「肺がん」はがんの中でも最も死亡数が多いがんです。Googleではそんな肺がんを検出するためのAIが開発されており、このAIに低線量肺がんCT(LDCT)を用いたがん検診を行わせたところ、人間の放射線医師よりも高精度でがんを検出できることが明らかになっています。

End-to-end lung cancer screening with three-dimensional deep learning on low-dose chest computed tomography | Nature Medicine
https://www.nature.com/articles/s41591-019-0447-x

A promising step forward for predicting lung cancer
https://www.blog.google/technology/health/lung-cancer-prediction/

Google’s lung cancer detection AI outperforms 6 human radiologists | VentureBeat
https://venturebeat.com/2019/05/20/googles-lung-cancer-detection-ai-outperforms-6-human-radiologists/

A.I. Took a Test to Detect Lung Cancer. It Got an A. - The New York Times
https://www.nytimes.com/2019/05/20/health/cancer-artificial-intelligence-ct-scans.html

Googleの研究チームは、アメリカ国立衛生研究所とノースウェスタン大学が提供した45856枚の匿名の胸部CTスキャンデータを活用して、AIに対して入力したデータと得られた結果のみから学習するエンドツーエンド深層学習を行いました。その後、学習を終えたAIと、6人の人間の専門医には、低線量肺がんCTのデータを用いた肺がん検診を行ってもらいました。

単一のCTスキャンからがん検診を行った場合では、AIは人間の専門医に比べ、「一見がんのように考えられるが、実際にはがんではない」という偽陽性を11%減らしながら、がんの検出率では5%上回っていました。以下の画像をクリックすると、がんの既往歴がない場合にも、AIが高い精度でがんを検出してくれるというイメージ映像(GIF)が見られます。

一方で、単一のCTスキャンからだけではなく、過去のCTスキャンも参照できる場合には、人間の専門医とAIのがんの検出率にほとんど差はなかったそうです。また、未来予測でもAIは人間より優れた結果を残しました。検査から2年後の肺がんのリスクを予測させるという実験では、人間の放射線医師の結果と比較して、AIによる検査では検出率で9.5%上回っていたとのこと。

しかし、AIを活用した医療診断には潜在的な危険性も存在します。CTスキャンを読み間違えた放射線医師がいても、誤診は1人の患者にしか影響を与えません。一方、AIが「誤診」を行った場合、それは学習において間違いが生じていたということになり、その「誤診」は多数の患者に影響を及ぼす可能性があるためです。


この研究を主導したShravya Shettyさんは「ディープラーニングは検出率を犠牲にすることなく、特異度を高めることができます。がん検診の費用対効果に対してAIが果たすことのできる役割について、さまざまな調査や研究が行われることを望んでいます」とコメントしています。

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