アメリカのトランプ大統領がテロ対策を理由に難民や移民の受け入れや、シリアやイラクなどイスラム教徒が多数を占める国からの渡航者の入国を制限する大統領令に署名したことでアメリカ国内では混乱が起こっています。この措置に対してはIT各社から反対の声が挙がっている状況ですが、同様にアメリカで学んでいる学生の間にも動揺が広がっています。

Trump’s Travel Ban Leaves Students Stranded — and Colleges Scrambling to Help - The Chronicle of Higher Education
http://www.chronicle.com/article/Trump-s-Travel-Ban-Leaves/239039

What You Need to Know About Colleges and the Immigration Ban - The Chronicle of Higher Education
http://www.chronicle.com/article/What-You-Need-to-Know-About/239038

トランプ大統領が署名したのは、シリア、イラク、イラン、イエメン、リビア、ソマリア、スーダンの7カ国からの一般市民の入国を90日間にわたって一時的に停止するというもので、対象となっている国はいずれもイスラム教徒が多数を占める国ばかりです。この措置による影響は、アメリカに留学して学んでいる学生にも及んでおり、実際に学生が入国できないケースも発生しています。

そんな状況に対して、アメリカの各地ではデモが行われています。ワシントンD.C.にあるニュースとジャーナリズムに関する博物館「ニュージアム」の前には多くの人が集まり、反対の声を上げています。
View from the Newseum this afternoon #MuslimBan pic.twitter.com/0JScYG705a— Brittany Harris (@brittharr) 2017年1月29日

多くの外国人が入国してくるニューヨークのJFK空港のロビーにも多くの人が集まっている模様。
This is quite amazing at JFK Airport.

Thank you people of NYC. You consistently redeem my faith in humanity! #Terminal4 #Muslimban pic.twitter.com/Q5FoDZ8LcM— Kevin J. (@KJWolfPhoto) 2017年1月29日

デンバー国際空港では、反対派がイスラム教徒の周りを囲んで祈りのスペースを提供するという一幕も。
Protesters lock hands and circle around people praying at Denver International Airport. #MuslimBan #resist #Colorado pic.twitter.com/6wLxHRzvmu— Lilly (@LillyArabia) 2017年1月29日

このように、「アメリカを守るため」という政策に対してアメリカ人から反対の声も上がるという皮肉な反応が出ているわけですが、一方の隣国カナダでは、トルドー首相がアメリカの措置によって行き場を失った人たちを一時的に受け入れるという姿勢を示しています。

Canada will offer temporary residency to those stranded by U.S. ban | Reuters

少女に「カナダへようこそ」 首相、難民歓迎の姿勢発信:朝日新聞デジタル

トルドー首相はハッシュタグ「#WelcomeToCanada (カナダへようこそ)」を付けたツイートを発信。ツイートには、2015年にシリアから到着したという難民の女の子を出迎えた時の写真が添付されています。
#WelcomeToCanada pic.twitter.com/47edRsHLJ5— Justin Trudeau (@JustinTrudeau) 2017年1月28日

トランプ大統領の姿勢に対しては、カリフォルニアのシリコンバレー各社からも明確な反対の姿勢が示されるようになっています。Appleのティム・クックCEOが「Appleは移民なしには成り立たない」と発言し、Googleのスンダー・ピチャイCEOが混乱を避けるために出張などでアメリカ国外に出ている社員に帰国促すといった反応を示しています。シリコンバレーに広がる反旗の声や同様の様子は、以下の記事でもくわしく触れられています。

トランプ大統領の移民政策にシリコンバレー各社が反旗、IT著名人の意見まとめ - GIGAZINE

また、1月25日にはJFK空港で57歳のアメリカ人男性が空港のラウンジで働いているイスラム教徒の女性に対して「トランプ大統領がお前ら全員を追放する」と発言したうえで暴力をふるったとして、ヘイトクライムとしての暴行・脅迫などの容疑で逮捕されるという事件が起こっています。

「トランプ大統領がお前ら追放」=イスラム女性脅した男逮捕−米:時事ドットコム

このような事態の中、ニューヨークの連邦裁判所は1月28日夜、空港などで入国を認められず、身柄拘束された難民や移民が自国に送還されるべきではないとして、部分的に大統領令の執行停止を認めました。これは、弁護士らが救済のために申し立てていたもの。

米入国禁止、数百人に影響=空港混乱、拘束者も−裁判所、大統領令を一部阻止:時事ドットコム

トランプ大統領令に待った 米裁判所、拘束の難民に措置:朝日新聞デジタル

米入国拒否170人に 連邦裁、拘束者の一時滞在許可 (写真=ロイター) :日本経済新聞

このように、矢継ぎ早に繰り出されるトランプ大統領の大統領令により、アメリカ国内では混乱が生じている状況。マサチューセッツ工科大学(MIT)は、冬休みの帰省を終えてアメリカに戻ろうとしたところで足止めを食らい、イランに強制送還されてしまった同校のイラン出身の留学生、Niki Mossafer Rahmatiさんの再入国を求める声明をサイトで発表しています。

Bring Niki Mossafer Rahmati, a current MIT student from Iran, back to the US | We the People: Your Voice in Our Government

一方のトランプ大統領は「批判・デモどこ吹く風」と言った様子。大統領公式Twitterアカウントの「@POTUS」では、自身のプライベートアカウント‏@realDonaldTrumpをリツイートする形で「我々の国は強固な国境と厳格な入国審査が必要だ。見ろ、ヨーロッパや世界の各国で何が起こっているかを。身の毛もよだつ混乱だ!」と発言。強気を見せるトランプ大統領の姿勢が今後どうなるのか関心が集まるのは必至です。

Our country needs strong borders and extreme vetting, NOW. Look what is happening all over Europe and, indeed, the world - a horrible mess!— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2017年1月29日

なお、イギリスでは「女王に会う資格なし」として、トランプ大統領の招請を阻止する声があがっており、75万人以上の署名が集まっている状況。

トランプ氏招請阻止請願、75万人超=「女王会見の資格なし」−英:時事ドットコム

また、トランプ氏は1月29日、「偽ニュース」と烙印を押したニューヨーク・タイムズ紙は「誰かふさわしい人によって買収されるか、威厳をもって廃刊すべきだ!」と、公の立場である大統領としては異例中の異例なツイートを行っています。

「NYタイムズは廃刊を」=米大統領が暴言ツイート:時事ドットコム

Somebody with aptitude and conviction should buy the FAKE NEWS and failing @nytimes and either run it correctly or let it fold with dignity!— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2017年1月29日