テレビアニメ「Fate/stay night [Unlimited Blade Works]」の世界同時先行上映イベントが東京・大阪・徳島・ロサンゼルス・パリ・ニュルンベルグ・ソウルで開催されました。徳島の「ufotable CINEMA」で行われた上映会には、演出の野中卓也さん・作画監督の茂木貴之さん・アニプレックスの岩上敦宏さんが登壇して制作現場について話したほか、サプライズゲストも登場し、アットホームな雰囲気の中、他の会場にも負けないくらいの盛り上がりをみせていました。

「Fate/stay night」TVアニメ公式サイト
http://www.fate-sn.com/

会場となったufotable CINEMA

館内は開場を待つ人でごった返していました。

館内には「Fate/stay night [Unlimited Blade Works]」の特大ポスターとキャラクターポップが展示されています。

先行上映が行われるシアター1は満員御礼で立ち見のお客さんの姿も見受けられました。

司会を務めるアニプレックスのプロデューサーである岩上敦宏さんに続いて、演出の野中卓也さん・作画監督の茂木貴之さんが登壇しました。

軽いあいさつが行われた後、「Fate/stay night [Unlimited Blade Works] 『#01 冬の日、運命の夜』」を上映しトークイベントのスタートです。

トークイベントが始まるやいなや、上映イベントにサプライズで来て観客と一緒に客席で鑑賞していた徳島県の飯泉嘉門知事が登壇しました。

岩上敦宏さん(以下、岩):
まずは知事にお伺いしたいのですが、「#01 冬の日、運命の夜」はいかがでしたか?

飯泉嘉門知事(以下、飯):
「Fate/Zero」を見ていた私にとっては分かりやすく、すんなりとストーリーに入り込むことができました。

岩:
「Fate/Zero」は全エピソードをご覧になられた、ということですか!?

飯:
もちろんです。小学校の時から少年ジャンプを読んでいたこともあって、漫画やアニメといった文化は私にとって身近な存在です。「マチ★アソビ」という大きなイベントも徳島で開催させていただいていて、2014年5月に開催された「マチアソビ vol.12」には、7万人ものお客さんに来ていただきました。9月27日からは「マチアソビ vol.13」がスタートします。10月11日から13日までのクライマックスランでは、眉山山頂のステージで「Newtypeアニメアワード2013-2014」の授賞式を行ったり、「Fate/stay night」のラッピングタクシーが登場したり、今回もイベントが盛りだくさんです。「アニメと言えば徳島」を目指してがんばりますので、みなさんよろしくお願いします。

岩:
そうだったのですね。「Fate/Zero」 を全話鑑賞している知事は、日本でも飯泉知事1人だけだと思います。マチ★アソビもここ数年間で大きなイベントになり、アニメ業界でも大きな話題を呼んでいます。「Fate/stay night」から少し話がそれるんですけど、ufotableの近藤さんってどういう人でしょうか?

飯:
近藤Pとは「マチ★アソビ」や「ufotable CINEMA」、その他にもさまざまなイベントなどでお会いして、アニメへの底知れない情熱を持っている人だと存じています。本日は近藤Pが「『Fate/stay night [Unlimited Blade Works』]世界同時先行上映イベント-Holy Grail's call-」の大阪会場に行っているので、私が近藤Pの穴を埋めに来ました(笑)

岩:
本当にありがとうございます。それではですね、ちょっとここで発表があります。初回が1時間スペシャルになることはみなさん知っていると思いますが、それだけではなく、1時間スペシャルを2週連続で放送します。後、今日見ていただいたのは、10月4日(土)から放送される内容とは違うものになります。実は、10月4日(土)に放送するのは凛バージョンの「#00 プロローグ」で、10月11日に放送するのは士郎バージョンの「#01 冬の日、運命の夜」なんですね。みなさんが見たのは「#01」になります。

思わぬサプライズ発表に客席からは「えーっ!!」という大きな声が上がりました。

岩:
予想以上の反応にびっくりしています。本当にありがとうございます。ということで、ここからは制作陣の2人にお話をお伺いしたいと思います。

野中卓也(以下、野中)・茂木貴之(以下、茂木):
よろしくお願いします。

岩:
早速なんですけど、「#01 冬の日、運命の夜」についてお話をお聞かせください。

野:
今日見てもらった「#01」は士郎バージョンで、凛バージョンの「#00」とは別の視点で描かれています。同じ時間軸の物語を2人の視点で描くという新しい試みなんです。場所によって見ているモノが違う仕掛けになっています。前半パートは日常部分が多くて不安な部分がありました。日常パートをサクッと終わらせて、セイバーを登場させることもできますけど、原作に忠実にするため、こういった構成にしました。

岩:
茂木さんはいかがでしょうか?

茂:
先に言っておきたいんですけど、あまり話すのが上手ではないので、お手柔らかにお願いします。

野:
そうだよね。よりによって会社で一番話し下手の2人を連れてきてどうしろというのか(笑)

茂:
僕は「士郎君がなぜ正義の味方にこだわり続けるのか」に重点をおいて、とにかく士郎君をかっこよく描きたかった。士郎はすごくいい子だけど、少し壊れている、そのバランスを表現するのが大変でした。後、音楽もかっこいいんですよね。

岩:音楽は深澤秀行さんが担当しているんですけど、衛宮切嗣が登場するシーンの音楽は梶浦由記さんに作ってもらっています。梶原由記さんはゲストコンポーザーとして、「Fate/stay night」に参加してるんです。

野:
音楽について話すと、通常は映像を先に作って、後から音楽をかぶせていくっていう作業をするんですけど、「Fate/stay night」では映像に音楽を入れてから、また映像を作り直すってことが多数あったんでドタバタでした。

茂:
「Fate/Zero」から見ている人には懐かしい感じに仕上がっていると思いますね。

岩:
私も「Fate/Zero」の記憶がよみがえる作品だと思っています。お二人に聞きたいのですが、制作にあたって特に力を入れたのはどういったところでしょう?

茂:
作画的には、士郎がセイバーを召喚するシーンに特に力を入れました。えーと、詳しく言って大丈夫なんでしょうか?

岩:
大丈夫です。

茂:
特に力を入れたのは、士郎がランサーに追いかけられるところからセイバーが登場するまでですね。

岩:
オープニングの作画も三浦監督から直々に茂木さんのほうに頼まれたと聞きました。

茂:
そうなんです。オープニングのサビ直前で、セイバーが変身するシーンを描きました。

岩:
オープニングの見せ場を担当したというわけですね。スケジュール的にはどうでしたか?かなり前々から準備していたそうですが。

茂:
これも言っちゃって大丈夫なのかな。制作は第1期を終えて、第2期に入ったところです。ufotableにしてはかなり早いですよね(笑) 先の話に出てきた映像に音を入れてから、映像を作り直すのは大変でした。特に大変だったのは、ランサーがゲイボルグを使うシーンです。「キュルキュルキュル」っていう音が入っているんですけど、音に合わせて光を付け加えているんです。

茂木さんが特に力を入れたという「士郎がセイバーを召喚するシーン」は、ほんのちょっとですが下記のPVから確認できます。

TVアニメ「Fate/stay night」PV第2弾(AnimeJapan公開PV ブラッシュアップ版) - YouTube

岩:
野中さん的にこだわったシーンはありますか?

野:
やっぱり切嗣が登場するところです。「Fate/stay night」にを作るに当たって、監督が最もこだわっているのが士郎をかっこよく描くこと。見ている人の共感を得られるような感じです。「#01」は少し地味な展開が続きますが、後から回収される伏線がいっぱい詰まっているんですよ。

茂木:
後、「#01」の最後で凛が登場するところは、完成後にもう一度描き直してがんばりました。色まで塗っていたんですけど、気に入らなかったんでキャラクターの絵そのものを描き直しました。

岩:
キャラデザの須藤友徳さんや田畑壽之さんは東京にいますが、普段はどんな感じでコミュニケーションをとっているんですか?

茂:
東京にいるスタッフとは週1回Skypeでミーティングをしていました。

野:
付け加えると、東京のスタッフとは毎日Skypeでミーティングしていて、それとは別に、特定のスタッフとSkypeで細かいミーティングをしている、という感じです。

岩:
では、近藤さんから「Fate/stay night」の話を聞いたときの感想を聞かせて下さい。

野:
まさかやるとは思っていなかったのが正直な感想です。どうしてやることになったのか、その経緯は詳しく知りません。「映像化されていない桜ルートをやって欲しい」とファンの人に言われたけど、テレビでやるのはないのかなと(笑) だから「Fate/stay night」もやらないと思っていたから、びっくりしました。

岩:
茂木さんはどうでしょうか?

茂:
そうですね、僕はセイバールートをやると思っていたけど、凛ルートだよって言われてちょっと困惑しました。「Fate/zero」をやっていたので、セイバーに強い思い入れがあって……ということもあり最初は複雑でした。

岩:
実はですね、近藤さんは今回発表した凛バージョンの『#00』と士郎バージョンの『#01』の構成に強い思い入れがありまして、手元の資料に近藤さんからのメモがあります。学校やビルの屋上で、凛と士郎が交錯する一瞬をお互いの視点で描くことに意味があり、原作への敬意であると。

ここで、キャラデザの須藤さんが手がけた第4弾キービジュアルが発表され、会場からは大きな拍手があがりました。

野:
このキービジュアルを見るのは初めてなんですけど、かっこいいですね!人数が多い絵は描くのが大変で時間がかかるんですよ。ピュアな少年のようなかわいい感じもよく出ています。

岩:
それでは、準備していた発表も全て終わったということで(笑)、せっかく多くの人に来ていただいたので、ここからは質疑応答を行いたいと思います。

◆質疑応答
ファンA:
バーサーカーは2秒のシーンを作るのに1日かかると聞きました。「Fate/stay night」では作画泣かせのキャラクターはいましたか?

茂:
「#01」で言うと、ランサーは大変でした。筋肉の線とか、体中に模様があったりしてかなり作画泣かせです。作品全体だとやはりバーサーカーですね。バーサーカーは筋肉専門アニメーターの碇谷敦さんにお願いしています。

ファンB:
「#01」にはランサーの登場が多かったのですが、ゲイボルグの作画は大変でしたか?

茂:
地味な棒に見えるけど、模様がたくさんついているので大変です。あと、武器の設定資料はありますが、スタッフはおのおので作画を行うため、ゲイボルグの太さが違うこともあります。みなさんの作画を統一するのは難しいことなんです。だから、太さが違ってもあまり責めないでくださいね(笑)

ファンC:
制作に奈須きのこさんが関わっていますが、ゲイボルグの因果が巻き戻る演出は、奈須さんから指示があったのでしょうか?

野:
ゲイボルグに関しては、奈須さんではなく、三浦貴博監督のビジュアルイメージです。奈須さんはもっと大枠の話をして、現場を盛り上げてくれる人です。

岩:
「原作ではこうだけど、アニメではこうしたほうがいいんじゃない?」みたいな話を奈須さんがしますよね。

野:
奈須さんは作家なので、セリフのニュアンスとか文字の部分に大きなこだわりをもって、現場をサポートしてくれます。アフレコにも来ていただいて、アドバイスをしてくれたりしますよ。

ファンD:
「Fate/stay night」を描く上で、士郎のかっこよさを表現するのに苦労した点を教えて下さい。

野:
苦労というか、気を遣うって感じです。どこまで言っていいのかな?まあ、いいか(笑) 三浦監督から「士郎は10年前に起きた大火災の唯一の生存者であることに対して負い目があり、人に貢献したいという思いが人一倍強いキャラクターなので、その部分を強く描きたい」と聞いていました。だから、その部分を描くのに気を遣ったという感じなんです。

茂:
後ですね、士郎の眉毛にも注目してください。士郎の苦悩とか怒りが込められているので。

質疑応答終了後、野中さんと茂木さんからのメッセージ。

野:
今日見てもらったのは「#01」ですけど、「#00」も自信作になっていているので期待してください。これからも応援をよろしくお願いします。

茂:
「Fate/stay night」は「Fateシリーズ」が大好きな皆さんのために、一生懸命作りました。もし、周りにFateを知らない人がいたら是非教えてあげてください。みんなで「Fate/stay night」を盛り上げましょう。

なお、大阪会場の用は下記の記事から確認可能です。

凛ルートをガッツリ堪能できた「Fate/stay night [Unlimited Blade Works]」先行上映イベント・大阪会場の様子はこんな感じ - GIGAZINE

◆スタッフ
原作:奈須きのこ/TYPE-MOON
キャラクター原案:武内崇
監督:三浦貴博
キャラクターデザイン:須藤友徳・田畑壽之・碇谷敦
色彩設計:千葉絵美・松岡美佳
美術監督:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:宍戸幸次郎
音楽:深澤秀行
アニメーション制作:ufotable

オープニングテーマ:『ideal white』 綾野ましろ(Ariola Japan)
エンディングテーマ:『believe』 Kalafina(SME Records)

公式サイト:http://www.fate-sn.com/
公式Twitter:@Fate_SN_Anime

◆キャスト
衛宮士郎:杉山紀彰
遠坂凛:植田佳奈
セイバー:川澄綾子
アーチャー:諏訪部順一
間桐桜:下屋則子
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン:門脇舞以
葛木宗一郎:てらそままさき
ランサー:神奈延年
キャスター:田中敦子
アサシン:三木眞一郎
ライダー:浅川悠
藤村大河:伊藤美紀
間桐慎二:神谷浩史
柳洞一成:真殿光昭
言峰綺礼:中田譲治
衛宮切嗣:小山力也
ギルガメッシュ:関智一

©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC