すべては作品のファンのために。

2017年8月2日(水)、Netflixによるアニメーションに照準をしぼった発表会イベント「Netflix アニメスレート2017」が開催されました。数多のコンテンツが発表されるなか、Netflixオリジナルアニメとして注目されているのが、コナミの名作ゲーム『悪魔城ドラキュラ』シリーズを原案とした『悪魔城ドラキュラ ―キャッスルヴァニア―(以下、キャッスルヴァニア)』です。


Video: Netflix Japan/YouTube


今年の7月7日から配信が始まり、既にシーズン2の制作も決定している本作。今回はエグゼクティブ・プロデューサーをつとめるアディ・シャンカルさんにインタビューをさせていただきました。本作がまとう独特の折衷的雰囲気は、アディさんの育った環境が影響しているんだとか。

なおインタビューには『キャッスルヴァニア』のネタバレが含まれます。未視聴の方はご注意ください。



──現在配信されているシーズン1は全4話構成ですが、第1話では全て使ってドラキュラの物語を描写しています。どうしてそこまでしてドラキュラを掘り下げたのでしょうか?

アディ・シャンカル(以下、アディ):良い物語には良い悪役がいないといけません。なぜ悪役が悪に染まったのかという説明がちゃんとしたかったんです。そうすればオーディエンスが彼に共感できます。もしかしたら彼は"悪に染まらないで善の人間になっていたかもしれない"ということを理解できるんです。『キャッスルヴァニア』はとてもグレーなゾーンを描いた作品なので、善vs悪というような白黒ハッキリするようなものにはしたくはありませんでした。

──その考えは本作のアニメ化のオファーが来た時に思いついたのですか? それとも以前から構想として持っていたんでしょうか?

アディ:実は僕の今までの作品は全部グレーの世界を描いてるんです。『THE GREY 凍える太陽』という映画も作ってるくらいですから(笑)。大人向けの作品を作るときは、道徳的に複雑で色んな層のあるキャラクターを描くのが大事になってきます。例えば漫画の『デビルマン』はすごく大人向けな内容ですけど、そういうものが昔から大好きです。

──やはり、日本の漫画やアニメはお好きですか? 

アディ:もう執着していますね。僕は香港で育ったんですが、そこでは常に日本のアニメが放送されていたんです。子供の頃はずっとそれを見ていたんですけど、英語ではなく広東語だったのですごくストレスがたまりました(笑)。

──『キャッスルヴァニア』を見ていて思ったのが、日本産のアニメーションを思わせる動きがあったり、かと思えば海外のアニメっぽいところもあったりして、作画的にもとても幅が広くて面白かったんです。

アディ:それも実は意図したところなんです。僕は子供の頃に色んなところを移り住んでいて、大体は香港とシンガポールがメインでした。そして16歳の時にアメリカに行きました。香港はイギリスの影響がとても強かったし、そういうのもあって僕は色々な文化に影響されてきたんです。それが『キャッスルヴァニア』にも影響を与えていると思います。

──1つの文化だけ見てきたわけではないというアディさんの出自が、多いに関係しているのですね。

アディ:でも日本の文化は、なぜか僕に響くものがあったんです。香港ではいつも『ドラえもん』を見ていたけれど(手のひらにおさまらない巨大なドラえもんスマホケースを見せてくれる)、それも広東語だったんですよね。英語でやってるのは『セサミストリート』くらいで、それはあんまり好きじゃなかった。



──僕は、戦闘シーンが特に日本のアニメーション的だなと思いました。カメラワークや素早さの表現、ヌキの表現などがとてもクールで、海外のアニメーションを見ていて感じる感動ではない気がしていて。はじめて見た時は日本の制作会社が関わっているのかなと調べたくらいです。

アディ:でも関わってないんです。昔から『ファイナルファンタジー』シリーズをいっぱいやってたので、きっとその影響ですね。主人公のトレバー・ベルモンドは『ファイナルファンタジーVIII』のスコール・レオンハートにちょっと似てるでしょう? 本当ならガンブレードも付けたかったんですけどね(笑)。

──そうだったんですね。ちなみに、FFシリーズで一番好きなナンバリングは?

アディ:VIII! スコールがクラウドより良いキャラクターだと感じています。

──今作はどこかに向けて作ったという意識はありますか?

アディ:『悪魔城ドラキュラ』シリーズのファンのために作ったというべきですね。あとは自分が子供の頃にゲームをプレイして感じた思いを込めました。過去に僕のYouTubeで公開している「BOOTLEG UNIVERSE」という短編プロジェクトで『パワーレンジャー』をやったんですけど、あれも僕が7歳の頃にあの番組をどういう風に捉えていたかというのを意識して描いたんです。子供ためのショウであるものの、あの作品は非常にバイオレンスなものだと感じていました。

Video: Adi Shankar/YouTube「BOOTLEG UNIVERSE」の短編『パワーレンジャー』。ジョセフ・カーンとタッグを組んでいる

──今作も暴力表現についてはかなりハードですが、その部分をしっかり表現してくれてるのがシリーズファンにとっても嬉しい部分だと思います。

アディ:バイオレンスさは僕の作品の大きな特徴でもあります。僕はおかしいのかもしれませんね(笑)。

──Netflixでの配信ということで、それが製作スタイルや態勢に変化を与えましたか?

アディ:今までで一番良い経験、良い現場になりました。Netflixはアーティストをすごくサポートしてくれるんです。一方、アメリカのスタジオは利益を出すことしか考えてない。

──では、普段はできないようなこともやらせてもらえた?

アディ:全てにおいてそうでした。2008年からこのアニメーションをずっとやりたいと思っていたんです。2012年に実写映画としてこの作品を作らないかというオファーを受けたんですが、全て断ってきました。それはファンが喜ばないと思ったからです。

──実写化が活きる作品と、アニメ化が活きる作品があるのですね。アディさんの中で、そこの明確な判断基準というのはあるんでしょうか?

アディ:僕はアニメーションのほうがやりたい。アニメーションは手書きならではの素晴らしい表現ができるからです。でも1カ月後に出る実写映画(ラップバトルを描いた映画『BODIED』)もあるんです。僕とエミネムがプロデュースした作品で、ジョセフ・カーン(「BOOTLEG UNIVERSE」の『パワーレンジャー』でもタッグを組んでいる)が監督をつとめます。


Our #TIFF17 Midnight Madness Opening Night Film is @JosephKahn’s BODIED, with Anthony Michael Hall, Debra Wilson, @cthagod and @CalumWorthy. pic.twitter.com/MNZ6C2Vkiy

— TIFF (@TIFF_NET) 2017年8月1日
ラップバトルを描いた映画『BODIED』の予告編


──こちらもすごく楽しみです! 『キャッスルヴァニア』のほうもシーズン2の制作が7月初旬に決定したばかりですが、特にココに注目してほしいところなどはありますか? また公開時期なども教えてください。

アディ:シーズン2はシーズン1よりクールになります。公開時期についてはまだ言えないけれど、今はそれに全力で取りかかっていて、昨日も飛行機の中で取り組んでいました。

──ではとても気になる質問なんですが……、グラント(『悪魔城伝説』に登場するキャラクター、壁に張り付く身軽な男)はシーズン2に出てくるんでしょうか?

アディ:グラントか! さぁ、どうでしょう(笑)。

──人気ゲームシリーズ『アサシン クリード』のアニメ化もアディさんが手がけるということが先日発表されましたが、既に構想などはあるのでしょうか?

アディ:そのあたりはまだ話せないんです、非常に重要なフランチャイズなので。『アサシン クリード』はとても哲学的なメッセージを含んでいる作品で、特に秩序対無秩序というものを私としては描きたいと思っていて、これは社会的にも今の人たちに重要なことになると思います。

──アディさんが過去に手がけた映画『ジャッジドレッド(2012年版)』がTVシリーズ化するというニュースも聞いたのですが、そちらに関わっていたりはするんでしょうか?

アディ:今は『キャッスルヴァニア』のシーズン2で手いっぱいという状態ですね。ただ「BOOTLEG UNIVERSE」からはあと2本出す予定で、1本目が4時間の長編、2本目が90分になります。それ以外は『キャッスルヴァニア』に注力しています。

でも「BOOTLEG UNIVERSE」というのはとても面白い試みで、日本では『ガンダム』シリーズがありますが、『鉄血のオルフェンズ』なんかはBOOTLEG GANDAMみたいなものだと思うんです。おそらくはBOOTLEG UNIVERSEというのも日本の文化に影響を受けたのかもしれませんね。

──最後に、読者と『キャッスルヴァニア』のファンに向けて一言、お願いします。

アディ:ビデオゲームというのは、国際的で世界をひとつにまとめる力のある言語だと思っています。今回のアニメーションもグローバルで皆が一緒に楽しめる作品にしたいと思っています。ぜひ、作品をご覧になってみてください。

***

Netflixアニメ『悪魔城ドラキュラ -キャッスルヴァニア-』

◆シーズン1
Netflixにて全世界独占配信中
約23分/全4話(シーズン1)

◆シーズン2:2018年全世界配信
全8話(シーズン2)

Photo: ギズモード・ジャパン
Source: Netflix, Twitter, YouTube(1・2)

(ヤマダユウス型)