提供サービスの基盤システムや情報システムを、自社内のサーバーではなく外部のクラウドサーバーで運用する企業が年々増えています。そんな中、世界3位の利用者数を誇るクラウドホスティング企業が顧客のアカウントを誤ってロックしてしまい、クラウドサービスを利用していた顧客企業が業務停止寸前にまで追い込まれたと報じられています。

An update on last week's customer shutdown incident
https://blog.digitalocean.com/an-update-on-last-weeks-customer-shutdown-incident/

DigitalOceanは自前で大規模なサーバーや高性能なマシンを用意することができない中小企業やソフトウェア開発者を中心に数多くの利用者を抱えるクラウドホスティングサービスを提供していて、2014年には世界第3位のホスト台数を抱えるホスティングプロバイダにまで成長しました。企業向けにデータ分析ツールを提供するフランスのベンチャー企業Raisupは、DigitalOceanのホスティングサービスを利用する企業の1つで、RaisupはDigitalOceanのサービスを利用して、世界2位の電力会社であるフランス電力や、世界最大級の旅行客向け保険の販売会社Europ Assistanceなどに対してサービスを提供していました。


2019年5月29日の夕方、RaisupのDigitalOceanアカウントが突然ロックされてしまいました。当然RaisupはDigitalOceanに問い合わせを行い、翌朝にはロックが解除されたそうですが、同日中に再度ロックがかかってしまったとのこと。しかも、Raisupによる2度目の問い合わせに対し、丸1日以上かけてDigitalOceanが行った対応は、なんと「ロック解除拒否」でした。

アカウントがロックされたことにより、Raisupは自社の提供サービスが継続できなくなってしまった上、過去1年間分のバックアップデータを含めたすべてのデータを喪失するという事態に直面してしまいます。

Raisupの2人しかいない社員の1人で、唯一のエンジニアでもあるニコラ・ボーベ氏は自身のTwitterアカウントで、「DigitalOceanがいかに私たちの会社を殺したか、その悲しく長い物語」と題して一連のツイートを投稿し、経緯やDigitalOceanとのやりとりを公開しました。
How @DigitalOcean just killed our company @raisupcom. A long thread for a very sad story. pic.twitter.com/uOFCDRoYJ6— Nicolas Beauvais (@w3Nicolas) 2019年5月31日

最終的に、対応ミスに気がついたDigitalOceanは5月31日にRaisupのアカウントを復旧するとともに、Raisupに直接連絡して謝罪をしたとのこと。DigitalOceanは自社ブログに投稿した調査報告の中で「2名のスタッフによる人為的ミス」が今回の事態の主な原因だと説明しています。

5月31日が2週間のバカンス初日だったというボーベ氏は「Raisupはオンラインに戻りました。さあ休暇だ!」とツイートすると同時に、「皆さんはいざという時の次善の策を用意しておくことをお勧めします」とも語り、冗長化の大切さを改めて強調していました。
This thread has blown up way more than I expected! Thank you, everybody, for the kind words, this is a good reminder to not put all your eggs in the same basket! Thank you @moiseyuretsky for unlocking the situation, we're now back online! Time for holidays!— Nicolas Beauvais (@w3Nicolas) 2019年5月31日

Photo by Gerd Altmann