Image: Pierre Markuse/Flickr

山火事の発生が記録的なら、二酸化炭素排出量も記録的になりますよね…。

なんというか、暑すぎてシベリアで永久凍土が爆発しているのはたしかに驚愕的ですが、今年の夏以降、北極圏ではもっと恐ろしいことが起こっています。北極圏で起こっている火災によって、前例にない量の二酸化炭素が大気中に放出されているらしいですよ。

衛星を用いて世界中の火災を監視している欧州委員会のコペルニクス大気監視サービスによると、今年の火災は新記録なのだとか。これまでの記録はいつかというと、去年だそうです。毎年恒例にならなきゃいいけど。

北極圏とその近接地域の排出量が過去最大

この夏、北極圏上空における火災による二酸化炭素の排出量は2億4400万トンに達しました。これは、衛星による記録が2003年に始まってから最大値とのこと。コペルニクスのプレスリリースによると、北極圏以南のシベリアを一部含むロシア東部では、この夏の排出量が過去最高の5億4000万トンに達し、火災をほとんど制御できなかったロシア西部では3億9500万トンに達しました。

上で挙げた3つの排出量をわかりやすく比較すると、北極圏の火災による排出量は、スペインの年間排出量に相当します。ロシア東部のものは新型コロナウイルスが大流行する前の全航空機による排出量に、西部の分はイギリスの排出量を少し上回っています。この比較例を気候変動系のZoom会議で使っちゃっていいですよ。

北極圏の熱波と火事は気候変動による人類の危機

とはいっても、実際のところデータや比較は問題の一部を表しているに過ぎず、まったく別の側面に注目する必要があります。なにかというと、これは人類全体の危機なんだってこと。北極圏とそのすぐ南の地域では、2年連続で深刻な山火事の被害が起こっています。また、近年はグリーンランドみたいに本来なら氷しか思い浮かばないような地域ですら火災が発生するようになってきているんです。着実に異常が普通になりつつありますね…。

気候変動の影響があちこちに…

温暖化が火災発生のリスクを高めているのは明らか。特に、今年はロシア全土で記録的な猛暑になりました。今年ロシアを襲った熱波は、気候変動によって600倍も起こりやすくなっていたそうです。そして、その結果として発生した山火事がより大量の二酸化炭素を大気中に送り込むことで、さらに気候変動を悪化させています。北極圏の他の地域では、炭素が地中に蓄えられていることで知られていますが、そういう地域でもすでに炭素を大気中に放出し始めている兆候が出ています。そこに北極圏の森林火災を加えると問題はさらに悲惨になり、より多くの火災を引き起こす最悪のループを加速させることになってしまいます。

しかも、こういった懸念は北極に限ったことではないんですよ。森林が蓄えた炭素が火事によって大気中に戻るという北極圏と同じパターンが、今年の初めにオーストラリアでも起こりましたよね。オーストラリアは、壊滅的な山火事によって半年分の二酸化炭素を排出しました。まだあります。2018年のカリフォルニアでも同じことが起こりました。今年のアメリカにおける山火事シーズンでは、カリフォルニアで同じことが起こっている真っ最中です。アマゾンで人為的な火事の脅威が大きくなっているって話はしましたっけ?

こうやって比べてみると、人間活動が世界中の森林を崖っぷちに追いつめてきたことがよくわかります。そして、私たちはいつか森林のしっぺ返しを食らうことになるかもしれません。