ドイツにあるマックスプランク・プラズマ物理学研究所(IPP)で開発されている核融合実験炉「ヴェンデルシュタイン7-X」は、核融合発電の実現に向けた実証実験を行っています。そんなヴェンデルシュタイン7-Xは良好な実験結果を残しており、従来の計画通りさらなる改良が加えられることが報じられています。

Successful second round of experiments with Wendelstein 7-X | Max-Planck-Institut für Plasmaphysik
https://www.ipp.mpg.de/4550215/11_18

水素やヘリウムといった軽い原子による核融合反応を用いてエネルギーを発生させる核融合炉は、次世代の発電機構として長らく注目を集めています。太陽をはじめとする恒星が光り輝くのも核融合反応によるものですが、地球上で核融合反応を発生させるためには人工的に極めて高温または高圧の環境を作り出す必要があるとのこと。

そんな核融合反応を発生させる核融合炉・ヴェンデルシュタイン7-Xはヘリカル型と呼ばれる方式を用いたものです。ヘリカル型の核融合炉では、ねじれたコイルを周回させた機構に電流を流して閉じ込め型の磁場を作り出し、その内部に核融合反応によって発生した高温・高密度のプラズマを閉じ込めておくという仕組みになっています。

核融合炉の実現においては核融合反応を長時間持続させることが必要ですが、あらゆる装置の不具合や調整ミスにより簡単に核融合反応は停止してしまうため、研究者らは核融合炉内に長時間プラズマを保持し続けるために実験を行っています。2018年6月には、ヴェンデルシュタイン7-Xが高温・高密度のプラズマを26秒間にわたって保持したという記録が報告されました。

核融合実験炉「ヴェンデルシュタイン 7-X」が高温・高密度プラズマの世界記録を達成 - GIGAZINE

その後も研究チームはヴェンデルシュタイン7-Xの改良を行い、新たな測定装置や加熱システムを設置したとのこと。2018年7月から10月にかけて再び行われた実験では、プラズマを100秒にわたって持続させることに成功したそうです。

これらの非常に好調な実験結果を受けて、研究チームは「プラズマを30分間にわたって持続させる」という目標を達成するためにヴェンデルシュタイン7-Xのさらなる改良をスタート。装置の壁に負荷をかけることなく熱エネルギーを増加させるため、核融合炉を構成するダイバータのグラフェンタイルを、今後2年間で強化炭素繊維製の水冷装置に置き換えるとしています。