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解雇されてむしろ元気、「やっぱりエコー・チェンバー(反対意見に耳を傾けない)でしょ」と。

先週末、Googleグーグル)のエンジニアが同社の多様性、特に男女平等を実現するための取り組みを批判する文書を公開して拡散され、炎上しました。彼はすぐさまGoogleに解雇されましたが、保守派の論客はGoogleの対応をこき下ろし、ボイコットを呼びかけたりもしています。

当のエンジニア、James Damore氏は失業して意気消沈…かと思いきや、Recodeによれば解雇されてすぐに全米労働関係委員会に対しGoogleの対応を不当とする申し立てをしています。さらにBloombergのTV取材に応じて「後悔はしていない」とあくまで強気です。いわく、彼としてはあくまでGoogleを良くするために意見を出したまでなので、後悔しようがないと考えているようです。

Bloombergの動画の中でDamore氏はGoogleにおける多様性プログラムの批判を繰り返し、「人種や性別を理由に、Googleに入りやすくなっていることがある」と指摘。自分は性/人種差別主義者ではないし、右翼というより中道だと主張し、問題の文書も「科学的なコンセンサス」を含めて周りのGoogle社員のフィードバックを受けながらアップデートしてきたのだと語りました。その後はWall Street Journalにも寄稿し、「私の解雇は、Googleがまさにエコー・チェンバー(反対意見に耳を傾けない)であることを示している」と非難しています。

さらにDamore氏は新たなTwitterアカウント「@Fired4Truth」(Fired for truth=真実のために解雇された)も開設し、プロフィール写真の中ではGoogleを旧ソビエトの強制収容所・グラグになぞらえたTシャツを着ています。


#NewProfilePic pic.twitter.com/EaD4tKoH21

— James Damore (@Fired4Truth) 2017年8月10日
Source: James Damore/Twitter


一方GoogleのCEO、スンダー・ピチャイ氏は、8月10日に予定していた社員向けの対話集会を中止しました。これは、社内掲示板でDamore氏を批判したGoogle社員の実名がオルタナ右翼サイトで流出されており、集会を開くことで社員を標的にした攻撃が激化してしまうことを恐れての判断です。たしかに、今この多様性問題をダシにして「Google vs オルタナ右翼」みたいな構図ができていて、Googleが何か発信すればすぐに「敵」が攻撃してくる可能性が高いです。

ただWiredにあるように、自分の思想が保守的であるために社内に居場所がないと感じているGoogle社員はDamore氏以外にも確実に存在するようです。そういった人たちにとって、Damore氏の解雇は見せしめのように感じられたかもしれません。ニューヨークタイムズには、この微妙な局面において、大衆に迎合して「解雇」という雑な決着を図ったピチャイ氏はCEOにふさわしくない、辞任すべきだなんてコラムも掲載されてます。

Googleにおける多様性をめぐっては、この問題が起きる前から報酬の男女差があるという指摘があり、集団訴訟が準備されています。訴訟への参加に興味を示したGoogleの社員・元社員は、Recodeによればすでに70人にも上るそうです。Damore氏も元気に活動しているし、Googleやピチャイ氏にとってはしばらく頭の痛い状況が続きそうです。

・「生物学的に女は不向き」発言者解雇。オルタナ右翼がGoogleボイコット

Image: achinthamb / Shutterstock.com
Source: Recode, 全米労働関係委員会, Bloomberg, Wall Street Journal, Twitter, Wired, New York Times

(福田ミホ)