【掲載日】2022年8月2日

世界各国で進展している自国通貨のデジタル化は、アフリカ大陸において急激な進展を見せています。すでにナイジェリアは、中央銀行発行のデジタル通貨「eナイラ」を2021年にローンチした一方、南アフリカとガーナはパイロット運用を実施中。さらにケニア、タンザニア、ナミビアなど約8か国が、将来の本格的な導入に向けて詳細なリサーチを開始しており、安定した金融制度を確立するために奔走しています。

中央銀行デジタル通貨(CBDC)がアフリカ諸国に広がる

 

各国政府の中央銀行によるデジタル通貨は「CBDC(Central Bank Digital Currency)」の略称で呼ばれており、自国の法定通貨建てで、中央銀行の債務として発行されて流通している自国通貨のデジタル版となっています。価格変動の激しい暗号通貨と異なり、政府の規制で介入されるので、安定度の高さが見込まれるのが特徴。

 

アフリカ諸国は、政情不安やインフレなどによる通貨の激しい値動きに長年悩まされ続けてきました。さらに銀行口座を持っていない国民も多く、個人に向けた給付金などが想定通りに配布されないなど、多くの問題が存在しています。また、海外からの送金においてもサブサハラ(サハラ砂漠以南の国々)地域の平均手数料は約8%と、送金コストが世界で最も高いグループに属しています(世界銀行によると、2021年第1四半期における世界の送金コストの平均は6.4%で、南アジアが最低の4.6%。持続可能な開発目標では2030年までに3%に抑えることを目指している)。CBDCはこのような問題を解決できる可能性を持っており、それゆえに本格的な導入に向けた取り組みが熱を帯びているのです。

 

当然ながらデジタル通貨の導入には、解決すべき問題も多数存在しています。前提条件として、国民がデジタル通貨を活用するためのデバイスの所有や、広範囲な接続網などのインフラ整備が不可欠。また、デジタルゆえに、サイバー攻撃による資産や情報の流出リスクを常に警戒する必要があります。アフリカだけでなく他国でも、CBDCの導入を巡る議論においては自国の状況を踏まえながらメリット・デメリットを検証するため、リスクが大きい場合は慎重にならざるを得ません。

 

しかし、デジタル通貨の流通には大きな利点があります。それは金融包摂で、貧困や差別により既存の金融システムから除外されてしまった人々に対して手を差し伸べることが期待できるのです。デジタル通貨やブロックチェーン、NFTといった「フィンテック」は、すべての人々に対して経済的に平等な権利を与える意味でも革新的な技術。より多くの人たちが金融サービスにアクセスできるようにすることは、途上国だけでなく先進国の課題でもあるので、アフリカの先駆的な取り組みは世界が見守っています。

 

デジタル通貨の到来に向けたビジネスでは、アプリやセキュリティ、スマートカードの提供など大きなチャンスが存在しています。途上国ではフィンテックを活用した新しいビジネスモデルが続々と生まれていますが、デジタル通貨の導入に向けた動きが加速する中、アフリカの動向から今後も目が離せません。

 

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