2023年10月の酒税法改正で盛り上がる日本のビール市場ですが、海外からもビッグネームによる新商品が上陸しました。カテゴリーは「ノンアルコール」で、その名も「Heineken 0.0(ハイネケンゼロゼロ)」。ハイネケン醸造最高責任者へのインタビューとともに、味わいの特徴と醸造におけるこだわりについてお伝えします。

↑「Heineken 0.0(ハイネケンゼロゼロ)」。左の瓶は178円で、右の缶は160円(ともに税別、330ml)

 

オランダ生まれのハイネケン。
味の決め手は酵母にあり!

まずは、あらためてハイネケンのブランド概要から解説しましょう。ハイネケン誕生の起点は1864年。オランダ・アムステルダム出身のジェラルド・アドリアン・ハイネケン氏が地元の醸造所「De Hooiberg(干し草の山)」を買い取ったことから始まりました。

↑現在のラインナップは幅広く、なかには5Lの大容量タイプも。なお、印象的な赤い星はインドネシアを代表するビール「ビンタン」のモチーフになったといわれています

 

1873年にはアムステルダム中心部に家族経営の醸造所をオープンし、社名も「ハイネケン」に刷新。同時に、よりよい原材料を求めてヨーロッパ中を巡るなど、ジェラルド氏の品質に対する探究心は強く、1875年には国際海事展覧会でハイネケンが金賞に。やがて1889年のパリ万博でグランプリを受賞。その証は、いまでもラベルに輝き続けています。

↑受賞のエンブレムは「ハイネケンゼロゼロ」にも。「100%モルトラガー」の一文も力強く主張します

 

ハイネケンの味を語るうえで最も重要な原材料が、「A酵母」。その特徴はフルーティーな香味と好バランスかつクリアな味を醸し出すこと。「ハイネケンゼロゼロ」の味づくりにおいても欠かせない酵母となっています。

↑「ハイネケンゼロゼロ」は、実は世界で販売量No.1のノンアルコールビール(2022年1月〜12月 GlobalData社調べ 全世界販売量ベース)なのだとか。左下の人物は、日本法人のトニー・ウィーラー代表

 

マーケターが断言。
「日本のノンアル市場は成長路線です」

本家のハイネケンが世界190か国以上で展開されるなか、「ハイネケンゼロゼロ」は2017年に誕生。すでに世界110の市場で販売されており、今回満を持して日本上陸となりました。その理由は、ビール市場が盛り上がっているからだけではありません。具体的には今後もノンアルコールビール市場に継続的な成長を見込んでいるからだと言います。

↑登壇し、今後の戦略を熱く語ったハイネケン・ジャパンのマーケティング部ディレクター、須田伸さん

 

「ハイネケンゼロゼロ」の特徴は、オリジナルのハイネケンと同じ製法で造っていること。一度醸造したうえで、アルコール成分を取り除く技術を採用。そのため、フルーティーかつ適度にモルティなボディが共存する、ハイネケンならではのノンアルコールビールが生まれたのです。

↑缶も瓶も、デザインや形状が違うだけで中身は一緒。なお、醸造はシンガポールで行われています

 

「論より証拠だ!」ということでテイスティングしてみると、これは期待以上! 「いくら歴史が古く世界No.1とはいえ、日本には2017年以前からノンアルビールはたくさん出ているし年々進化もしている。旨い銘柄もたくさんあるぜ」と思っていましたが、「ハイネケンゼロゼロ」もイイじゃないですか!

↑アルコールのボディ感はないものの、十分なコクと苦みがビールのアタックを想起。違和感なく、ゴクゴクいけるおいしさです

 

麦汁の甘みを感じさせるモルティな風味はやわらかく、まろやかな酸味がフルーティーなニュアンスを演出。ミドルからは軽やかな苦みが顔を出し、シャープで大人な爽快感がすっきりまとめ上げます。これは国内ノンアルビールのよきライバルになりそう。

↑モルトのコクとホップの爽やかなビター感が相まって、穀物系のフードともナイスペアリング

 

ハイネケンが“iPhone的”だという理由

発表会終了後は、日本法人代表と世界の醸造統括両人へのインタビューが実現しました。まずは、グローバルマスターブリュワーのウィレム・ヴァン・ウェイズバーグさんに質問。母国や日本をはじめ、世界中でハイネケンが愛されている理由はどんなところにあるのでしょうか?

↑ハイネケン グローバルマスターブリュワーの、ウィレム・ヴァン・ウェイズバーグさん

 

「大前提として、自信をもって言えることはおいしさ。実にバランスが取れたクリアなテイストと爽快感で、飽きない味わいだと思っています。オリジナルのほうは、フルーティーさに特徴があって、なおかつ甘みと苦みの調和が絶妙。そして今回のゼロゼロは、少しの酸味がフックになっており、世界中どんな料理ともマッチしますよ。例えば和食ならお寿司。寿司ダネもなんでも合うと思います」(ウィレムさん)

 

そして、その存在を飲み物以外で例えるなら、iPhoneであるとウィレムさんはいいます。

 

「iPhoneは、製造過程は非常に緻密で複雑な難しいプロダクトだと想像します。しかし、扱う私たちにとってはシンプルで実に使いやすい。そういった意味ではハイネケンも似ているなと。複雑な味わいだけれども何かを邪魔する雑味は一切なく、とても飲みやすい。だから世界中の方々に親しまれているのではないかと思います」(ウィレムさん)

 

世界中で飲まれることを意識するうえで、ウィレムさんが大切にしているのは一貫性だとか。

 

「グローバルブランドですから、世界のどこで飲んでも同じ味でなければなりません。ですから、原材料である大麦とホップに水、そして絶対的な存在である『A酵母』も世界共通です。ただし醸造する各国によって気候などが異なりますから、レシピ調整で味を統一したうえでお届けしています」(ウィレムさん)

↑一貫性のあるおいしさを守るのも、ウィレムさんの責任。そのため、各国のビールを毎月オランダに送ってもらい、誤差が出ていないか官能検査をしているとか

 

次に質問を投げたのは、ハイネケン・ジャパンのトニー代表。日本には大手ビールメーカー4社が切磋琢磨する市場であり、各社の定番はもちろん限定品も次々と新発売されます。ある意味レッドオーシャンであるなか、ハイネケンはどう戦っていこうと考えているのでしょうか?

↑日本のハイネケンはこれまでキリンビールとの合弁会社で展開していましたが、2023年4月の「ハイネケン・ジャパン」社名変更とともに家庭向け商品は自前での販売に(業務用は従来通りキリンが担当)

 

「消費者の方々は冒険心とともに安心感も求めていると思っており、その安心のために大切なのはやはり一貫したおいしさ。そして、最終的には安心して信頼できるブランドに戻ってくると考えています。実際、昨今はクラフトビールのように個性的な味わいもたくさん生まれていますが、そのなかでもハイネケンは成長してきました。今後もオリジナルの味を大切に守りながら、意欲的に展開していきたいです」(トニーさん)

 

ウィレムさんは日本の豊かな食文化が大好きだと力説。加えて、世界的にクラフトビールが盛り上がる中で伝統的なラガービールが根強い人気を誇る日本は、ハイネケンにとって魅力的なマーケットである、とも。また、トニーさんは今後の戦略として、サンプリングを積極的に行ったり1.5Lのマグナムボトルの販売を検討したり、積極的に需要創造をしていきたいと話しました。

 

ノンアルコール市場の成長が見込まれるなかでの「ハイネケンゼロゼロ」の躍進とともに、注目のビールブランドです。

 

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