在宅時間が増えたことで、あらためて注目されている家庭菜園。貸し農園を利用したり、庭の一角に野菜を植えたり、さまざまな方法で楽しむ人が増えています。なかでも人気なのが、自宅のベランダやテラスでの“プランター菜園”。ところが賃貸マンションの場合、ベランダは共用スペースなので、ルール上はプランターを置いて菜園化するのはNGとされています。ならば家の中を活用して、野菜を育ててみませんか?

 

そこで今回は、初心者でもトライしやすい“再生栽培”を解説。農業コンサルタントとして活躍する宮崎大輔さんに、おすすめの野菜や育て方のポイントを教えていただきました。

 

家庭菜園の魅力は
“育てる楽しみ”だけでなく“食べる楽しみ”も味わえること!

家庭菜園は、「家で過ごす時間が増えた今、趣味として楽しむのにもぴったりです」と宮崎さん。コロナ禍で、農園を借りて本格的にチャレンジする人も、ベランダやキッチンなどの室内で気軽に楽しむ人も、両方増えていると言います。そもそも自分の手で野菜を育てる家庭菜園には、どのような魅力があるのでしょうか?

 

「どんな植物にも“育てる楽しみ”があると思うのですが、家庭菜園はそこに“食べる楽しみ”もプラスされるところが、魅力のひとつだと思います。収穫してすぐに食べられるので新鮮さや安心感がありますし、何より自分の手で育てた野菜には愛着がわきますよね。

家庭菜園の中でもトライしやすく、初心者におすすめなのが“再生栽培”です。野菜のヘタや切れ端などを使って育てる再生栽培は、『リボべジ(リボーンベジタブル)』とも呼ばれ、エコや節約にもつながります。ホームセンターに行って種や苗をわざわざ購入する必要はなく、土やプランターなしで育てられる野菜もあるので、コップ1つあれば始められます」(宮崎大輔さん、以下同)

 

家にあるものでチャレンジ!
再生栽培におすすめの野菜は?

「家庭菜園をやってみたいけれど難しそう」とハードルを感じている人にもおすすめしたい再生栽培。再生栽培の中でもチャレンジしやすい、土を使わず室内で育てられる野菜を教えていただきました。

 

1. 捨ててしまいがちなヘタを活用!「ニンジンの葉」

「ニンジンのヘタは普段捨ててしまう人も多いと思いますが、このヘタからニンジンの葉を育てることができます。葉は育ちすぎると固くなってしまいますが、再生栽培では固すぎずほどよい柔らかさに育つので、おいしく食べられますよ。スープに入れたり炒飯に入れたりして食べるのがおすすめです」

 

「栽培の方法はとても簡単。浅めのトレーやお皿にヘタを置いて水に浸しておくだけで葉が伸びていきます」

「水は、葉が出てくる部分に浸からない程度まで入れましょう。2週間ほどで育つので、食べる際にハサミでカットして収穫します。収穫できるのはだいたい1回です。ニンジンの葉は成長がとても早く、にょきにょきと伸びていく様子が目に見えてわかるのでとても面白いですよ!」

水は、とくに気温が高くなるこれからの時期は毎日替えるようにしてください。また水を替えるときには、トレーも一緒に洗うことを忘れずに! トレーに雑菌がついているとせっかく水を替えてもヘタが腐ってしまうことがあります。

置いておく場所は、そこまで日当たりが良い場所でなくても大丈夫です。しかし気温が高い時期は、直射日光が当たる場所は避けるようにしましょう。逆に冬はエアコンが効いている暖かい部屋など、寒すぎない場所に置くのが良いと思います。ちなみに、ダイコンの葉もまったく同じ手順で育てることができますよ」

 

2. 使いたい分だけ収穫できて、再生栽培にぴったり!「小ネギ」

「普段は捨ててしまう根の部分から育てられる小ネギ。最初から根が付いているので失敗しづらく、害虫もつきにくいので、初心者にもぴったりです。また、小ネギは料理のトッピングとして使うことが多いと思いますが、使いたいときに使いたい分だけ収穫できるので、再生栽培に適した野菜と言えると思います」

 

「栽培方法は、切り落とした根の部分を、水の入ったコップやプラスチックのカップに入れるだけ」

根の部分がしっかりと浸かっていれば、水の量はそこまで気にする必要はありません。約1週間で育つので、使いたい分だけハサミでカットして収穫しましょう。2〜3回は収穫することができますよ」

置き場所は、日当たりの良さをそこまで考える必要はありません。リビングのテーブルや出窓などのちょっとしたスペースに置いても良いと思います。

また小ネギは、水に浸けずに土に植えて育てることも可能です。土で育てる場合は、まず小さめのプランターを用意して鉢底石を敷き、その上に野菜用の培養土を入れます。根が埋まるくらいまで穴を掘って植えたら、最初は水をたっぷりと与えましょう。その後は土の表面が乾いたら水やりをするようにしてください。土に植えれば、何か月、何年ももつので、長期間育てたいときや元気に大きく育てたいときには、ぜひ挑戦してみてください!」

 

3. 丈夫で育てやすいのが魅力!「ミント」

「残った茎から育てることができるミント。生命力が強くて丈夫なので、初心者でも育てやすいと思います。自分で育てれば、いつでも摘みたてのミントを使ったミントティーなどをつくることができます」

 

「栽培方法は、ミントの茎の部分を水が入ったコップやプラスチックのカップに浸けておくだけ」

葉を食べた後の茎を使うか、下の方の葉はあらかじめ取っておき、葉が水に浸からないようにしましょう。収穫するときは、ハサミでカットしても手で摘んでもどちらでもOKです」

「ミントは日当たりが良い場所に置いておくと、早く元気に育ちます。たまに水を替えてあげるだけで肥料などを与えなくても半年〜1年間くらい育てることができますよ。

また、ミントも土で育てることが可能です。土に植える前に、根が5cmくらい伸びるまで茎を水に浸けておくようにしてください。植えるときにはまず、プランターに鉢底石を敷き、その上に野菜用の培養土を入れます。土に根が埋まるくらいまで穴を掘って植え、最初はたっぷりと水を与えましょう。その後は土の表面が乾いたら水を与えるようにしてください。約1か月で収穫できるくらいまで育ちますが、ミントは土に植えると育ちすぎてしまうため注意が必要です。植え替える場合は小さめサイズのプランターを使うことをおすすめします」

 

4. 今注目されている野菜の一つ!「ニンニクスプラウト」

「ニンニクスプラウトとは、発芽直後の新芽があるニンニクのこと。品揃えが良いスーパーなどでは販売されていることもありますが、まだ値段が高く、比較的珍しい野菜です。においがきつくなく、まるごと食べられて栄養価も高いので、最近少しずつ人気が高まっています。そのままソテーにしたり、素揚げや天ぷらにしたりして食べるのがおすすめです」

 

「再生栽培では、皮をむいたニンニクのかけらをそのまま使います。少し時間が経って芽が出てしまったものがあれば、ぜひそれを活用しましょう」

「卵のパックや製氷皿などにひとかけずつ入れて立たせ、根が浸かるくらいまで水を入れます。少し面倒ですがニンニクを全て取り出して、毎日水を取り換えるようにしてください。収穫までは約2週間。5cmほど根が伸びたら収穫できます」

「置き場所は、出窓などできるだけ日当たりの良い場所がおすすめです。3〜4個だけ育てたいときには、小さなカップに入れても良いと思います。また僕自身、実験的にいくつかのニンニクを使って育ててみたのですが、品種によってはまったく芽が出ないものもありました。もっとも良く育ったのは、スーパーで手に入る普通サイズのニンニク。まずはこれで試してみるのがいいかもしれません」

 

再生栽培をもっと楽しむためには?

特別な道具がなくてもすぐに始められる再生栽培。最後に宮崎さんから、「他の野菜も育ててみたい」「もう少しレベルアップしたい」という人へ、再生栽培をさらに楽しむためのヒントを教えていただきました。

 

「今回紹介した野菜以外にも、肉料理の付け合わせにぴったりなクレソンや、暑い時期でも育てやすいクウシンサイなど、初心者の方もトライしやすい野菜はまだまだあります。

さらに難易度を上げて再生栽培をやってみたいという方には、プランターを使って土で育てたり、水耕栽培を本格的にやってみたりするのがいいと思います。例えば水耕栽培では、水に溶かすタイプの液体肥料や、水槽用のエアーポンプ、太陽光代わりのLEDライトなどを使って育てれば、ゴーヤやキュウリなどの野菜も育てることができますよ。個人的には、イチゴの再生栽培もおすすめ! 難易度は高めですが、ぜひチャレンジしてほしいです。

そのほか、一つの野菜をいくつかの方法で育ててみるのも楽しいと思います。例えば『豆苗』は根を水に浸しておけば、また豆苗が育てられますが、土に植えるとエンドウマメを育てることもできるんです。実験的にいくつかの品種を育ててみたり、育て方を変えてみたりすると発見があって面白いかもしれません」

 

さまざまな楽しみ方ができる再生栽培。ぜひ自分の好きな野菜でチャレンジしてみてください。

 

【プロフィール】

農業コンサルタント / 宮崎大輔

1988年生まれ、長野県出身。実家は果樹園を経営。信州大学大学院農学研究科修士課程修了。青年海外協力隊として中米パナマ共和国で農業支援に従事。2019年に農業コンサルティング企業「イチゴテック」を創業し、日本、アジア、中南米、アフリカで農業ビジネスの支援を行う。2021年10月には「キッチンからはじめる!日本一カンタンな家庭菜園の入門本 おうち野菜づくり」(KADOKAWA)を出版。自身のYouTubeチャンネルで「趣味の園芸からガチ農業まで」をテーマに、幅広い分野の植物に関する情報も発信している。
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『キッチンからはじめる!日本一カンタンな家庭菜園の入門本 おうち野菜づくり』(KADOKAWA)

 


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」