ウォルト・ディズニー傘下の放送会社であるABCは、2018年5月にマイケル・ジャクソンの特集番組を放送しました。しかし、マイケル・ジャクソンの遺産を管理しているマイケル・ジャクソン・エステートはこの放送に対し、「我々の保有する著作権を無視して放送した」として、ウォルト・ディズニーとABCに対して訴訟を起こしました。ここで、ウォルト・ディズニー側がマイケル・ジャクソン・エステートに対して行った発言が大きな話題を集めています。

Disney Takes Stand Against "Overzealous Copyright Holders" | Hollywood Reporter
https://www.hollywoodreporter.com/thr-esq/disney-takes-stand-overzealous-copyright-holders-1134645

A Louse In The Mouse House: Michael Jackson’s Estate Swings From The Rip In Copyright Case | Above the Law
https://abovethelaw.com/2018/08/a-louse-in-the-mouse-house-michael-jacksons-estate-swings-from-the-rip-in-copyright-case/

この訴訟の発端となったのは、ABCが2018年5月に放送した「The Last Days of Michael Jackson」でした。この番組はマイケル・ジャクソンのドキュメンタリー映画「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」で使用されたシーンの他に「スリラー」や「Beat it」「Black or White」などのミュージックビデオなどで構成された2時間番組でした。

この放送に対し、マイケル・ジャクソン・エステートは「我々が管理する30件以上の著作物が無許可で使用された」として、ウォルト・ディズニーとABCを相手に訴訟を起こしています。

ディズニー側は訴訟に対する答弁で、アメリカの著作権法の107条を持ち出し「この放送はニュース報道や研究に相当するドキュメンタリー番組であることから、公正使用に該当するため、著作権料は一切発生しない」と発言。さらに同社は「マイケル・ジャクソンの映像や音楽コンテンツ使用は当人の歴史を説明するにはなくてはならないもの」と説明し、ABCの対応を正当化しています。

しかし、ディズニー側が持ち出した「ドキュメンタリー番組だから問題ない」という見解については、「多くの人を楽しませるためのエンターテイメント作品」と見なされる可能が高いため、かなり苦しいという見方があります。

それでも、ディズニー側は強気な姿勢を崩しておらず、マイケル・ジャクソン・エステートのことを「過激な著作権所有者」と表現して批判まで行っています。これに対し、マイケル・ジャクソン・エステート側は「子どもたちを喜ばせるために、ディズニーと全く関係ないオレンジの虎と青いロバの着ぐるみを着た夫婦に対して100万ドル(約1億1000万円)の賠償金を要求した企業は違いますね。ディズニー基準ではティガーとイーヨーにでも見えたのでしょうか」と過去のディズニー側の訴訟案件を例に出して、皮肉を込めた発言を行っています。


弁護士のスコット・アラン=バロウズ氏は「ディズニーは著作権を非常に重視し、作品をコピーした人に対して訴訟することにためらうことがないのは有名です。しかし、そのような企業がオリジナルの音楽や映像を無断でコピーしておきながら、著作権料をゼロに抑えるために相手を『著作権に対する敬意を欠いている』と非難するのは考えられない」と語っており、ABCはある程度の額をマイケル・ジャクソン・エステートに支払っていた可能性を指摘しています。

Photo By Keith Allison