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いつまで経ってもロードされない?

アメリカで大きな話題となっているネットの中立性=ネット・ニュートラリティ。2015年にオバマ政権時代にアメリカの連邦通信委員会(FCC)がインターネットを公共サービスの1つとして認定するオープンインターネット規則を承認。インターネットはすべての人に開かれたかと思われました。ところがトランプ政権になり、FCCの委員長が変わったことから風向きは一変。再び開かれたインターネットが制限される危機に陥ったのです。そこで大手IT企業が2017年7月12日に「デイ・オブ・アクション(Day of Action)」と銘打ち、抗議活動を行ないました。


ネット・ニュートラリティってなに?


ネット・ニュートラリティとは直訳すれば「ネットの中立性」となりますが、あらゆるネット上のデータ通信は平等に扱われるべきというアイデアのことを指します。ネット・ニュートラリティに関する規則がない状況では、インターネットプロバイダは特別料金を払わないウェブサイトに対して通信量を制限し、さらに速度が速い特別回線を作ることで、動画サイトをよく見るユーザーやネットゲームをするユーザーなどに高い通信料を請求しています。たとえばアメリカの大手通信プロバイダのベライゾンは、子会社であるYahooメールのユーザーを増やすために突如Gmailの回線を遅くするなど、通信速度の制限を利用したビジネスを行なっています。ユーザーが選択できるプロバイダの数はそうは多くありません。ネット・ニュートラリティの規則がなければ、インターネットは悪くなる一方なのです。もし特別な料金を払わなければ質の悪い水やガスしか使えないとなったらたまったもんじゃないですよね? もはやネットもライフラインの1つと言える時代でしょう。

2015年、アメリカの連邦通信委員会(FCC)はインターネットを公共サービスの1つであると分類し、事業者が回線を制限することを防止する法的な枠組みとなるネット・ニュートラリティの規則を設立。未だNetflixなどの高スピード、広帯域の優先回線を得ているサイトは存在しているものの、ネット・ニュートラリティを保護する規則ができたと考えても良いでしょう。

ところが2017年の1月には、ネット・ニュートラリティの反対者でベライゾンの弁護士だったアジット・パイ氏が、トランプ大統領の新体制にて連邦通信委員会の新たな委員長に就任。なんと2015年に設立されたネット・ニュートラリティの規則を廃止するという決議に至ったからさあ大変。そこで多くのネット企業がデイ・オブ・アクションとして講義活動に踏み出したのです。


デイ・オブ・アクション(Day of Action)とは?


デイ・オブ・アクションとは、2017年7月12日にIT業界の大手企業のグループがネット・ニュートラリティの支持を表明して、連邦通信委員会の決議に対して行なった抗議活動。

この抗議活動は、2011年から2012年に行なわれた「インターネット・スローダウン・デー(Internet Slowdown Day)」や「インターネット・ブラックアウト・デー(Internet Blackout Day)」といった、オンライン海賊行為防止法案(SOPA)の立法審議を延期させるに至った同様のオンラインキャンペーンに則っています(SOPAについての詳細はこちらから)。

デイ・オブ・アクションの主催者は抗議活動によって連邦通信委員会がネット・ニュートラリティの規則を廃止することを阻止したいと考えています。活動によってより多くの人にこの問題を知ってもらい、考えてもらう機会となり得ます。TVや新聞、雑誌といった旧メディアは各大手企業の表明を報道していないため、知らない人も多いようです。

ちなみに連邦通信委員会は各所から反対を表明する意見をすでに受け取っている模様。公式ウェブサイトに設置された掲示板にも多くの意見が寄せられています。もちろんそれらの意見が考慮されるとは限りませんが、あまりにもネット・ニュートラリティを支持する意見が多い場合、このまま規則を廃止すれば今後法的な異議申し立てが行なわれる可能性もあります。開かれたインターネットを維持するには世論が必要なのです。

また政治家へのプレッシャーはもっとも効果的な抗議となります。国会議員や地方議員は連邦通信委員会の決定を覆す力を持っています。もし世論でネット・ニュートラリティを支持する声が強い場合、選挙で選ばれている議員たちは動かざるを得ません。


誰が参加しているの?


参加しているのは、インターネットで事業を行なっている大手企業。早々に参加を表明したのはユーザーの通信回線がそのまま事業に影響与えるであろう数多くのポルノ動画配信サイトでしたが、もちろんApple(アップル)、Amazon(アマゾン)、Twitter(ツイッター)、Microsoft(マイクロソフト)、Facebook(フェイスブック)といった大手企業も参加しています。

注目すべきはNetflixの参加。なぜならCEOのリード・ヘイスティングス氏は5月に、Netflixは以前ほどネット・ニュートラリティの問題に関心はないとコメントして騒動を起こしています。最近開催されたIT系のカンファレンスCode Conferenceでも、原則的にはネット・ニュートラリティはNetflixにとって未だに重要だが、「我々が望む通りの取引を行なえるほど大きな会社となったのでそれほど重要ではなくなっている。他の会社のほうが必要としているだろう」と発言。その後Netflixは批判を受けて、公式ツイッターで「Netflixは#NetNeutralityの戦いに関心を失なっていません。すべての人に対してインターネットはオープンであるべきです」とツイートしています。


Netflix will never outgrow the fight for #NetNeutrality. Everyone deserves an open Internet. https://t.co/iHfQUjfq2x

— Netflix US (@netflix) June 15, 2017


一方ネット・ニュートラリティを広くは支持しつつも公共サービスとして分類されることには批判的なベライゾンの子会社であるYahoo!やAOLは参加を表明していません(同様に子会社であるTumblrは後に参加を表明)。

その他、AirbnbやVimeo、Bandcamp、Dropbox、Pinterest、Yelp、Spotify、SoundCloud、Funny Or Die、DreamHost、Foursquareといった企業が参加しています。


どのような活動を行なうの?


これまでの同様のキャンペーンでも行なわれていたように、各企業のウェブサイトが情報を伝えるポップアップを表示したり、わざとウェブの表示を遅くして、もしネット・ニュートラリティがなければこんなにも不便なんだと伝えるキャンペーン実施されました。

アメリカ最大級の掲示板サイトRedditは、「あなたのお気に入りのサイトの読み込みが遅かったらインターネットはつまらないでしょ?」というポップアップを表示するとともに、Redditのロゴの読み込みに時間がかかり、「今月の通信量を超えています。アップグレードするにはこちらをクリック」という注意を促すポップアップを表示。

This GIF will buffer until #NetNeutrality is safe. @Stranger_Things pic.twitter.com/elSWlOUklr

— Netflix US (@netflix) July 12, 2017


If Net Neutrality rules are repealed, it could mean a lot more loading spinners.

Help take action at https://t.co/8ILRZBrB7R pic.twitter.com/8FMevmqlrC

— Twitch (@Twitch) July 12, 2017


Twitch、Netflix、Spotify、Airbnbはデイ・オブ・アクションのバナー広告を掲示。さらにNetflixはローディング映像が続くGIFをTwitterに多数アップ。Twitchはにたくさんの読み込み中のマークを表示しました。



Why we need net neutrality from Vimeo Staff on Vimeo.


Vimeoはなぜネット・ニュートラリティが必要なのかを説明する動画をアップしました。またTwitterとGoogleはブログにデイ・オブ・アクションのことをポスト。

デイ・オブ・アクションがどれだけの効果をあげたのかはまだわかりません。しかし間違いなくインターネットはすべての人に開かれた場所であるべきです。自由の国アメリカがインターネットは不自由なんてバカバカしいですしね。


Image: AlexHliv/Shutterstock.com
Source: Battle for the Net, Netflix/Twitter(1, 2), Twitch/Twitter, Vimeo

Rhett Jones - Gizmodo US[原文]
(Shun)