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最近世間を賑わせるのはビッグバジェットでVFX満載、宇宙船が空を自由に舞い、見たこともないクリーチャーが軽やかに動き、AIでシミュレーションされた兵士がバトルするようなSF大作ばかり。なんだか「良いSF映画=金にモノを言わせたもの」の図式が定着してしまいそうですが、そんなことはありません。あまり話題になってないだけで、低予算でも面白いものは沢山あるんです。

ということで、今日はio9が選んだ「低予算だけど素晴らしい近年のSci-Fi映画14選」をお届け。

良作低予算SFの常連、『素敵な相棒 〜フランクじいさんとロボットヘルパー〜』『月に囚われた男』『プライマー』『彼女はパートタイム・トラベラー』はもちろん、日本では入手困難なマイナー作品までカバーしていますよ。では、お楽しみください。


『アナザープラネット』(2011年)

監督:マイク・ケイヒル


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ある夜、エリート学生のローダは空に現れた惑星に目を奪われ、衝突事故を起こしてしまった。その事故で妊婦と子供の命を奪った彼女は、刑期を終えた後、被害者家族であるジョンに謝罪をしようと彼を訪ねた。しかし直面するも、身分を明かすことすらできなかった。最終的にローダは毎週ハウスクリーニングをすることになり、2人は徐々に惹かれ合っていく…。その間も罪の意識にさいなまれるローダに、予想外なとこから救いの手が差し伸べられる。2人の運命を激変させた惑星は、もう1人の自分が存在する鏡の地球だったのだーー

低予算SFの可能性を感じさせる傑作。「もう一つ地球があって、パラレルワールドね」と言っただけで、こんなにも深いストーリーが展開されるのかと感動を覚える作品です。


クリーチャーズ 異次元からの侵略者』(2012年)

監督: ドン・コスカレリ


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予告編だけでは魅力が伝わりづらいので、YouTube Moviesがアップした冒頭の流れをご覧ください。


Video: YouTube Movies / YouTube


特殊能力を授けるドラッグ「ソイソース(醤油)」を摂取したことでエイリアンが見えるようになったジョン。彼は親友デイヴィッドに相談するも、デイヴィッドは半信半疑。しかし実際に家に足を運ばせると、確かに巨大蜘蛛が天井をはっている。かくして2人の対エイリアンバトルが始まったがーー

邦題が随分とB級っぽいですが、内容もしっかりB級。でもある意味傑作です。上の動画を見てもらえば分かる通り、その陳腐な設定は一定の人を惹きつける魔力を秘めています。

かなりカオスなストーリーですが、最後まで見きったら面白く感じる…はず(少なくとも下らない映画に触手が動く筆者は好きでした)。まずはタイトルに惑わされず手に取って見ることをお勧めします。


『コンピュータ・チェス』(2013年)

監督: アンドリュー・バジャルスキー


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80年代初頭を舞台にプログラマーたちががオタクのプライドをかけてコンピューターのAIにチェス対戦させる、ギークによるギークのためのSFドラマ。

監督のアンドリュー・バジャルスキーは80年代をリアルに演出するために、当時のカメラを使うこだわりを見せました。派手さはありませんが、そのぶん説得力があります。


『アメリカン・アストロノーツ』(2001年)

監督:コリー・マカビー


Video: yamwacky / YouTube


宇宙を舞台に活躍する運び屋のサミュエル・カーティス。美女だけが住む金星に、男性しかいない木星に住む「女性のおっぱいを見たことがある青年」を送り届けるミッションについた。そんな彼らには「誕生日を祝ってもらうことに固執するヘス博士」の魔の手が迫っておりーー

コリー・マカビー監督が送る、あらすじだけで大混乱な白黒SFウェスタン・ミュージカル映画『アメリカン・アストロノーツ』。

この作品は筆者が見てよかった、と思うカルト作品のひとつ。2001年公開で、手描きとロークオリティーのスペシャル・エフェクトが楽しめるSFなんて本作くらいのもの。ストーリーは馬鹿馬鹿しいの一言につきますが(褒め言葉)、音楽もウェスタンな雰囲気もサイコー、知られざる名作を求めている人は必見です。


『モンスターズ/地球外生命体』(2010年)

監督:ギャレス・エドワーズ


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NASAが持ち帰るはずだったエイリアンサンプルが事故によってメキシコにばらまかれ、土地の半分がエイリアンのものになってしまう。そんな中、メキシコで撮影中だったカメラマンのコールダーは、現地で足止めされている社長令嬢のサマンサをアメリカまで送り届ける命令を受ける。フェリーを使えばたわいもない任務だったはずが、あるトラブルが原因でエイリアンに汚染された陸路を使わなくてはならなくなりーー

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』や『GODZILLA ゴジラ』の前に、ヴィジュアルエフェクト・アーティストだった頃のギャレス・エドワーズが考案し、監督したSFモンスター作品。サマンサ役のホイットニー・エイブルのはにかんだ笑顔がとろけるほど可愛いです。

ナチュラルにNASAをディスる映画やデビュー当時のキャメロン・ディアスにメロメロだった人は必見です。


『素敵な相棒 〜フランクじいさんとロボットヘルパー〜』(2012年)

監督:ジェイク・シュライアー


Video: hollywoodstreams / YouTube


離れて暮らす高齢の父親を心配した子供達から、健康状態を向上させてくれるロボットヘルパーをプレゼントされたフランク。最初はロボットに拒否反応を見せていたが、次第に心を開き、調子に乗って犯罪にまで加担させてしまうーー

少子高齢化を突き進む世界に向けて、介護用ロボット導入のポジティブな面を発信した泣ける老人SF映画『素敵な相棒 〜フランクじいさんとロボットヘルパー〜』。

介護されるなら心を通わせられる人間の方がいいと思いますが、これからの日本でそれは難しくなっていくことでしょう。でも、こんなロボットヘルパーと過ごす毎日なら楽しそう。そう遠くない未来に不安ばかり感じている人とジェームス・マースデンのドラマな演技が好きなにお勧めな一本。


『マインド・シューター』(2008年)

監督:アレックス・リベラ


Video: MajorKaparty / YouTube


メキシコとアメリカが壁で分断され、メキシコ側からアメリカへの移動が不可能となった近未来。不幸が重なり、メモは住み慣れた街を離れ、国境近くのティワナに移った。彼は、そこで唯一の働き口「Sleep Dealer」に入ろうとするが、仕事の内容は体内に埋め込んだ特殊端子をネットワークに接続し、遠隔操作でアメリカのビル建設で使われているロボットを操作するという特殊なものだった。しかもノードと呼ばれる装置を埋め込むにはお金がかかってしまう…。悩んでいたメモの前に、ノードを埋め込む技術を知る美女が現れーー

メキシコとアメリカを壁で分断、なんてなんだか聞き覚えがある設定ですね。あの公約はこの映画を参考にしたのでしょうか…。

本作のアイディアは興味深く色々とじっくり考えさせられます。でも上映時間が90分程度なのに対して、消化しきれないほどの設定量なので、詰め込み過ぎな感じが否めません。もう少し尺を長くするか、要素を削ったら飛躍的にいい話になりそう。

あ、筆者的にはオススメな部類の作品ではありますけどね。


『月に囚われた男』(2009年)

監督:ダンカン・ジョーンズ


Video: watchCulturetainment / YouTube


3年間の孤独な宇宙ミッションが終わろうとした時、男は外で自分と瓜二つの人物を見つけた。果たしてこの人物は、そして自分の存在とはーー

近年の優秀な低予算SFといえばコレ、豪華セットも豪華共演者もエイリアンも登場せず、観客をゾクッとさせた『月に囚われた男』です。見てなかったら損するレベルかも。

ダンカン・ジョーンズ監督は本作と同じユニバースで地球が舞台の新作『Mute』を製作中。今後トリロジーにすることを望んでいるようです。楽しみすぎる。


『シグナル』(2014年)

監督:ウィリアム・ユーバンク


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MITの学生3人が謎のハッカーの居場所を突き止め、ネバダに向かった。しかしそこで「エイリアンとの接触が原因で感染した」と告げられ、施設に隔離されてしまう。繰り返される検査と実験により、強制的に能力を与えられてしまったがーー

デヴィッド・リンチ監督とスタンリー・キューブリック監督が好きなんだろうというのがビシバシ伝わってくる作品。ラストの音速ダッシュは爽快です。


『彼女はパートタイムトラベラー』(2012年)

監督:コリン・トレヴォロウ


Video: Movieclips Trailers / YouTube




新聞記者見習いのダリアスは「タイムトラベルの相棒募集。過去に一回だけ成功。安全保障なし」の広告の真相を探ることになった。果たしてこの広告の真偽はーー

出演者にギラギラした派手さがないのがイイ。また「タイムトラベルしたことがある」と主張する人物を登場させるだけで一気に非日常的にしてしまうアイディアも素晴らしいです。

本作はコリン・トレヴォロウ監督の長編監督デビュー作。この作品で才能を認められ、3年後に大ヒットロングラン恐竜パニック映画『ジュラシック・ワールド』(2015年)でメガホンを握ることとなりました。2019年に公開予定の『Star Wars: Episode IX』の期待度を高めるためにも『彼女はパートタイムトラベラー』はチェックしておくべきでしょう。


『ザ・ワン・アイ・ラブ』(2014年)

監督:チャーリー・マクダウェル


Video: Movieclips Trailers / YouTube


冷めきった仲をどうにかしたいと悩み、カウンセリングに足を運んだ夫婦。そこで「行けば必ず仲良くなって帰ってこられる場所」を教えてもらい早速行くことにした。しかしそこはとても不思議な現象がおこる場所でーー

主演はマーク・デュプラス。『彼女はパートタイムトラベラー』でタイムトラベラーのケネスを演じています。そうそう、監督のチャーリー・マクダウェルの父親は、『デスレース2050』で相変わらずのキレた演技を見せたマルコム・マクダウェル。

筆者が大好きな作品。前情報なしの方が楽しめるので、書きたいことはたくさんありますが、これ以上は書きません。


『テイク・シェルター』(2011年)

監督・脚本:ジェフ・ニコルズ


Video: ScreenJunkies News / YouTube


異常気象に襲われ人々が凶暴化する悪夢にうなされたカーティスは、目を覚ました後も恐怖に取りつかれて裏庭にシェルターを作り始める。周囲の人々の不安を横目にカーティスはシェルター作りに没頭する。そして、ある日本当に嵐がやってきてーー

「予知夢を見た」「俺だけが異常に気づいている」というのも、退屈な日常に非現実感をもたらしてくれる便利アイディアのひとつ。これが大作ならローランド・エメリッヒ監督作を代表するようなディザスター系になるのでしょうが、低予算映画になると自宅特性シェルターというコンパクトでリアルな感じがイイです。


『プライマー』(2004年)

監督:シェーン・カルース


Video: amdvpro / YouTube


オフタイムを利用してガレージで研究開発していたエンジニアのふたり。ある日思いついた超電導を使うアイディアを試すと、小さい箱の中にワームホールができたことに気づく。タイムトラベルが可能であることを知ったふたりは、人が入れる大きさの箱を作り己の欲を満たす行動に出るがーー

タイムトラベルものを見ていれば絶対に知っているであろうタブーのひとつ「過去に戻って大儲け」をやるだけでなく、最大のタブー「分身に遭遇」までやってしまいます。こういったことをギーク目線でとっても分かりにくくしただけの映画なんですが、この不明瞭で不可解な感じが好きで解き明かしたいタイプならどハマり、そうでなければグッタリする作品ではないでしょうか。

筆者は77分という尺の短さだから2回見ましたが、これが120分だったらギブアップしてたと思います(最近は単純明快な映画が好きなんです)。


『ランダム 存在の確率』(2013年)


監督:ジェームズ・ウォード・バーキット


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彗星が地球に接近する日、徒歩圏内にパラレルワールドの扉が開いたーー

いいですねぇ、単純な設定なのに複雑化していくストーリー。彗星の接近、微妙な人間関係、突然の停電、パニックになって2ブロック向こうの明かりがついている家に向かうと、そこにはもうひとりの自分たち。5分でいけるパラレルワールドですよ、空に浮かんだもうひとつの地球を描いた『アナザー・プラネット』がビッグバジェットSFに感じるくらいのお手軽さ。

この映画には、当然ながら彗星を爆破させる石油掘削員も、エイリアンも出てきません。ロケーションも登場人物も劇場演劇さながらのミニマルさ。ストーリーを盛り上げるのは、スマホの画面が割れた、インターネットが切断された、停電になった、こういった小さなことの積み重ね。これらが不安をあおる様子は、見ているこっちまでドキドキします。

日本では知名度も評価も低いようですが、筆者は大好きな1本。是非手に取って見て欲しい作品です。

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Reference: io9

Cheryl Eddy-io9[原文]
(中川真知子)