2年以上オンライン生活が続き、「コロナが明けても当分はこのスタイルが続くだろうな〜」と思っていたのですが、『会って、話すこと。』(田中泰延・著/ダイヤモンド社・刊)を読み終わり、人と会って話したくなりました。オンラインで便利な世の中になっていくけれど、会うことって大事なんだなぁ……と実感したのです。

 

コロナ禍でも、さまざまな「話し方」や「会話術」の本が出ていますが、この『会って、話すこと。』に書かれてあることはとってもシンプル! 会話って色々考えなくてもできるものだよね、と原点に戻されました。今回は、少しずつ会って、話す機会が増えてくるこれからに向けて復習しておきたい、会話についてご紹介します。

そうだ、会話ってこれだった

この『会って、話すこと。』は、話し方のテクニックやコツ、事例が載っているようなビジネス書ではありません。

 

著者の田中さんと、編集者の今野さんの2人が各章の冒頭で対談(ダイアローグ)している様子があり、その後、田中さんがダイアローグに出てきた部分を解説する構成で進められていきます。喫茶店で隣のおじさんたちが「あら案外いい話しているじゃない」と聞き耳を立てるあの感じに似ているかも。例えば、第2章の「どう話すか(とっかかり編)」ではこんな会話が出てきます。

 

今野 ギブアンドテイクの考え方を否定するんですか。

田中 それですよ。会話はギブアンドテイクじゃない。聞いてあげたら、自分にもしゃべる権利がうまれる。聞けば「貸し」ができる。次はこっちの話をさせてもらえる。そんなわけがない。

今野 カラオケみたいですね。みんなでカラオケ行くとそうなるじゃないですか。あいつの曲聞いたら次は俺が歌う番、っていう。

田中 それでいうなら、みんなヘタじゃないですか。

今野 え?

(『会って、話すこと。』より引用)

 

この本は一般的なビジネス書にあるような「これをしておけばOK」とか「会話で大事なのはコレ」といったマニュアルが書かれていないため、自分のアンテナに引っかかったところが大事なところ……そんな一冊です。

 

そのため、話し方のテクニックやコツを知りたい人にとっては、「どうしたらいいの?」と迷ってしまうかもしれません。自分自身の会話の経験や失敗談を思い出しながら、話が進んでいくので、これまで読んだ話し方の本の中で一番人間らしい本だと感じました。エッセイやコラムを読むような楽しさから、会話術を学べるそんな一冊なのです。

 

オンラインの違和感は、自分の顔が表示されることだった!

この本は2021年9月に出版されたのですが、途中から会って話すことができなくなり、オンラインで話すようになります。田中さんは、書籍の中でも「なかなか難しかった」と語っており、その難しさを以下のように分析しています。

 

そんなタイムラグやコミュニケーションにロスがある環境では「ボケること」は非常に難しい。ちょっとした冗談を挟もうとして、聞き取りにくくてもう1度言わされるのはつらい。また、なぜかオンラインでは「自分の顔」を画面に表示する設定が基本になっている場合が多い。有史以来、自分の顔を見ながら他人に話しかけることがあっただろうか。それもまた、妙な自意識につながって、話しにくい原因のひとつだ。

(『会って、話すこと。』より引用)

 

これだ! と思いました。

 

私もオンラインの取材が増えて、やることは大きく変わらないのに何かが違うなぁと感じていたのですが、原因がわかって落ち着きました。「じゃあ自分を非表示にすればいい!」と思ってやってみたのですが、これも違う(笑)。むしろ不安になるだけでした。

 

『会って、話すこと。』では、そんなオンラインの時代を経て、会って話すことにはどんな意味があるのか? についても考えることができます。オンラインが良い・悪いではなく、会話とは何か自分なりに納得した答えが持てるようになるはずです。

 

不機嫌は伝染する

いつになるかはわかりませんが、新型コロナウイルスが落ち着いて人と会うことが当たり前になった時、私自身「これは忘れたくないな」と思ったことがありました。それは、不機嫌は伝染するということ。ある種、新型のウイルスよりも根深く、ず〜〜〜っと猛威を振るっているものかもしれないと感じます。

 

会話でも同じことが起こる。ひとり不機嫌な者がいて不満や愚痴や、怒りを表明すると、たちまちそれは全体に伝染する。会話に不機嫌病が蔓延し始めたら、自分をさっさと隔離しよう。笑い話にしてしまう、話題を変える、最後は物理的にその場を立ち去る。手段はいくつかある。

(『会って、話すこと。』より引用)

 

じゃあ会わなくていいや……となるかもしれませんが、そうじゃない!(笑)やっぱり会いたいんです。

 

もともと「会って話したい!」と思っていた人は、自分の会話を振り返るきっかけになりますし、これから対面の場面が増えて不安だと思う人にとっては「こうすれば良かったのか」と新しい知識を得られる一冊になると思います。出社する人、リモートする人、移住する人、定住する人、どんな人でもコミュニケーションは必要です。まだまだ感染対策が必要ですが、さまざまな人と自由に会えるようになる前に『会って、話すこと。』を読んでおけば、心の支えになってくれるでしょう。

 

 

【書籍紹介】

会って、話すこと。

著者:田中泰延
発行:ダイヤモンド社

自分のことは話さなくていい。相手のことも聞き出さなくていい。ただ、お互いの「外」にあるものに目線を合わせられれば、誰とだって会話は続くし、楽しくなる。2020年から非日常になってしまった「会って、話す」を問い直し、幸せな人間関係を築くための技術と考え方を伝えます。

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