Vol.116-4

 

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマは2022年のテレビ動向。液晶テレビの画質の変化について解説していく。

↑広色域量子ドットを採用した4K液晶レグザ。2022年8月に発売される

 

有機ELはとても優れたデバイスで、テレビには理想的な存在である。

 

だが残念ながらまだ高価であり、サイズが大きくなるほど、液晶との価格差は大きくなる。サイズがそこまで求められない都市部では有機ELでも大丈夫で、むしろ「ぜいたくな個室ニーズ」を狙い、今年は42V型の製品も出ている。48V型との価格差が小さいのでどうだろう……という気もするが、「個室で使う」という小型サイズに向けたアプローチとしてはアリだし、悪くないと思う。

 

では液晶は「大きい」だけなのか?

 

もちろんそうではない。今年の液晶のテーマも「色」だ。

 

液晶の発色が向上している要素は2つある。「ミニLED」と「量子ドット+高輝度バックライト」だ。

 

ミニLEDは、いわゆる直下型バックライト採用製品向けの技術で、いままでよりも小さいLEDをたくさん使うことで、映像のコントラスト再現性の最適化を行うもの。コントラストが上がることで発色も同時に改善するうえに、大型の液晶には向くので採用が進んでいる。

 

ただ、コストと質の向上が見合うかどうか疑問もあり、意外と短期で終わる可能性もある。

 

量子ドットは、有機ELである「QD-OLED」でも出てきたもの。入ってきた光の波長を変換することで別の色に発光させる素材の技術、と思っていただいてかまわない。

 

実は量子ドットは、以前から「QLED」などの名称で中国系メーカーが採用していたのだが、効果がいまひとつで、日本でもさほど支持されていない。それゆえ大手も採用してこなかった。

 

それが採用に傾いたのは、バックライトの輝度向上が大きい、とされている。バックライトが暗いまま量子ドットを使うと、色がくすんでしまってあまり大きな効果が出ないものの、これまでよりも光量の強いバックライトを採用することで発色がグッとよくなる。この辺をアピールしているのがREGZAだ。

 

コスト的に、量子ドットはさほど上乗せにならない。だから、これまでのミドルクラスと言っていい製品の画質を上げるにはとても有効なものだろう。

 

ただ、有機ELにしろミニLEDにしろ量子ドットにしろ、テレビの輝度が上がっていくのは結構なことなのだが、その分消費電力は上がってきている。きちんとした統計はないが節電が叫ばれるいまなので、設定などは見直し、「常に最大輝度で使い続ける」ことがないようにしたい。結局そういう設定をしておくことが、製品の画質劣化を防ぎ、長く使い続けられることにもつながる。

 

画質設定の見直しは、短期的にも長期的にも「エコ」になる。そうしたコントロールがしやすいのも、いまのテレビの良さだ。しばらくテレビを買い替えていないなら、画質に加えて「設定の簡単さ」なども視野に入れ、買い替えを検討してみていただきたい。

 

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