Video: NASA Goddard

宇宙からとらえた南極、グリーンランド。

NASAやワシントン大学の科学者らによる最新の調査がサイエンス誌で公開されました。レーザー高度計によって、2003年から2019年までの地球最大の氷床がどのように変化しているのかが明らかになっています。

氷床の減少が意味すること

グリーンランドや南極における氷床の大幅な減少は、積雪量が増加しても埋め合わせできないほどであることがわかりました。

グリーンランドは年間平均200ギガトン、南極は年間平均118ギガトンの氷を失っています。これは、過去16年だけでもハーフインチ(約1.3センチ)以上の海面上昇につながり、海に面する多くの都市やインフラに影響を与えることが懸念されます。

ある研究では、海面上昇によって、今世紀中にアメリカの沿岸沿いにある多くの地域で大規模な洪水が日常的に発生する可能性が示唆されています。2050年までのあいだに、世界中の大半のビーチを失う可能性も指摘されています。

詳細なデータが明らかに

研究では、NASAの地球観測衛星「ICESat」でレーザー高度計を使って宇宙から雪面の高さを測定。「ICESat」は2003年から2010年まで、精度を高めた2代目の「ICESat-2」は2018年から、データを収集しています。

米Gizmodo Eartherの取材に対して「15年以上かけて氷床がどのように変化したか、その結果は驚くほどに詳細だ」と、研究に携わっていない立場で評価するのはコロラド大学 Earth Science and Observation Center上級科学研究員であるTed Scambosさん。

Image: Smith et al./Science 2003年から2019年の間に南極大陸で増減した氷の量を示しています。濃い赤や紫の沿岸付近は氷の平均損失率が高く、青の内陸は氷の増加率が低いことを表しています。

「埋め合わせできない状態」

調査によると、積雪により厚みを増している部分はあるものの、全体的な氷床が減少していることがわかっています。

南極の場合、内陸部は氷が厚みを増しているいっぽうで、西南極や南極半島の沿岸では特に氷の量が減っていることが明らかに。これは、温かい海の水が湾岸の氷棚を切り落として海に押し出している状態で、内陸部で新たに増えた氷の量を考慮しても、全体的には、氷の量が減少していることになるといいます。

グリーンランドでも同様に、内陸部では氷を増していますが、それも主に標高の高い地域でのこと。全体的には、氷が減少している状態になっています。

ワシントン大学応用物理研究所の主任物理学者で研究著者のBen Smithさんは「最終的には、氷が海に流れ込むことで、海面上昇の大きな要因となる」と、米Gizmodo Eartherに対して語りました。

Image: Smith et al./Science 2003年から2019年の間にグリーンランドで増減した氷の量を示しています。濃い赤や紫の海岸近くは氷の減少率が高く、内陸部の青は氷の増加率が小さいことを表しています。

今回の研究が示すこと

今回公開されたデータはあくまで、すでに研究で明らかになっていたことを裏付けるものとなります。氷の損失を引き起こす要因として他にどんなものがあるのかについてはまた別の調査が必要になりそうです。

論文著者のBen Smithさんは、人工衛星が氷床や氷棚の厚みを測定することができるいっぽうで、近年見られる氷河のカービング(氷山分離)を捉えることはできないと述べています。

要するに、これらのデータが示すのは氷床で起きていることのほんの一部にすぎないこと。Smithさんは次のようにいいます。

これは、私たちが予測していた氷床の変化の始まりを捉えているだけです。氷床の長期的な進化について理解するためには、このような測定を何十年も続けていく必要があります。

気温の上昇に伴い地球最大規模の氷床が失われていくなかで、さらなる悪化を喰い止められるかどうかは、いかに今後の気候変動対策を強化できるかにかかっています。