アップルが今年も世界開発者会議「WWDC」を開催。初日の基調講演はカリフォルニア州クパチーノに構える本社「Apple Park」に、総勢1300人を超えるデベロッパーとジャーナリストを集めて、リアルとオンライン配信によるハイブリッド形式のイベントとなりました。

 

筆者もジャーナリストのひとりとして現地に足を運び、M2チップを搭載する新しいMacBook Airに触れてきました。

↑秋に発売を迎えるであろうアップルの新しいデバイスにも深く関連する、OSの新機能とサービスがWWDCで発表されました

 

異例の野外ステージ開催となった2022年のWWDC

イベントはWWDCの基調講演としては異例となる野外ステージで開催されました。大勢の来場者が集う場所での感染症対策も兼ねていたのだと思います。筆者は今回初のWWDC現地取材となりましたが、長年イベントを取材してきたジャーナリストの各氏は「Apple Parkの中で開催されるイベントも初めて」なのだと、目を輝かせながら話していました。

↑クパチーノの本社Apple Parkに1300人を超えるデベロッパーとジャーナリストを初めて招き入れて、WWDCが開催されました

 

↑発表イベントの開催直前。興奮のあまり弾ける筆者

 

午前中からカリフォルニアの強い陽射しが照りつけた基調講演のステージに、“生の”ティム・クックCEOが久しぶりに登壇すると客席から大きな歓声が上がりました。

 

WWDCのテーマは、世界中から集まるデベロッパーたちにアップルの次期OSのイノベーションを伝え、秋以降の正式リリースに向けて、iPhoneやMacといったハードウェアの魅力を高めるアプリケーションやサービスを一緒に開発してもらうためのアイデアを共有することです。

 

今年は初日のイベントを除き、すべての開発者向けセッションがオンライン配信で実施されました。平時であればWWDCは、デベロッパー同士が顔を合わせて情報を交換したり、互いに共同開発を呼びかけて仲間になったりといった出会いと交流の場にもなります。

 

WWDCの基調講演、ならびに開発者向けのセッションはすべてオンラインから無料で観ることができます。Macやアップルデバイスのユーザーであれば「Apple Developer」アプリから動画をトピックごとに、条件を指定して探せるので便利です。

 

たとえばiPhoneやiPadで楽しむARアプリの開発ツールについて、最新の開発Kitの発表動画を見ながら、アップルのARデバイスの将来を予想するのも楽しいと思います。

↑WWDC22で発表されたOSやプラットフォームの新しい技術は、WWDCのオンラインセッションとして無料で視聴できます

 

カスタマイズしまくれるiOS 16

基調講演ではiOS、iPadOS、macOS、watchOSの進化がハイライトされました。各OSは秋に正式リリースを予定しています。通常であれば新OSの配信開始とほぼ同時期に、新しいハードウェアも発売を迎えることが多いです。

 

ただ、今年は一足早くアップルが独自に設計するシステム・オン・チップ(SoC)「M2」を搭載するMacBook Air、13インチのMacBook ProがWWDCで発表されました。それぞれ7月からの販売を予定しています。

 

次期OSについては発表の日に本誌で詳細が紹介されているので、ここでそれを繰り返すことはしません。注目したいポイントを簡単に触れたいと思います。

 

iOS 16のメインテーマは「パーソナライゼーション」です。これまでユーザーは壁紙を選ぶことぐらいしか手出しができなかった「ロック画面」で、日時表示のフォントを変えたり、カレンダーのイベント、バッテリー残量やアクティビティリングの進捗などの情報表示を「ウィジェット」として配置したりできるようになります。

↑iOS 16ではロック画面のパーソナライゼーションが自由自在にできるようになります

 

ほかにも「ライブアクティビティ」がロック画面の下側に表示されます。スポーツの試合の途中経過、フードデリバリーの配達状況などリアルタイムにアップデートされる情報が見られる通知機能です。ウィジェットと合わせて、今後は外部のデベロッパーから対応するアプリやサービスが続々とリリースされることが予想できます。

↑スポーツの試合の経過、フードデリバリーの配達状況などリアルタイムに更新される情報をロック画面に表示する新機能「ライブアクティビティ」

 

Macの操作感に近づくiPad

iPadOS 16は新しく追加するユーザーインターフェイスである「ステージマネージャ」により、使い勝手がよりMacに近づきます。これまでのiPadはひとつのアプリを全画面表示にして使うか、Split Viewで画面を2つに分割して2つのアプリを同時に動かすか、またはSlide Overを組み合わせて別に立ち上げたアプリの画面を重ねて使うかなどの、マルチタスキング体験を提供していました。

 

ステージマネージャでは、メイン画面に複数のアプリを立ち上げて、ウィンドウのサイズを自由に変えることができるようになります。使わないアプリは画面の左側に並べて、必要なときに選択するとメイン画面のアプリと素早く切り替わります。

↑iPadOS 16の新機能である「ステージマネージャ」は、iPadの画面に4つのメインで作業するアプリを表示しながら、ケーブルで接続する外部ディスプレイにも同時に画面を出力、最大4つのメインアプリによるマルチタスキング体験を可能にします。なお、ステージマネージャはM1チップを搭載するiPad Pro、iPad Airに対応

 

Apple Watchに新スポーツタイプの予感

watchOS 9にも新しい文字盤が追加されます。中にはデザインやカラーがとてもポップな文字盤もあります。同時にOSのワークアウトをユーザーの好みに合わせてカスタマイズしたり、ランニングフォームをチェックできたりする機能も加わります。このことから、秋には“スポーツ推し”でカジュアルなルックスの「Apple Watch Sport Edition」的な新シリーズが出てくるのではないかと筆者は楽しみにしています。

↑カジュアルなデザインもそろうwatchOS 9の新しい文字盤

 

ヘルスケア系の機能は、睡眠の深さや質を判定できる「睡眠ステージ」が新たに追加。またApple Watch Series 7が搭載するQWERTY配列のキーボードが日本語入力をサポートします。iPhoneを持たずにCellularモデルのApple Watchだけを身に着けて外出する際にも、メールやメッセージに対してより複雑な応答が可能になるでしょう。

 

MacとiPhoneが合体!

macOS Venturaのプレゼンテーションの中で、WWDCの会場が最も沸いた新機能が「Continuity Camera=連係カメラ」でした。MacにiPhoneを合体して、iPhoneをWebカメラとして使う機能です。

 

コロナ禍の中でオンラインミーティングや、離れた場所にいる家族・友だちとのコミュニケーションにビデオ通話アプリを使い、その重要性を実感したという方も多いはずです。その中で、ビデオ通話に使うパソコンやタブレットの内蔵カメラが低画質だと、互いに相手の表情がよくわからずストレスを感じてしまいます。

↑iPhoneをMacに接続して、Webカメラとして使えるようになる「連係カメラ」

 

これに対して、連係カメラは動作環境に制限があるものの、対応するiPhoneとMacが手元にあれば、最新のMacに匹敵する高精細な映像をビデオ通話の相手に届けられるようになります。

 

満足度の高い新MacBook Air。M2チップのパフォーマンスに期待

WWDCで発表されたMacBook Airの実機にも触れてきました。ファーストインプレッションを報告します。

 

MacBook Airは誕生以来、本体を閉じたときに先端側に向かってスリムな形状になる“くさび形”のウェッジシェイプデザインを採用し続けてきました。ですが、新しいMacBook Airはデザインを一新。フラットでシャープな出で立ちとしました。

 

カラーバリエーションには従来のシルバーとスペースグレイに加えて、ミッドナイトとスターライトを加えました。

↑M2チップを搭載する新しいMacBook Air

 

↑ミッドナイトは光のあたり方で深いブルーにも見えます

 

アップルが新たに設計した独自のSoCであるM2チップはパフォーマンスと省電力性能を同時に高めています。1日中持続するバッテリー性能により、モバイルPCとして歴代のMacBook Airを超える快適な使い勝手を発揮してくれそうです。

 

また、プロフェッショナルグレードの動画ファイルの処理も素早くこなすパワフルなメディアエンジンを追加しているので、動画の編集やアップロードなどの作業を移動しながらこなすためのワークステーションとしても頼もしいツールになりそうです。

 

ディスプレイには、表示領域を画面の隅にまで拡大した13.6インチのLiquid Retinaディスプレイを搭載するほか、内蔵スピーカーや3.5mmヘッドホンジャックからの出力もパワーアップしています。エンターテインメント用のモバイルPCとしてもMacBook Airはとても魅力的です。

 

【MacBook Airフォトギャラリー】※画像をタップすると閲覧できます。一部SNSからは閲覧できません。

 

いろいろな進化を遂げたことで、M1チップを搭載するMacBook Airよりも標準仕様モデルの比較で3万円ほど高くなっています。新機種の発売後もM1搭載モデルは併売されるので、予算と必要な機能を、時間をかけて吟味しながら自分に合うマシンを選ぶと良いでしょう。

↑MacBook Airのタッチ&トライが実施されたApple Park内の施設「Steve Jobs Theater」

 

↑ティム・クックCEOもタッチ&トライのイベント会場に訪れました

 

久しぶりの米国取材。事前準備で大変だったこと

今回筆者はジャーナリストとして初めてアップルが米国で開催するイベントに参加して、とても充実した時間を過ごすことができました。

 

海外出張は2020年1月に米国ラスベガスで開催されたCESを訪れて以来だったので、感染症対策も含めて、旅の準備はいつもよりも入念に行いました。海外渡航に必要とされる準備と、再び日本に入国するための条件などは、特に感染症対策の周辺に日々アップデートがあります。加えて渡航する地域によっても条件は変わるため、渡航の時期に合わせた準備が求められます。

 

現地滞在中は感染対策に気を配りながら過ごしていれば大丈夫だと思いますが、日本に戻る際の準備が少し大変です。

 

米国への渡航に関しては、2022年6月1日から日本の水際対策措置が変更され、年初に比べて日本入国時の条件が大幅に緩和されました。それでもなお、筆者が本稿を書いている現時点もすべての帰国者・入国者には、米国からの出国前72時間以内の検査と陰性証明書の提出が義務付けられています。

 

特に日本の厚生労働省・検疫所が求める有効な検査と証明書の発行に対応できる現地のクリニックを見つけて、出発前に足を運ぶことが大変です。日本を発つ前にクリニックの目星を付けて、検査の予約などを済ませておけば負担が減らせると思います。

 

また、現地での買い物は、昨今の円安ドル高のあおりを受けてつい尻込みしてしまいました。ただWWDCの期間中だけにApple Park最寄りのApple Storeで販売される限定Tシャツはしっかりとゲットできたので本望です。

↑Apple Parkに隣接するビジターセンターにもApple Storeのプレミアムストアがあります

 

↑2022年WWDCの限定デザインのTシャツをゲット!

 

【フォトギャラリー】※画像をタップすると閲覧できます。一部SNSからは閲覧できません。