各ジャンルの有識者たちが「コレ押さえときゃ間違いない! 」と太鼓判をおす、“栄誉ある”金字塔的アイテムをフィーチャーする本企画。 今回は、生まれては姿を消していく商品が多いなかで、世代を超えて愛され、文化的価値さえ備えた一流のカメラである「ライカM」を紹介します。

※こちらは「GetNavi」 2022年4月号に掲載された記事を再編集したものです

 

<ライカM>約100年前にライカが塗り替えたカメラの“世界標準”は未来へと続く

ライカ

M11

118万8000円(ボディのみ)

JPEGだけでなくRAW(DNG)でも60MP、36MP、18MPの3種類から記録画素数を選べるトリプルレゾリューションテクノロジーを採用。本体背面には高精細230万ドットのタッチパネル式液晶モニターを搭載しています。

SPEC●撮像素子:有効6030万画素35mm判フルサイズ●マウント:ライカMバヨネットマウント●ISO感度:ISO64〜50000●サイズ/質量:約W139×H80×D38.5mm/約530g(ブラックペイント)

 

フィルムカメラの最高峰は最新M11に受け継がれる

デジカメ撮像センサーのフルサイズ基準は、35mm判フィルムの1コマ24×36mmの大きさ。ライカ判とも言われ、約100年前のライカ製カメラがいまも世界標準となっています。その地位を確固たるものにしたのが、1954年に革新的な技術を採用したフィルムカメラ、ライカM3。距離計(ピント)と構図をひとつのファインダーで見られるように改良し、レバーでフィルムを巻き上げできるなど、完成度の高さはフィルムカメラの最高峰としてカメラ史に深く刻まれています。

 

今年1月、名機ライカM3の伝統を未来へつなぐデジタルカメラとしてライカM11が登場。構図やピント合わせにレンジファインダーを使う往年のスタイルを継承しています。一眼レフやミラーレスと異なり構図やピント合わせに慣れは必要ですが、ファインダーの視野範囲が広く、スナップ撮影で決定的瞬間を狙いやすいのも特徴です。

 

●DATA

初代モデル発売年:1954年
累計販売台数:非公表
現行ラインナップ数:6モデル

 

精細感と柔らかさが調和し上品なボケも魅力

↑午後の光に包まれたレースのカーテンを撮影。精細感と柔らかさの調和が生み出す日常の光景がアートに。開放絞りによるボケは上品だ。ズミルックス50mm f1.4 絞り開放 1/3000 ISO64

 

↑レンジファインダーは視野が広いため被写体がフレームインする予測がつく。シャッターを切った時にブラックアウトしない利点もある

 

↑ボディサイドの曲面形状はライカM3のデザインを継承している。ムダを排した機能美を感じさせるフォルムに、ドイツの合理的な精神が宿る

 

↑ボディ色のブラックは耐傷性に優れたペイントを採用。ベース感度はISO64になっており、プロ御用達のフィルム、コダクロームを彷彿とさせる

 

カメラ世界標準の夜明けは120年前のドイツにあり

ライカの前身は、1849年に創業したドイツ・ヘッセン州のウェッツラーに本社を置く光学機器メーカー「エルンスト・ライツ社」。1910年に不世出の技術者であるオスカー・バルナックが入社したのちに、小型カメラの開発が始動、現在のカメラメーカー・ライカとなりました。

↑1849年に創業したエルンスト・ライツ社

 

バルナックはカール・ツァイス財団を辞めてライツ社へ入社し、1914年に映画用35mmフィルムを活用した小型カメラの試作機「ウル・ライカ」を製作。35mm判がライカ判と呼ばれる原点です。そして、今から97年前の1925年にライカ初の量産型カメラライカⅠ型を発売開始。独自のシャッター構造をドイツとアメリカで特許取得します。基本構造は後続機に継承され、M型の元祖といえます。

↑オスカー・バルナック氏

↑ライカI型

 

世界じゅうのカメラファンを魅了し続けるライカMの歴史

シンプルを極めた意匠は必要なものだけを取り入れるライカ哲学のひとつ。Mバヨネットマウントを一貫して採用するため、往年のMレンズを装着して撮影を楽しめます。

 

【1954】ライカM3

ライカMの初号機。巻き上げレバーやバヨネットマウントなど画期的な機能を搭載し世界に衝撃を与えました。質実剛健さと優れた迅速性を備えた小型カメラは、世界のフォトグラファーが愛用しました。

 

【2006】ライカM8

デジタルへ進化して登場。レンズマウントも同一規格で従来のレンズも使用可能。ライカM3とほぼ同サイズのボディにカメラ業界が驚きました。センサーフォーマットはAPS-Hを採用。

 

【2009】ライカM9

小型を極めたボディが特徴で、撮像センサーはフルサイズの24×36mmに進化。発売当時、レンズ交換式カメラで最小サイズを実現し、デジタルでも往年のライカ判が復活し好評を得ました。

 

同じ焦点距離のレンズでもf値で名称が異なる

f2がズミクロン、f1.4がズミルックス、f0.95〜1.25がノクティルックス。光をインプットする入口となるレンズf値を名称にするほど、そのこだわりがうかがえます。

 

ノクティルックスM

f0.95/50mm ASPH.ブラック

150万7000円

f0.95と極めて明るいレンズは人の目よりも明るい。ろうそく1本の灯りでも手持ち撮影ができるので、写真表現の領域を広げてくれます。明るい絞り開放値が描くボケは美しく、プロも絶句するほど。

 

ズミルックスM

f1.4/50mm ASPH.ブラック

56万1000円

ライカの光学技術と最新のレンズ製造技術で実現した高性能レンズ。絞り開放値でも高いコントラストとシャープな描写を生み出します。柔らかなボケ感は美しく、空気感も見事に写し出してくれます。

 

ズミクロンM

f2.0/50mm ブラック

34万1000円

光学設計に定評があり、基本設計は1979年から約42年間も変わっていない超ロングセラー。小型軽量のレンズは描写性に優れ、街角スナップや風景写真をシャープに写し出してくれます。

 

ネーミングは“レンズの明るさ”で決まる

エルマー

開放f値が2.8〜のレンズ名称で、すべてのライカ・レンズの元祖的存在。現在では3つの広角系焦点距離をカバーするトリ・エルマーが健在。

 

ズミクロン

開放f値2.0のレンズ名称。コンパクトながらも高性能な広角レンズで、絞り開放からディテールまで緻密かつ鮮やかな描写を手軽に実現できます。

 

ズミルックス

開放f値1.4のレンズに与えられた名称。開放付近でも絞り込んでもシャープな画像を得られるのが特徴で、独特の表現をできると名高いレンズです。

 

ノクティルックス

開放f値が0.95から1.25のレンズに与えられた名称。世界一の明るさを誇る非球面レンズを採用する。ライカ・レンズのなかでは最も高価です。