映画「スター・ウォーズ」シリーズでは、ジョージ・ルーカス監督が製作総指揮を務めた「エピソード4/新たなる希望」から「エピソード6/ジェダイの帰還」までが「旧三部作」、J・J・エイブラムス監督が制作総指揮を務める「エピソード7/フォースの覚醒」から「エピソード9/ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカー」までが「続三部作」と呼ばれています。そんな旧三部作と続三部作の違いについて、Vanity Fairでスター・ウォーズ関連の記事を執筆してきたライターのレフ・グロスマン氏がムービーで解説しています。

The Original Star Wars Trilogy vs. Disney’s Star Wars Trilogy | Vanity Fair - YouTube

グロスマン氏は、旧三部作はどこかおとぎ話のような側面があり、反乱軍やハン・ソロ、レイア姫はハッピーエンドに向かっていくという流れがあると指摘しています。

しかし、それに対して、続三部作ではおとぎ話のような側面は薄まり、少し複雑で現実的な内容になっているとグロスマン氏は評しています。

旧三部作におとぎ話のような雰囲気があるのは、「当時の世相が影響しています」とグロスマン氏。

旧三部作の第1作である「エピソード4/新たなる希望」が制作・公開された1970年代は、ベトナム戦争やウォーターゲート事件など、物語の幻想性をぶち壊してしまうような事件が続発していました。

また、1970年代のアメリカの映画界はアメリカン・ニューシネマが台頭した時期であり、反体制的な若者を中心に政治や社会に疑問を提起するような作品が多く発表された一方で、一大叙事詩や冒険物はあまり人気が出ませんでした。そんな中、ルーカス監督は当時のインタビューで「楽天主義を再構築したい」と語っていました。

そのため、旧三部作はあえておとぎ話の枠組みの中で話が作られていったというわけです。

◆ルークとレイの違い

ルークもレイも、砂漠のような場所で親と離れて暮らしていました。

しかし、ルークには養ってくれる家族がいました。また、子どもの頃から反乱同盟軍の戦闘機パイロットになることを夢見る青年という設定でした。

一方で、レイは最初から孤独であり、家族はいませんでした。レイは常に怒りを覚えているものの、レジスタンスに入隊しようという意志はなく、地道に自分で生計を立てているようなキャラクターです。

◆オビ=ワンと老ルークの違い

オビ=ワンとルークの差は、旧三部作と続三部作の違いを象徴しているとグロスマン氏は主張しています。

オビ=ワンの弟子だったアナキンは大きく道を踏み外してダース・ベイダーとなり、オビ=ワンはアナキンの息子であるルークを守るために20年間も砂漠の惑星タトゥイーンに隠居していました。ダース・ベイダーはその後、暗黒面から脱却し、ジェダイとしてフォースと一体化します。

「長く隠居していたジェダイ」「弟子だったカイロ・レンが暗黒面に落ちる」という点ではルークもオビ=ワンと同じ。しかし、彼はカイロ・レンによってジェダイ再興の機を失われたことにショックを受け、ジェダイの衰滅を受け入れるつもりで遺跡に隠居していました。

そのため、「エピソード8/最後のジェダイ」では、ルークを探すためにレイは旅に出て、ルークにずっとついていくこととなります。

◆ダース・ベイダーとカイロ・レンの違い

ダース・ベイダーは、映画を象徴する存在で、「ダース・ベイダーはとてもかっこいい」とグロスマン氏も認めています。

激情家だった若い頃のアナキンがダース・ベイダーとなったのは「死の運命にある妻パドメを守りたい」という思いをシスに利用されたことがきっかけでしたが、旧三部作でのダース・ベイダーは若い頃ほど感情をあらわにせず、いわば「間違えたまま進行しつづけている」状態だとグロスマン氏は語っています。

一方で、「レンは終始感情的です」とグロスマン氏。ダース・ベイダーは「エピソード6/ジェダイの帰還」のラストまで一切マスクを外さないのに対して、レンは仮面を外すことで、かんしゃくを起こしたり感情をあらわにしたりする様子が映画の中ではっきりと描かれます。

そして、レンが仮面をかぶる時こそ、ファシズムの台頭をより強く印象づけられるのだとグロスマン氏は主張しています。

◆旧銀河共和国と新銀河共和国の違い

「スター・ウォーズ」でシスを利用して銀河を支配しようとする銀河帝国と戦うのは、かつて銀河の共同国家体だった銀河共和国でした。旧三部作の反乱同盟軍はかつての銀河共和国を取り戻そうという信念に基づいています。

旧三部作の反乱同盟軍を突き動かしているものはいわば「旧銀河共和国への郷愁です」とグロスマン氏。この「郷愁」はルーカス監督にとっては大きなテーマの1つであり、ルーカス監督の大ヒット作「アメリカン・グラフィティ」も同じく郷愁をテーマにしているとグロスマン氏は述べています。

しかし、「エピソード7/フォースの覚醒」からは全く違います。既に「エピソード6/ジェダイの帰還」で反乱同盟軍は勝利を手にしました。レイア姫が率いるレジスタンスは、シスの力で再び台頭してきた銀河帝国残党のファースト・オーダーに対抗するための私設組織であり、続三部作からは「郷愁」が失われているとグロスマン氏は指摘しています。

◆ルーカスフィルムとディズニーの違い

「スター・ウォーズ」シリーズを初めとしてさまざまな映画を制作してきたルーカスフィルムは、2012年にディズニーの傘下となり、ジョージ・ルーカス監督もルーカスフィルムから身を引いています。

しかし、ディズニーが制作になってから「スター・ウォーズ」関連作品の公開ペースはめちゃくちゃ早く、2015年から2019年の間でスピンオフも含めると5本も映画が作られています。旧三部作が1977年から1983年までの7年で3本だったことを考えると、公開時期の間隔はかなり短くなっています。

もちろん撮影技術の進歩や制作会社の規模の差も大きく影響しているはずですが、グロスマン氏は、ディズニーがおそらくマーベル・シネマティック・ユニバースのようにコンスタントにシリーズを展開していくことができるかをテストしていたのではないか?と推測しています。

グロスマン氏は「かつてはおとぎ話のようなハッピーエンドを期待された『スター・ウォーズ』でしたが、現代では通用しなくなっています。続三部作では、良くも悪くもビタースイートな展開が待ち受けているでしょう」というグロスマン氏の言葉でムービーは締めくくられました。