「.cc」や「.tv」のドメインを使っている人は少ないですが、見たことがある人はたくさんいると思います。このような誰でも取れるドメインは南太平洋やカリブ海の島のドメインであることが多く、海に沈みそうな島の財政を支えていたり、貴重な外貨獲得手段だったりします。1000種類を超えるドメインを取り扱う株式会社インターリンクが、こういった島のドメイン約50種類に焦点をあて、実際にその島々に行くことで、どのような島でどういうドメインが提供されているかをレポートします。

◆セント・マーチンとは
年齢を重ねると、プレゼントをもらえる機会が減っていきます。幼少期はサンタクロースにお世話になりますが、いつしか疎遠になっていく……大きい子どもには厳しい現実です。さて、「サンタクロース」の語源は、西暦300年頃の教父「セント・ニコラオス」に由来するという説もあります。「セント」とは「聖人」を意味しており、彼らの名前は地域や記念日の名称として広く使われています。例えば、「セント・マーチン」もその1つです。

セント・マーチン島はカリブ海のリーワード諸島に浮かぶ島。1493年11月11日にクリストファー・コロンブスによって発見され、その日が偶然にも「聖マルティヌスの日」であったため「サン・マルティン(スペイン語)」と名付けられたのが島名の起源です。現在は島の半分がフランス領、もう半分がオランダ領という不思議な場所であるため、それぞれ呼び名が異なります。

・フランス領(語):サン・マルタン
・オランダ領(語):シント・マールテン
※英語表記は「Saint Martin(セント・マーチン)」

◆世界で最も危険なビーチ
セント・マーチンの目玉スポットである「マホビーチ」では、ビーチで遊ぶ人々の真上を飛行機が通過する珍しい光景を見られることで有名です。

プリンセス・ジュリアナ国際空港からタクシーで数分で、マホビーチの「Sunset Bar and Grill」に到着。



店頭でフック船長的なモーガンさんが出迎えてくれました。

店内は陽気な人々で賑わっています。

食事を注文しようとメニューを見ると、ピザのメニュー名が「DELTA AIRLINES(デルタ航空)」「KLM AIRLINE(KLMオランダ航空)」「AIR FRANCE(エールフランス航空)」「JET BLUE(ジェットブルー航空)」など、セント・マーチンに離発着する航空会社名になっていました。これぞカリビアン・ジョーク。

待つこと数分で、ピザ2枚と特大すぎるナチョスがやってきました。

さらに、海老カツのサンドイッチが到着。これだけオーダーしても約60ドル(記事制作時点のレートで約6635円)です。食べきれない程のボリュームですが、なんとかお腹にピザたちを押し込みます。

「セント・マーチンで待ってるわ!」と笑顔を浮かべているのは、 Sunset Bar and Grill のウェイターさん。

続いて、ビーチの散策に行きます。

飛行機の到着時刻が書かれたサーフボードを発見、もうすぐオランダ航空機(KLM)が来る午後1時40分になります。

着陸する飛行機を間近で見るため、ビーチに見物人が増えてきました。

しばらくすると、遠くの空から轟音が聞こえてきました。飛行機が近づいてくるときの様子は以下のムービーを見れば一発で分かります。

マホビーチ(遠くから音が、、) - YouTube

飛行機が通り過ぎる際にはとてつもない強風がくるのではないかと身構えましたが、意外と風は強くありません。巨大な飛行機が頭上を飛んでいくという日本では味わえない恐怖と熱狂を味わえるので、ぜひとも現地で体感してみてください。

ちなみに、機内からビーチを見るとこんな感じ。

なお、着陸する飛行機によっては強風が来ることもあるので、注意してください。

こんなに飛行機が近づくビーチはマホビーチだけ - YouTube

着陸前には飛行機を背景に記念撮影をする人がたくさんいました。以下から「RICOH THETA V」で撮影した360°天球画像を見ることができます。


◆ハリケーンの跡
マホビーチでの興奮が冷めやらぬうちに、「グレート・ベイ・ビーチ」へ移動。

「Philipsburg Market Place」にはお土産の露店があり、その鮮やかな色彩に目を奪われます。

しかし、ビーチはとても静かで人通りも少なめ。

実は、2017年9月に発生したハリケーンによって、セント・マーチンに限らずカリブ海諸島は大きな被害を受けました。

セント・マーチンにあるグレート湾を空から見てみるとこんな感じ。

犬に怒られながら撮ったグレート湾の様子(セント・マーチン島) - YouTube

グレート・ベイ・ビーチがあるフィリップスバーグにも半壊したままの商店があります。

カルティエにも強風で飛んできたものが当たったのか、ウィンドウに打痕があります。

ティファニーでは商品が撤去されており、見たところ店内の清掃が行われているようでした。

営業中の店舗もありましたが、やはり人通りは多くありません。

日本も東日本大震災からの復興途中ですが、カリブ海諸島の復興も願うばかりです。

◆フォースと共にあれ
フィリップスバーグを歩いていると、「Yoda Guy」と書かれたあやしげな建物がありました。

あやしさを感じながら、一歩、また一歩と階段を上がっていきます。

階段の上で戦闘体勢のダース・ベイダーを発見。とりあえず敵ではない旨を伝えます。

室内に入ると、愛くるしい笑顔の男性とマスター・ヨーダが登場。男性のお名前は、ニック・マーレイさん。

お話を聞いて驚いたのですが、ニックさんはスター・ウォーズ旧3部作にて特殊メイクを担当していたとのこと。

ここは、そんなニックさんが館長を務めている「Yoda Guy Movie Exhibit」という博物館です。入館料は10ドル(記事制作時点のレートで約1105円)。

スター・ウォーズをはじめとして、数々の映画の資料やコスチュームなどが展示されています。

「フォースの覚醒」に登場するフィンのヘルメット

サンド・ピープル

カーボン冷凍されたソロ

ニックさんは旧3部作においてヨーダのパペット制作も行っていたため、「Yoda Guy(意訳:ヨーダの男)」という名前が付いているというわけです。

建物の外見とは対象的に、スター・ウォーズのファンならば訪れてほしい素敵な博物館でした。

「フォースと共にあらんことを!」と見送ってくれた受付のお姉さん

◆セント・マーチンのクセがすごい
マホビーチにあった「(飛行機の)エンジンからの風で飛ばされるから注意しよう」という看板。「最悪の場合死ぬ」とも書かれていました。

アイスクリームしか売ってくれなさそうなマクドナルドはマーケティングのクセがすごい。

サンド・ピープルの上に剥き出しのエアコン……世界観のクセがすごい!

大音量で音楽をかけ、サンルーフから身を乗り出して踊る旅行者と思われる男性たちに、地元のタクシー運転手が「あれは、とんでもなくクレイジーだ!」と言い放ちます。

◆新たなる希望
セント・マーチンのccTLDは「.sx」です。本来ならば「.sm(Saint Martin)」で登録されるべきなのですが、すでにサンマリノ共和国が使用しているため、IATA空港コードに合わせた「.sx」が採用されています。

管理会社(レジストリ)へ突撃訪問するためにあらかじめ調べた住所へ向かうと、海辺の工事現場に到着。

近辺を探してみると、オフィスらしき場所がありました。恐る恐る様子をうかがってみると……ビンゴ!

こちらが「.sx」レジストリの、ルネ・レピーヌさん。「.sxは他のドメインと比べ、まだ多くのドメイン名が登録可能です。今のうちにぜひ取得してください!」とのコメントをいただきました。ルネさん、突然の訪問にも関わらず、快く向かい入れてくださったことを深く感謝いたします。

確かに、「.sx」は多く使われているccTLDではないため、まだ多くのドメイン名を取得することが可能です。そういった意味では、今後需要が増えていき、マホビーチと並ぶセント・マーチンの収入源になることも考えられます。ハリケーンによる被害を受けているセント・マーチンにとって、このドメインはいつか「新たなる希望」になることでしょう。

セント・マーチンまでのアクセスはこちら

セント・マーチンのドメイン「.sx」はこちら

(文・写真:インターリンク https://www.interlink.or.jp/
ドメイン島巡り http://islanddomains.earth/)