Vol.115-1

 

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマはAmazonが発売した大画面の「Echo Show 15」。これまで発売してきたEcho Showと異なる使い方を打ち出した狙いは何か。

↑Echo Show 15(税込2万9980円)。15.6型のフルHDディスプレイを搭載。5MPのカメラを搭載し、家族と共有したい情報やエンターテインメントを鮮やかなディスプレイに表示できる。家族ひとりずつのプロフィールを作成して、ビジュアルIDと音声IDを割り当てれば、自分用のカレンダーなどを自動で表示可能だ

 

映像配信機器である一方、目的は家族間の掲示板

AmazonはEcho Show 15という製品を先日発売した。15.6インチという大型画面を搭載したスマートディスプレイである。

 

このサイズになると、イメージとしてはもはやテレビと変わらない。テレビチューナーは搭載していないが、Amazon Prime VideoやNetflixなどの映像配信は視聴可能。スピーカーのクオリティもかなりしっかりしているので、テレビ的な使い方も十分できてしまう。クックパッドと連携し、レシピの確認ができるのも特徴だ。

 

といっても、Amazonはテレビを作りたかったわけでも、映像配信用の機器を作りたかったわけでもない。

 

彼らが作りたかったのは“家族の伝言板”なのだ。

 

リビングにカレンダーを貼ってある家庭は多いことだろう。そこに家族で共有したい予定などを書き込むのはよくあることだ。また、冷蔵庫にマグネットなどでメモを挟んでおくのも、よくある風景と言える。

 

そうしたモノをもう少しモダンにし、スマホなどとも連動して使えるようにするにはどうしたら良いのか? そこで作られたのが、大型画面を搭載するスマートディスプレイである。

 

AmazonがEcho Showシリーズを最初に作ったときは、ベッドサイドに置いて目覚まし時計的な使い方を志向していた。だが、サイズは次第に大きくなり、2021年春に発売した「Echo Show 10」は、10.1インチの画面を搭載した。

 

このモデルはキッチンに置くことを前提としており、話す人の方を向くように回る、という機能を搭載している。おもしろいアイテムだが、家族みんなで見るには少々不向き、という印象も強かった。

 

家族それぞれに対応し、最適な情報を共有できる

Echo Show 15は、キッチンに置くセカンドテレビ、もしくは壁にかける絵画や写真をイメージし、シンプルな大型画を使った機器になっている。絵画とは違い、それなりの厚み(35mm)や重量(2.2kg)もあるが、家族の写真や好きな絵が自動的に変わるフレーム、だと思えばイメージも湧く。

 

テレビやフォトフレームと違うのは、タッチパネルとマイク、カメラを備えていることだ。タッチパネルを操作することで好きな機能を呼び出したり、家族向けのメッセージを書いたりもできる。Echoシリーズなので音声アシスタント・Alexaを内蔵しており、声で指示することも可能だ。

 

カメラは家族の顔を認識するためのツールで、その人に合わせた情報を呼び出せるように工夫されている。要はディスプレイの前に立った人に合わせて、家族で共有したい情報を提供するための機能を備えているわけだ。

 

家族といえどもプライバシーは大切だし、写真や音楽の好みも違う。だから、Amazonは“家族の声”や“家族の顔”を判別して、それぞれに応じた情報を出す機能を搭載していくことで、ディスプレイ付きのEchoシリーズに新しい活躍の場を与えようとしているわけだ。

 

Amazonは家庭内でどうEchoを使おうとしているのか? そして現状の課題はどこにあるのか? そうした部分は次回以降解説していく。

 

週刊GetNavi、バックナンバーはこちら