メールはもちろん、LINEやチャットツールもビジネスシーンで多用される現代。社内外の人と上手にコミュニケーションをとるために、絵文字を使うこともありますよね。でもビジネスパーソンとして成功したいのなら、絵文字は使わない方がいいかもしれません。イスラエルのテルアビブ大学が、絵文字の効果について調査しました。

↑絵文字を使うと軽んじられる

 

テルアビブ大学の研究チームは、人が文字だけを見た場合と、絵文字のようなマークを見た場合で、どのような印象を受けるのかを調べるため、複数の実験を行いました。最初は、メジャーリーグのボストン・レッドソックスのTシャツを着ている人を見るというもの。被験者の半分には、「RED SOX」という文字が書かれたTシャツを着た人を見てもらい、もう半分の人には、球団のロゴ入りTシャツを着た人を見てもらいました。

 

すると、「RED SOX」の文字だけが書かれたTシャツを見た被験者グループのほうが、ロゴ入りTシャツを見たグループより、レッドソックスのTシャツを着用した人を「強そうだ」と感じたことが判明。

 

次に、この研究チームは、「LOTUS」という言葉が書かれたTシャツを着ている人と、蓮の花の絵が描かれたTシャツを着ている人を見た場合を同様に調べました。すると、最初の実験と同じように、絵が描かれたTシャツを着ている人より、「LOTUS」と書かれたTシャツを着ている人のほうに被験者は「強そうだ」と感じていることが明らかになりました。

 

さらに、3つ目の実験では、被験者にZOOMでのビデオ通話を通じて、2人の候補者から自分たちの企業の代表に相応しいほうを選んでもらいました。2人の候補者のうち、1人はZOOMのプロフィールに絵文字を使っており、もう1人はプロフィールを文章だけで仕上げています。その結果、62%の被験者が、文字だけでプロフィールを書いた人を選んだのです。

 

絵文字はナメられる

この3つの実験結果から見えてくるのは、メッセージの受け手はイラストやマークではなく文字を見たとき、送り手の「力(地位や権力、権威など)」を感じやすいということ。先行研究では、イラストや絵文字を使った視覚的なメッセージは、送り手が受け手に対して「社会的に近づきたい」と思っているサインとして解釈されることがわかっています。別の関連した研究では、力の弱い人は、力のある人よりも、人との社会的な距離を縮めたいと望む傾向にあると示唆されています。

 

これらの結果を踏まえて、今回の研究を行った研究チームでは、「絵文字やイラストをビジネスの相手に送ることは、自分の力が弱いことを相手に示すことになる」と指摘。絵文字やイラストではなく、文字で自分の力を示す人が職場で昇格していく可能性が高いとも述べています。しかも、この絵文字の効果は、企業の代表でも新入社員でも、まったく同じなのだそう。

 

確かに文章だけのメッセージを受け取るより、イラストや絵文字がついているメッセージを受け取ると、私たちは相手に親しみが生まれ心理的に近づいたように感じるもの。しかし、今回の研究結果を考慮に入れると、私たちはイラストや絵文字を見ると、メッセージの送り手を無意識に過小評価しているのかもしれません。

 

社会人は、このような効果を与える文字と絵文字をうまく使い分けたほうが良いようです。

 

【出典】Elinor Amit, Shai Danziger, Pamela K. Smith, Medium is a powerful message: Pictures signal less power than words, Organizational Behavior and Human Decision Processes, Volume 169, 2022, 104132, ISSN 0749-5978, https://doi.org/10.1016/j.obhdp.2022.104132.