iPhone 14シリーズの「衛星経由の緊急SOS」機能は、携帯電話の圏外やWi-Fiの電波が届かない場所でも、衛星経由で緊急通報サービスにテキストを送れるものです。

↑「衛星経由の緊急SOS」のイメージ

 

これまでも数々の命を救ってきましたが、新たに渓谷で遭難した10人のハイカー達が無事に生還する命綱になったと報じられています。

 

現地時間の5月12日、米カリフォルニア州ベンチュラ郡保安官事務所の捜索救助(SAR)チームは、地元サンタ・ポーラ・キャニオンの「ラストチャンス(Last Chance)」地域で行方不明になった10人のハイカーらの発見と救助に成功したと報告しています。

 

当日の午後8時頃、保安官のディスパッチ氏はハイカー達から「サンタ・ポーラ・キャニオンから帰る道が見つからない」という趣旨のテキストメッセージを受け取ったそうです。

 

ハイカー達はiPhoneの緊急SOS機能を使って保安官事務所に連絡し、遭難場所や緊急医療が必要かどうかなど、重要な情報を知らせることができました。さらに彼らの保護者が安否を気遣い、登山口近くにいるベンチュラ郡保安官代理に連絡し、ハイカーらが行方不明で助けが必要かもしれないと連絡したこともプラスとなったようです。

 

その30分後、SARチームは13人の隊員を動員してハイカーを探し出しました。視界が悪く、渓流やトレイル(未舗装路)が壊れているなど困難もありましたが、チームは渓谷まで約4マイル(6.4km)を歩き、彼らを発見することに成功しました。

 

ほとんどのハイカー達は遠征の準備をしていなかったため、SARチームが食料や水、照明器具を提供し、渓谷の外まで導いたとのこと。幸い、ハイカーの1人が緊急SOS機能を使えるiPhone 14を持っていたため助けを呼ぶことができ、医療支援を必要とする人もいなかったそうです。

 

サンタ・ポーラ・キャニオンのトレイルは、ベンチュラ郡の6マイル(約9.6km)に及び、標高差が非常に激しく険しい地形です。岩場も条件によっては滑りやすく、現場のラストチャンスはまさに引き返すか、先に進むかを決める「最後のチャンス」の1つとされています。

 

今年1月にも、カナダで「雪の壁」にぶつかり立ち往生した2人の女性が、iPhoneの緊急SOSにより救出されていました。救出に当たった担当者は、この機能を「人命救助のゲームチェンジャーだ」という趣旨を述べていました。

 

この衛星経由の緊急SOS機能は利用できる地域がしだいに広がっており、最近も新たにオーストラリアやニュージーランドが対象地域となりました。早く日本でも利用可能になるよう、期待したいところです。

 

Source:Nixle
via:AppleInsider