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「家政婦は見た」的な?

最新のルンバはただ掃除してくれるだけじゃなくて、下のような家の中のマップを作って、どこをどれくらい掃除したのかアプリの中で可視化してくれます。それって、まるで家政婦さんが「お掃除終わりました〜今日もご指定の場所全部きれいにしましたけど、特にリビングのソファの周りが汚れてましたよ」なんて報告してくれるような感覚で、素晴らしいと思います。


Image: iRobot


が、その家政婦さんが作業報告する相手はルンバの持ち主だけじゃなくて、家政婦派遣会社ならぬiRobot(アイロボット)に対してもデータを送ることができるみたいです。ロイターによれば、iRobotは、ルンバ経由で取得するデータのうち家の中のマップを外部に販売することを具体的に検討しています。

家の中のマップが何に使えるかって、『24』を見ていた私はつい、ガサ入れが捗るな…などと思ってしまうのですが、iRobotのCEO、コリン・アングル氏はもっと夢のあるビジョンをロイターに語っています。

ユーザーが共有を許可した家のリッチなマップがあれば、スマートホームにできるさまざまなモノやサービスのエコシステムがあるのです。

また同じ記事の中でコーネル大学のGuy Hoffman氏は、ルンバの取得するようなマップがあることで、たとえば「サウンドシステムは家の音響状況に合わせることができ、エアコンは部屋ごとに空気の流れをスケジュール化し、スマート照明は窓の位置や時間帯によって光を調整できる」としています。つまり今すでに普及しつつあるAmazon EchoやGoogle Homeと相まって、いろんな家電とか設備が、今まで考えられなかったレベルの快適さを実現すべく動き出す感じです、多分。

でも、掃除のとき以外は家にひっそりたたずんでるだけだと思ってた家政婦さんが、家の情報を外部に流し始める…ってことには抵抗感のある人もいるかもしれません。というかルンバのアプリのプライバシーポリシーを見ると、ルンバからiRobotへのデータのアップロードはすでにされているようです。ポリシーの中には、こんな断り書きがあります。


当社のロボットの一部には、スマートテクノロジーが内蔵されており、ロボットが本サービスに無線でデータを送信できるようになっています。たとえば、ロボットはバッテリーの寿命や状態、ミッションの数、装置識別名、位置マッピングなど、ロボットの機能や使用統計に関する情報を収集および送信することができます。(略)

当社はこの情報を、統計および使用データの収集および分析、技術的問題の診断および修理、デバイスの性能改善、およびユーザー体験の向上のために利用します。(略)当社のロボットは、お客様がデバイスをオンラインで登録しWi-Fi、Bluetoothその他の手段でインターネットに接続しない限りこの情報を転送しません。お客様のデバイスのWi-Fi___33またはBluetooth接続を解除し、またはそれらに全く接続しないことで、Wi-FiまたはBluetoothでのデータ転送がなくとも当社ロボットのスマートテクノロジーを使用することができます。


つまりiRobotは、すでにユーザーのデータ収集・利用を明示しているだけでなく、プライバシーを気にするユーザーの存在もちゃんと想定したうえで「抵抗ある人はネットにつながなければいいよ、それでもルンバは使えるよ」と言ってるわけです。上記に加えて「当社はまた、お客様個人を合理的に直接特定できない集合および匿名の形式で他者と情報を共有する場合があります」というくだりもあり、iRobot以外の企業にデータ提供する準備は着々と進んでいたんですね。ちなみにこのポリシーが最後に更新されたのは、記事執筆時点で2016年9月です。

そんなわけで、ルンバが作る家のマップをAmazon EchoやGoogle Home、AppleのHome Podが使うようになるのはもう時間の問題なのかなという印象です。個人的には家の間取り情報がどこかで見られて「この一角、たまにしか掃除してないけどいいの?」などと誰かに心の中でツッコミを入れられるかもしれないとか、iRobotがハッキングされたらツッコミどころじゃ済まないかもしれないとかは、ちょっとだけ心配ではあります。もっといえばこれから、同じようにいろんな家電とか、家電として意識すらしてなかったようなものまでがデータをネットに吐き出すようになると思われ、どうなっちゃうんだろうという漠然とした不安感もあります。でもイヤならオプトアウトもできるわけだし、もっとパーソナルなWeb閲覧履歴なんかすでにあっちこっちの会社に使われてるわけで、さしあたりはまあこういうものなのかな、という感じです。

それに、マップのおかげでAmazon Echoあたりが「ちょっとちょっと、リビングのここに照明置いたらもっと雰囲気良くなりますよ」「この照明がおすすめですけど、ウィッシュリストに入れときますか?」とか言ってくれるようになるのかもしれません。ついでに、生活動線に合った家具の配置を提案してくれたり、なるべくエアコンを使わないで済むように窓を開け閉めしてくれたり、なんてのはもっと遠い先の話でしょうか…? とにかくまだまだ始まったばかりのIoT時代、不安がある分、それ以上のメリットが生まれることを期待したいですね。


Image: iRobot
Source: Reuters、iRobot

(福田ミホ)