2022年度のハイエンド炊飯器の新製品発表会もいよいよ最終盤となりました。多分、もう無いと思います。おそらく。今回、見に行くのは7月21日に発売となったタイガー魔法瓶の「土鍋圧力IHジャー炊飯器<炊きたて>土鍋ご泡火炊き JPL-S100」(5.5合炊き)です。実売予想価格14万800円(税込)の最高級炊飯器はどのように進化したのでしょうか。今回も試食付きの製品発表会に参加してきましたので、その内容をレポートします。

↑タイガー魔法瓶の「土鍋圧力IHジャー炊飯器<炊きたて>土鍋ご泡火炊き JPL-S100」

 

累計8冠を獲得した人気モデルがさらに進化

タイガーの「土鍋ご泡火炊き」は、2020年モデルが「家電大賞2020-2021」炊飯器部門で金賞を獲るなど、メディア主催の各種アワードで累計8冠を獲得した人気モデルでした。これらの評価につながったのは、三重県四日市市の伝統工芸品「四日市萬古焼」で作られる本物の土鍋を使った内鍋。約3か月もの手間をかけて作られる本土鍋は、金属製内鍋の2倍以上となる約280℃の圧倒的な高火力で炊き上げることができ、高熱で米のアルファ化を促進させて甘みと旨みを引き出します。加えて、金属鍋の約4倍の遠赤(遠赤外線)効果と、土鍋特有の大量の泡が米を優しく包み込んで踊らせることで、米の芯まで熱が通ってふっくら、弾力のある炊き上がりとなります。

↑四日市萬古焼で作られる本物の土鍋を内鍋に使用

 

↑本土鍋の採用により、大火力・遠赤効果・気泡の働きで甘み・旨み・弾力が引き出される

 

タイガーでは、従来モデルの高評価にあぐらをかくことなくさらに美味しいごはんを追求し、かまどごはんの再現に挑みました。「かまどで炊いたごはんが美味しい」とはよく聞く話ですが、それは、かまどは吹きこぼれを気にせずに薪火で高火力を維持できるため。米に高熱を与え続けることで、米のアルファ化が促進されて旨み・甘みを引き出すことができるのです。

 

「ハリつやポンプ」の応用で吹きこぼれを防ぐ

しかし、炊飯ジャーで高火力を続けるとおねば(お米を炊くときに吹き上がるねばねばした液体)が吹きこぼれてしまい、炊飯ジャーの故障の原因となります。そのため、メーカー各社はセンサーで炊飯状態を見張り、吹きこぼれが起きそうになると火力を弱めて沸騰を抑え、しばらくしてまた強めるという間欠加熱方式を採用しているのです。

 

一方、タイガーでは、2020年モデルから搭載している「ハリつやポンプ」を応用することで、連続加熱を実現しました。「ハリつやポンプ」は、炊飯の仕上げ段階の高温蒸らし時に発生する過剰な蒸気を取り除き、余分な水分をコントロールしてごはんのハリを引き出す役目を担っています。さらに、保温時には内鍋の中の余分な蒸気を吹き飛ばし、湿度をコントロールすることで木製のおひつのような美味しい保温ごはんを実現しています。

↑2020年モデルから搭載している「ハリつやポンプ」により、内鍋の湿度をコントロールして美味しさを維持

 

JPL-S100では、この「ハリつやポンプ」に新たなルートを作り、ふた内部に搭載されているスチームキャップに風を送り込むようにしました。炊飯時にスチームキャップ内に上がってくる泡を風の力で潰し、吹きこぼれを防ぐことで新機能「連続ノンストップ加熱」が可能となったのです。この結果、米の甘みが約17%アップ、粘りは約3%アップし、より美味しさを引き出すことに成功したそう。

↑写真右が新製品JPL-S100。ハリつやポンプから左方向に伸びて上部のスチームキャップにつながるパイプが新設された

 

↑ポンプから風を送ってスチームキャップ内の泡を潰し、吹きこぼれを防ぐ

 

↑吹きこぼれしないことで、理想の連続加熱が実現

 

データで見ても、甘み・旨みの向上が明らかに

JPL-S100の甘み・旨みの向上は科学的にも実証されています。味博士こと鈴木隆一氏(AISSY社長)が開発した「AI味覚センサー『レオ』」で味覚検証した結果、甘みは他社製品より0.15〜0.23ポイントも上回りました。鈴木氏は「0.2ポイント以上の差があれば95%以上の人が違いを認識できる」としています。旨みは0.06〜0.15ポイント上回り、「0.1ポイントの差は60%の人が違いを認識できる」(同)とのこと。

↑AI味覚センサー「レオ」で計測した結果、JPL-S100の甘みはダントツで高いことがわかった。なお、表組のJPL-G100とは前年のフラッグシップモデル

 

↑同様に旨みも圧倒的に高く、前年モデルよりアップしていることがわかる

 

また、12時間保温後の甘み・旨みも同様に検証しました。JPL-S100は12時間保温後も甘み・旨みともに大きな変化がありません。

 

「JPL-S100で炊いたごはんの甘みは、甘いトマトやカボチャと同程度の数値を示したが、特筆すべきは保温後の数値がほとんど下がらないこと。通常、食品は調理後時間が経つと0.1ポイントほど数値が下がることが多いが、JPL-S100は0.02ポイントしか下がっていない。これは驚き」(同)

 

0.02はほぼ誤差と言ってよく、ハリつやポンプを使ったおひつ保温がしっかり機能していることがわかります。

↑JPL-S100は12時間保温後(青いグラフ)も甘み・旨みがほとんど変わらない

 

噛むほどに甘みが出て、香りも楽しめる

より美味しくなった理屈がわかったところで恒例の実食です。JPL-S100で炊いたごはんは、粒立ちは良く、一粒一粒がしっかりと米の形を残しています。表面はベタベタしておらずサラリとしており、口の中に入れてみるとパラリとほどけます。粘り気は弱め。食感はタイガーらしく歯ごたえがあり、もちもちでした。米粒の表面に甘みがにじみ出ていますが、噛んでいるうちにさらに甘みがどんどん湧き出してきて、説明通りの甘みの強いごはんという印象です。香りも高く、舌と鼻孔でごはんを楽しめる炊き上がりとなっていました。

↑JPL-S100で炊いたごはんは粒立ちがよく、つやつやしている。歯ごたえがあり、噛むほどに甘さがにじみ出る

 

このほか、デカ文字のタッチ液晶を採用したり、中ぶたを使うことで炊飯空間を狭めて少量でも美味しく炊ける「一合料亭炊き」も引き続き採用したりするなど、使い勝手にもこだわっています。

↑大きくて見やすく、直感的に操作できるタッチ液晶を採用

 

↑中ぶたを使って少量を美味しく炊き上げる「一合料亭炊き」は健在

 

本機の発売により、各社のハイエンド炊飯器の新製品はおおむね出揃いました。各社それぞれ特徴的な味覚・食感で甲乙つけがたいものがありますが、粒立ちが良く、弾力があって甘みの強いごはんがお好みなら、JPL-S100は有力な選択肢のひとつ。ごはんそのものの味を存分に味わいたい人には、ぜひ試してもらいたいモデルです。