド「えっ、なぜ?」

 

永福「営業車として使われることが多いからだ。個人ユーザーはもっと大きい軽を選んでいる」

 

安ド「……考えてみれば、一番売れてる軽は、ハイトワゴンのホンダ・N-BOXですもんね」

 

永福「N-BOXの車両重量は約1t。アルトは約700kg。300kgも軽くてエンジン性能はほぼ同じだから、アルトのほうが軽やかに走るのは当然だ。価格も断然安い。どう考えてもアルトのほうがお買い得だが、多くの人はN-BOXを買っている」

 

安ド「なぜでしょう?」

 

永福「少しでも広い家に住みたいのと同じく、人は少しでも広いクルマが欲しいのだ。軽の場合、床面積は同じだから、広いといっても天井が高いだけだが」

 

安ド「天井が高いと、確かに高級な感じはしますね! ホテルのロビーみたいに」

 

永福「合理的に考えればアルトだが、心情的に考えるとN-BOXになるのだな」

 

安ド「デザインはどうでしょう。キープコンセプトすぎて、クルマに詳しい人じゃないと、先代モデルと見分けがつかないのでは?」

 

永福「デザインは先代モデルのほうが圧倒的に優れていた。なにしろ先代モデルは、アウディでチーフデザイナーを務めた和田 智氏が関わっている」

 

安ド「でも、似てませんか?」

 

永福「ヘッドライトの形状は多少似ているが、それ以外はまるで違う。安ドよ、お前の目は節穴か!」

 

安ド「ヒェ〜、申し訳ありません!」

 

永福「しかし多くの人には、新型のほうが立派に見えるかもしれぬ。新型は天井が5cm高いからな」

 

安ド「やっぱり天井の高さなんですね!」

 

【GOD PARTS 1】フロアコンソールトレー

よく使うティッシュを手元に置いておきたい

運転席横の足元には大きめの小物入れが設置されています。スマホのような小さな物を置いておくと走行中のGで動いてしまいそうですが、ボックスティッシュならピッタリのサイズ。手を伸ばせばそこにティッシュ! って便利です。

 

【GOD PARTS 2】デュアルカメラ

2つのカメラで障害物をキャッチ!

予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」が全車標準搭載されています。前方の障害物を検知して、警告、およびブレーキ踏力をアシストするブレーキサポート機能は、2つのカメラを駆使して夜間の歩行者も検知できるそうです。

 

【GOD PARTS 3】ツートーンカラー

少しでもオシャレさを向上させたい

社用車として購入されることが多いため、白、黒、シルバー系のボディカラーが売れ筋になるでしょう。しかし、レッド、ブルー、ブラウン、ベージュの4色に関しては、ルーフがホワイトのツートーンカラーが選べて、“仕事のクルマ”感が一気に薄れます。

 

【GOD PARTS 4】ヘッドライト

同じような形だけど実は進化

先代モデルではもう少し角が尖っていましたが、外側に向かって広がる長方形という形状は変えずに、角が丸くなりました。なお、上位グレードはHIDランプ、その他はハロゲンランプを使用していて、内部構造まで異なります。

 

【GOD PARTS 5】軽量ボディ

軽さが生み出すキビキビした走り

軽量ボディの恩恵で、ドライビングがとにかく軽快。アクセルペダルの操作に応じて、キビキビ走ります。カーマニアの心情的には、この新型ベースでハイパフォーマンスモデルの「アルトワークス」を作っていただきたいものです。

 

【GOD PARTS 6】全方位モニター表示

4つのカメラが死界をなくす!

車両の前後左右に4つのカメラが搭載されており、クルマの周囲の様々な方向をディスプレイで確認することができます。車両前方、後方、左側のほか、真上から見たような映像や、写真のような3Dビューまで表示可能です。

 

【GOD PARTS 7】インパネ

1クラス上の上質感!

パッと見、軽自動車には見えないほど質感の高いデザインです。コンパクトカーと比べてもチープさは感じられません。ポケットやトレー、小物入れなど収納スペースが充実していて、使い勝手が良いのも特徴です。

 

【GOD PARTS 8】ヘッドアップディスプレイ

前方からせり出す透明パネル

エンジンをかけると、運転席前方のサンダーバードの格納庫のような部分が開き、速度や燃費等の情報を表示する透明な板、ヘッドアップディスプレイがせり上がってきます。標識認識機能もあり、制限速度もすぐわかります。

 

【GOD PARTS 9】USB電源ソケット

多過ぎて損をすることはなし!

撮影車には、ディスプレイ接続用のほか、インパネまわりに3つのUSB電源ソケットが装備されていました。乗車している全員が一斉にスマホの充電をするようなことはなかなかないと思いますが、多いに越したことはありません。

 

【これぞ感動の細部だ!】シートヒーター

寒い時期に重宝するあったか装備

シートの表面が温かくなるシートヒーター機能が運転席にも助手席にも付いていて、寒い時期にはありがたいです。最上位グレード(HYBRID X)は全車に、その他グレードも4WD車にはすべて標準搭載されています。スイッチを入れてから1分もしないうちに温かくなってくるので、かなり実用性が高いです。

 

撮影/我妻慶一

 

 

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