精密機器開発のITK(岐阜県羽島市正木町)は、人間の肩から指先までの動きを忠実にまねるロボットハンド「ハンドロイド」を開発した。安価に製作でき、誰でも簡単に操作が可能。「実用化のための核となる機構が完成した」と岩田真太郎社長。機能を拡張すれば、医療や航空宇宙産業、災害現場など幅広い分野での利用が期待できる。

 ハンドロイドは、3Dプリンターで成型した樹脂と、センサーが感知した動きを反映するモーターで構成。コントローラーは人間の外骨格に沿った形とし、男女問わず使えるサイズにした。装着して数十秒間肩や腕を動かすと、操作する人の可動域を把握し、0・02秒のタイムラグで思いのままに動かすことができる。肩までに特化した5本指のロボットハンドは世界でも例がないという。

 「直感的に操作するには、人の動きを忠実にまねるのが一番理想的」と、人の体に密着するコントローラーを開発した。人体特有のねじれる動きを感知するため、回転式センサーを導入。肩と肘、腕の計5軸の動きを把握できるようにした。

 同社は精密部品製造の岩田鉄工所(同)の子会社。2011年にグローブ型コントローラーで指の動きを再現するロボットハンドの開発を始めた。昨年からは宇宙機器製造のIHIエアロスペース(IA)と共同で、肩と肘、腕の動作に連動するアーム部分の開発に着手した。

 宇宙での利用を想定。真空で氷点下120度〜120度という過酷な環境でも活動できる耐久性を持つ素材や、トラブルによる停電時にも動作を保持できる機能を備えた設計などを検討している。将来は、重さや固さなどを操作する人にフィードバックできるよう改良を加える考え。

 「素材や大きさを変えれば、どんな分野でも活躍できる」と岩田社長。人が活動できない場所でも遠隔操作で使用でき、国や企業の研究機関向けの需要は大きいとみる。