骨粗しょう症を治療するために作られた薬が、男性型脱毛症(AGA)を治療するための鍵になるかもしれないことが最新の研究により明らかになりました。

Scientists find a potential cure for baldness
https://www.zmescience.com/science/news-science/scientists-potential-cure-baldness-043432/

1983年、Cyclosporine A(CsA)と呼ばれる薬剤が点眼剤として商業的に発売されました。CsAは免疫抑制薬で、関節リウマチや骨粗しょう症の治療向けに使用されており、臓器移植の拒絶反応を防止することもできるというものです。この薬は副作用として頭痛・嘔吐(おうと)・高血圧などを引き起こすことが知られているのですが、ネイサン・ホークショウ博士率いるマンチェスター大学の研究者たちの最新の研究により、育毛効果があることが明らかになっています。ホークショウ博士は、「脱毛に苦しむ人々に本物の効果をもたらすことになる」と語っています。

研究チームが毛髪移植患者から入手した毛包にCsAを加える実験を行ったところ、薬が育毛を促進していることが判明。薬がどのように作用しているのか確かめるため、研究者たちは小胞の遺伝子発現分析を行います。その結果、毛包の中で組織の成長を妨げる「SFRP1」というタンパク質の発現を減少させていることが明らかになりました。

ホークショウ博士によると、「CsAの毛成長促進作用は以前にマウスで研究した際とは異なる分子メカニズムが働いているように思える」とのことで、マウス研究時の結果に頼ったままでは、CsAの育毛効果にスポットが当たらないままであった可能性を指摘しています。

研究者たちは骨粗しょう症を治療するために開発された「WAY-316606」という別の化合物についても分析を行っています。この「WAY-316606」も薄毛の原因となる「SFRP1」の発現を抑制することが明らかになっており、さらに、CsAよりも優れた効果があることがわかっています。加えて、「WAY-316606」にはCsAのような副作用もありません。

男性および女性にとって、脱毛は自尊心や自信を失うなど感情的なダメージを引き起こす可能性のあるものです。これまで利用可能だった脱毛治療は、高価だったり制限されていたりしていたため、最新の研究は刺激的なものです。今後、「WAY-316606」が人間に対して安全な物質であるかを検証し、かつ育毛を促進するのに有効かを確認するための臨床試験が行われる必要があります。

Photo by tortuga767