筆者は日本酒が好きです。創作和食店で働いたときに日本酒の仕入れを担当したこともありますし、人生に迷った時期にはきき酒師の資格を取ったこともありました。多くの銘柄を飲んできましたが、なかでも菊水酒造の缶入り生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」(実売価格200ml314円・税込、以降ふなぐち)は、極めてトガった製品だと思います。

↑コンビニやスーパーでおなじみの缶入り生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」。精米歩合は70%の本醸造で、アルコール分は19度

 

缶入り日本酒「ふなぐち」発売50周年のイベントに参加

近年の地酒の傾向とは一線を画す、鮮烈な芳香、濃厚な甘み。それでいてアルコール度は19度と高いから、ひと口のインパクトが違います。禁断の果実を口いっぱいにほおばるような、ワイルドで背徳的で悪魔的な味わい……とでもいいましょうか。価格は通常のワンカップに比べて高いですが、筆者を含め、酒飲みの心を捕らえて離さない魅力があるんです。そして、そんなトガりまくった製品が、マス向けのスーパーやコンビニで普通に売られているのもまた、興味深いのです。きっと、長年かけて獲得してきたディープなファンが多いんだろうなぁ……。

 

さて、そんな「ふなぐち」を平日の昼間に味わう機会がありました。なぜなら、この「ふなぐち」の発売50周年を記念して、オンラインのメディア向けイベントが開かれたから。イベントの参加者には事前に「試飲キット」が配布され、説明を聞きながら試飲するというわけなのです。時刻は午後の2時だけど、これも取材だから仕方ない(喜)! ちなみに、前日の夜に一本空けているので、事前取材もばっちりです。

↑事前に送られてきた試飲キット。通常のふなぐちに加えて、2004 年設立の「菊水日本酒文化研究」のパンフレットや「熟成吟醸生原酒」(写真右端)という見慣れない缶も同梱されていました

 

「ふなぐち」の酒銘の由来は「槽口」だった

イベントの冒頭では、菊水酒造の髙澤大介社長が「ふなぐち」誕生の歴史についてお話ししてくれました。転機となったのは、4代目の髙澤英介氏の代で1966年、67年と続けざまに大水害にあい、廃業の危機に立たされたこと。69年に移転再建を果たすも危機的な状況は変わらず、起死回生を期して「ふなぐち」を開発に着手しました。開発のきっかけは、蔵元を訪れた客が生原酒のウマさに感動し、商品化を希望したことだそう。

↑菊水酒造の5代目蔵元・髙澤大介社長

 

とはいえ、そもそも火入れをしていない生酒は劣化しやすく、冷蔵輸送の技術も未発達で、客の要望はほとんど夢物語に近いものでした。しかし、試行錯誤を繰り返した英介氏は、3年をかけて生原酒をアルミ缶に詰めた「ふなぐち」を開発。生原酒の常温流通を実現し、1972年に発売しました。以降は多くのファンに支えられ、「ふなぐち」は2018年8月に累計出荷3億本を突破。今年、発売50年周年を迎えるに至りました。ちなみに、「ふなぐち」は発売以来、基本的な原料の配合は変えていないそう。50年間、ほぼ同じ味を提供してきたということですね。

↑「ふなぐち」発売40周年記念の際は、社員が全国の愛飲家を訪ねて直接感謝の言葉を伝えたそう。その際、激励の言葉を頂いて涙する社員もいたとか

 

イベントの後半では、製造部の五十嵐雄太さんが講師となり、食育ならぬ「酒育セミナー」を開催。日本酒の基本や「ふなぐち」の特徴などをとてもわかりやすく解説してくれました。セミナーでは、「ふなぐち」の酒銘の由来も完全解説。日本酒の蔵では、もろみが入った袋から酒を搾りとる機械のことを「槽(ふね)」と呼び、そのから出た搾りたてのお酒だから、「ふなぐち菊水一番しぼり」になったとのこと。なるほど、わかりやすいです!

↑槽の出口から出るお酒のイメージ。こんな蛇口が、自宅にあったらいいですね

 

↑生酒かつ原酒=生原酒の「ふなぐち」だけに、両者の特徴を兼ね備えています

 

10年以上熟成させた「ヴィンテージ」の味にびっくり!

酒育セミナーでは、「吟醸 生原酒 熟成 ふなぐち菊水一番しぼり」というラインナップも紹介されました。その名の通り、低温で熟成させることで新たな味わいを引き出したお酒で、1年以上熟成させた通常の製品(実売価格200ml362円・税込)と、10年以上寝かせた「長期熟成 ふなぐち 菊水ヴィンテージ」(同1019円)の2種類があるようです。あまり見かけない缶ですが、どちらも菊水の公式オンラインショップで購入できます。

↑精米歩合55%の吟醸を熟成させた「吟醸 生原酒 熟成 ふなぐち菊水一番しぼり」

 

試飲キットのひとつとして筆者の手元に届いた製品は、缶底の表示からして製造は2009年……えっ、2009年? 単純計算で13年前ですね。公式の商品情報を見ると「10年以上熟成させた」となっていますが、日本酒でこの長さの熟成はほぼ聞いたことがないです。間違いなく、貴重な「ヴィンテージ」のほうですね。実際に飲んでみて、また驚きました。これは、ウマい!

ひと口めに感じる旨みがより強く感じられ、バニラのような甘い香りがふわっと鼻に抜けていきます。まろやかさも増していて、日本酒ながらラムやブランデーを思わせるリッチなのどごし。まさに甘露と呼ぶにふさわしい味なのです。しかも、酒質のキレイな吟醸酒を使っているせいか、しつこさを感じることもなく、するする行ける。これはもう単独で成立しているので、肴は必要ないかも。食後酒として飲むには最高だろうな、と思いました。

↑酒の色もまったく違います。「ふなぐち」(左)に比べて「ヴィンテージ」(右)はこはく色に色づいています

 

それにしても、缶入りの熟成酒とは、なかなか面白いことをしてくれます。とはいえ、劣化を防ぐ缶入りだからこそ安定して熟成できるわけで、実は理に適った手法なのか……。そして、菊水は、搾りたて生原酒の旨さを知らしめただけではなく、熟成酒の旨さも啓蒙しようとしているのか……。ちなみに、「ふなぐち」は輸送中でも劣化しにくい性質から、2021年時点で20か国に展開されています。今後は生原酒だけでなく、熟成酒の旨さも世界に伝えられていくことでしょう。日本酒の可能性を世界に広げるという意味では、とても喜ばしいことですね。

↑「ふなぐち」は世界でも愛されています。アメリカでは「缶に日本酒を詰められるのか」と驚かれるそうで、すかさず「Yes we can!」と答えると確実に笑いが取れるとのこと

 

↑試飲した2種類はどっちもウマかった!

 

1缶から応募できるプレゼントキャンペーンがスタート

同イベントの最後には、「ふなぐち菊水一番しぼり」の発売50周年を記念し、おつまみセットなどが当たる「菊水ポイントキャンペーン」が発表されました。キャンペーン期間は4月22日(金)から8月31日(水)23:59まで。対象商品の「ふなぐち菊水一番しぼり」(200ml)についたポイントシールからQRコードをスマホで読み取り、菊水マイページに登録すれば応募できます。

ポイントは1本につき1ポイントで、ポイントをためてA賞(応募には5ポイント必要)、B賞(同3ポイント)、C賞(同1ポイント)のいずれかに応募可能。当選は各賞50名ずつで、当たりかハズレかはその場ですぐにわかるそうです。1ポイントから応募できるスピードくじみたいなものですね。筆者は、B賞「加島屋 味覚セット」が気になる!

↑プレゼントのA賞は、1台でおでん・焼き鳥・炙り&熱燗が楽しめるアイテム「せんべろメーカー」。5ポイントで応募できます

 

↑プレゼントのB賞は海や川の幸の詰め合わせ「加島屋 味覚セット」。3ポイントで応募できます

 

↑プレゼントのC賞は、こだわりの肴の缶詰を3個セットでお届けする「K&K缶つまセット」。1ポイントで応募可能

 

また、今回のキャンペーンに合わせて、シール5枚が付いている200ml缶3本詰めのセット(つまりシール2枚分おトク)も発売します。お店で見かけたら手に取ってみてはいかがでしょうか。

↑キャンペーン特別仕様の3本セット